確定申告も佳境になってきました。
今年も400件超の大家さんの確定申告を作成させて頂いております。
これまでいろいろな大家さんの申告書をチェックしている中で、「これはさすがにダメでしょ」と思うことがあります。
できる限り大家さんに有利になるようにしてあげたいのですが、税務調査があれば、一発でバレて追徴課税がされる、ヤバい申告になると予想されるものがあります。
注意喚起の意味で、なぜダメなのか、税務署がどのように考えているかを解説していきます。
1.領収書を改ざんする
手書きの領収書の数字を変えたり、白紙の領収書にあとから金額を加えたりすることは脱税行為です。
税務署はこの見破り方をよく知っています。
数字の書き方が不自然であったり、裏側から透かしてみたりすると後から加えたことは一発でわかります。
2.商品券を大量に購入している
商品券を大量に購入した領収書を経費に入れているとかなり怪しまれます。
商品券自体が経費にならないということではありません。
商品券を贈答用に購入した場合には、渡して初めて経費になるものになります。年末に大量に購入して、配布していないものは、経費にならないのです。
入居付けをしてくれたお礼として不動産会社さんに配布しているなど、事業として正当なものであれば、経費計上は当然にできます。しかし、購入した商品券を自分のために使っているのであればNGです。
商品券を購入して仲間同士で回し合っているのも金額が不自然であったりすることから、わかってしまいます。正当性を証明するためにも配布リストを作成することが望ましいです。
3.二重に経費に計上する
払った証明ができれば、領収書でなくても経費に計上することは可能です(消費税の仕入税額控除をするためにはインボイスが必要ですが)。
最近では、キャッシュレス化にともなって、領収書と利用明細の2種類発行されることが多いです。
領収書と利用明細を計上してしまうと二重に計上されてしまいます。
帳簿で一覧にするとすぐにわかります。
わざとやっていると重加算税の対象になります。
4.家族旅行代を経費にしている
家族との旅行代は高額になるため、経費に計上したい気持ちはわかりますが、家族旅行ということはバレバレです。
時期が夏休みや正月あたりで、金額がおよそ1人の金額ではないだろうというものはすぐにわかってしまいます。
家族旅行のついでに物件視察をしたからという理由で経費にできると思いがちですが、家族の分は経費にできませんし、物件視察の時間が短時間であれば難しいと言わざるを得ません。
きちんと視察したのであれば、視察のレポートを作成した上で、その分に相当する金額を算出して経費にするなどの配慮が必要です。
5.実態のない人件費
架空の人件費は脱税の常套手段です。
利益が出てしまったからと慌てて給与を出したことにすると、すぐにわかってしまいます。
今まで給与を払ったことがないにもかかわらず、年末近くになって急に給与の支払いが出てくるのです。
どのような仕事をさせているのか、本当に必要なものなのかを厳しく追求される可能性があります。
また同一生計親族への給与の支払いは、そもそも経費になりません(青色事業専従者への給与は除く)ので気をつけてください。
6.高額の飲食代
高額の飲食代が計上されている場合には、本当に一人で払ったか疑われる可能性があります。大家さん仲間で飲食して、割り勘したにもかかわらず、全体の領収書で経費計上していないか、怪しまれるのです。
割り勘をしたのであれば、支払った分を計上するのは問題ないですが、領収書をもらったからといって全額を経費に入れるのはNGです。税務署は大家さんが接待することはないだろうという考えを持っているのです。
7.同じ店の飲食代がある
高額でないにしても毎回同じお店の領収書があると怪しくなります。1週間に複数の頻度で行っていると、単に行きつけのお店で食事しているだけではないかと思われてしまうのです。
毎週末に行っているとか、そのお店が自宅近くにあったりするとかなり疑われることになるでしょう。
8.スーパーの領収書が大量にある
スーパーで買い物した領収書が大量にあると、日々の食材を経費にしているのではないかと疑われます。スーパーは何でも売っています。事業に必要なものを購入したのであれば経費にして問題ありません。
しかし、その頻度が多いと本当に事業のものを購入しているのかが怪しく思えてしまうのです。
9.交通系チャージの領収書が大量にある
Suicaなどの交通系チャージの領収書は、正確には経費になりません。
事業で使った分を経費にしていくのが正しいやり方です。
しかし、履歴ごとに記帳するのは大変なので、金額が大きくなければチャージの領収書で経費にしてしまっている人も多いと思います。
最近ではチャージした金額で交通費以外にも使えることから、チャージの領収書が多いと怪しまれる可能性があります。
交通系チャージの領収書を経費に計上するには、事業用の交通費にしか使っていない場合にするべきです。
10.売上を抜いている
家賃収入をわざと計上しないのは脱税行為です。
家賃収入は銀行振込が多いので通帳履歴でわかってしまいます。
以前、わざわざ現金振込を現金払いに変えて、その分の家賃を計上していない方がいらっしゃいました。過去の入居状況や部屋数から見ても税務署はすぐに見抜いていました。
絶対にやってはいけません。確定申告で思わぬ税金になった場合、何とか税金を少なくしたいと思う気持ちはわからなくはないですが、下手な小細工をしてもすぐにバレてしまいます。
確定申告前に事前に予測をして、正当な経費を使えば問題ないのです。
きちんと申告をして今後の経費の使い方を考えていきましょう。
■お知らせ
私のYoutubeチャンネル「大家さんの知恵袋」でも、「確定申告」について動画で解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。
確定申告の期間中(2/16~3/15)は平日毎日、間違えやすい項目を解説しています。
https://youtu.be/B4m8z7cyWlo?si=Vzp2ws92mhQul-Tz
《書籍出版のお知らせ》
10月に不動産賃貸業に特化したインボイスの本が出版されました。
『不動産賃貸業のインボイス対応Q&A50』
『不動産オーナーに代わって管理会社がインボイスの発行はできる?その方法は?』など賃貸業ならではのマニアックな質問を50個用意しました。https://www.amazon.co.jp/dp/B0CKXFP26Y