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漏水事件は要注意!悪臭、腐敗など取り返しがつかない事態も発生。100万円の損害賠償請求されることも?

賃貸経営/トラブル ニュース

2018/11/15 配信

漏水問題は、物件にダメージを与えてしまうので深刻だ。階下から「水漏れしています」との連絡を受けたら、初動が大切。雨漏りでない限り、上の階が元凶であることがほとんどなので、とりあえず上階の人に声をかけてもらおう。

そして管理会社もしくは家主は、現場に急行。同時に保険会社に連絡することを怠ってはいけない。

漏水は時間が経つと建物が水分を吸収してしまうので、時間との闘いでもある。漏れ出た水分が乾いてしまうまでに、証拠を残しておかねばならない。現場に到着したら、まずどれだけの被害があるか写真を撮っておこう。それが保険金を請求する時の、重要な証拠となる。

水漏れをおこした賃借人が部屋に立ち入らせてくれない

水漏れをおこしてしまったのに、階下の人に謝罪することなくその場から離れてしまう賃借人もいる。このような場合には、その賃借人に何とか部屋に立ち入る許可を取らなければならