• 完全無料の健美家の売却査定で、できるだけ速く・高く売却

×

  • 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集

太陽光発電パネルの設置義務化を受けて需要が拡大? 低コストで設備を導入する「PPAモデル」とは?

収益物件購入・売却/制度・サービス ニュース

2022/12/15 配信

エネルギーコストの高騰や
脱炭素への動きから導入に弾み

円安や資源高の影響を受けて、右肩上がりを続けるエネルギーコスト。家庭への影響も大きく、とりわけ2021年以降は電力の価格高騰が顕著で、大手電力会社や新電力による電気代の引き上げが相次いでいる。

一部電力会社は2024年4月に向けた値上げを検討していて、従量電灯などの規制料金(消費者保護の観点から料金内容や燃料費調整額の上限が定められている料金)の値上げ幅は東北電力で平均32.94%、北陸電力で平均45.84%、沖縄電力で平均39.3%にものぼる。

こういった電力料金の価格高騰を背景に、太陽光発電など自宅における再生可能エネルギー設備の導入が注目されている。

東京都など一部自治体で、新築戸建てを対象に設置義務化が始まろうとしている、太陽光発電パネル。PPAを活用すれば低コストでの導入が可能とされている。
東京都など一部自治体で、新築戸建てを対象に設置義務化が始まろうとしている、太陽光発電パネル。PPAを活用すれば低コストでの導入が可能とされている。

一方、気候変動危機や脱炭素の機運が世界中で高まるなか、新築戸建て住宅などへの太陽光発電パネルの設置義務化に対する動きも加速している。

東京都は2025年4月の実施を目指すと発表していて、新築建築物のうち、戸建てを含む延べ床面積2000㎡未満はメーカーに、2000㎡以上は建築主に太陽光発電パネルの設置義務を課す方針。

個人住宅の場合、メーカーが設置義務を負うが、コストは消費者に転嫁される可能性が高い。

都は個人に対しては太陽光パネルのリースやリサイクルの促進で設置の初期費用や維持費の軽減を図り、すでに積極的に太陽光パネルを活用しているメーカーには優先的な支援を検討しているが、実際にはどうなるのか。制度が施行されるまでに、さらなる議論が求められるかもしれない。

こうした動きは東京都に限らない。2025年4月に神奈川県川崎市でも同様の制度が施行される予定で、京都府では2020年4月から太陽光発電などの再生可能エネルギー設備の設置をすでに義務化、群馬県は2023年4月から延べ床面積2000㎡以上の建築物に再生可能エネルギー設備の設置を義務付ける。

自治体レベルでの動きが目立つものの、国も対策を始めている。

2021年8月23日に国土交通省、経済産業省、環境省の有識者検討会がとりまとめた「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方」では、「2030年には新築戸建て住宅の6割に太陽光発電設備を設置」「2050年には設置が合理的な住宅・建築物には太陽光発電設備が設置されていることが一般的」といった内容を盛り込んでいる。

2022年6月13日には建築物省エネ法などの改正案が国会で可決・成立し、これにより、現行は延べ床面積300㎡以上の非住宅建築物に適用されている省エネ基準適合義務化が、2025年以降は原則すべての新築建築物に拡大、住宅トップランナー制度(事業者の供給する住宅の省エネ性能向上を促す措置)の対象拡大、省エネ化改修や木材利用の促進といった建築基準法上の規制緩和がなどを決定した。

課題になるのはコストだ。年々設置費用は下がっているとはいえ、決して安くない。新築戸建てにはただでさえ高額のお金がかかり、さらなる負担は考え物。義務化されていないなら、二の足を踏んでもおかしくないが、こういった現状に対する解として注目を集めているのが、「PPAモデル」だ。

初期費用・メンテナンスコストを
抑えながら太陽光発電設備を設置

PPAとは「Power Purchase Agreement:電力購入契約」とは、初期費用やメンテナンス費用などを抑えながら、個人や事業者が太陽光発電設備を導入できる仕組みのこと。

具体的には、太陽光発電設備を設置する電力会社など「PPA事業者」と、屋根や敷地を提供し各家庭において設備を設置する顧客「需要家」の両者が電力の売買契約を結ぶビジネスモデルを指す。

PPAモデルの概要図。初期投資を抑え発電設備を設置し、その電気を利用することで電気料金とCO2排出を削減することができる。 出所:環境省サイト「再エネスタート」
PPAモデルの概要図。初期投資を抑え発電設備を設置し、その電気を利用することで電気料金とCO2排出を削減することができる。
出所:環境省サイト「再エネスタート

多くの場合、PPA事業者は自身の資金を使い需要家の屋根などに太陽光発電設備を設置。需要家は太陽光発電設備を購入する必要がなく、一部負担もしくは事業者負担で設置することができる。

事業者・需要家の間で契約を結んだあと、発電した電力はPPA事業者のものになり、需要家はPPA事業者から定められた料金で使用した分の電力を購入・使用するが、一般的な契約に比べると電力料金は安く抑えられるケースが目立つ。

月々の電力料金は定額であったり、一定期間無料+終了後は有料など、事業者によりさまざまなプランが用意されている。また、契約期間の終了後に設置した太陽光発電設備は、需要家に無償で譲渡される仕組みであることがほとんどだ。

例えば、東京電力エナジーパートナーが提供する「エネカリプラス」の場合、太陽光発電システム、蓄電池、おひさまエコキュートを初期費用0円で導入し、月額費用を支払うことで発電した電気や設置した危機を利用できる。太陽光発電システムの新規導入が必須となり、利用期間満了後に設備は無償で譲渡される。

東京ガスが提供する「ずっともソーラー(フラットプラン)」も似たようなPPAのサービスで、初期費用0円(もしくは工事費のみ)で太陽光発電を導入でき、リーズナブルな月額サービス料で太陽光発電による発電した電気を利用できる。契約期間が終わると設備は無償譲渡され、太陽光発電で発電した電気を無料で自家消費したり、余った電気は売電することも可能だ。

sub1

「ずっともソーラー(フラットプラン)」の仕組みと自己所有との比較。設置工事費のみの初期費用で太陽光発電設備を導入できる。2022年4月からはオープンハウスグループのオープンハウス・ディベロップメントが新築注文住宅向けにサービスの提供を開始している。 出所:ニュースリリース
「ずっともソーラー(フラットプラン)」の仕組みと自己所有との比較。設置工事費のみの初期費用で太陽光発電設備を導入できる。2022年4月からはオープンハウスグループのオープンハウス・ディベロップメントが新築注文住宅向けにサービスの提供を開始している。
出所:ニュースリリース

PPAモデルは初期費用・管理コストが大幅に抑えられるだけではなく、契約期間中は電気代が通常より安くすむケースもある。災害により停電が発生した場合は、自家発電として電力を使うことができるサービスもあるので、安心だ。契約期間終了後に無償で太陽光発電設備が手に入るのも魅力的だろう。

一方、PPAモデルの契約期間は10~15年と長く、契約期間中の太陽光発電設備はPPA事業者のもの。需要家がパネルの交換・処分をすることはできない。譲渡後された設備の管理費や修理代は需要家の自己負担になるので、注意も必要だ。

現在、PPAモデルは個人・法人向けに提供されていて、賃貸物件の屋根を活用した事例も出始めている。初期費用がかかる太陽光発電設備導入のデメリットを解消し、安く電力が調達できるという点で、今後は利用が広まっていくかもしれない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

健美家編集部(協力:大正谷成晴(おしょうだにしげはる))

■ 主な経歴

フリーランスの編集・ライター。
不動産投資、株式投資、投資信託、FXなどマネー関連、ビジネス全般、働き方、副業、クレジットカード、医療・介護など、幅広いジャンルで取材・執筆を行っている。

■ 主な著書

  • 『決定版 1万円からはじめるFX超入門』(かんき出版)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

アクセスランキング

  • 今日
  • 週間
  • 月間

不動産投資ニュースのライターさんを募集します。詳しくはこちら


ニュースリリースについて

編集部宛てのニュースリリースは、以下のメールアドレスで受け付けています。
press@kenbiya.com
※ 送付いただいたニュースリリースに関しては、取材や掲載を保証するものではございません。あらかじめご了承ください。

最新の不動産投資ニュース

ページの
トップへ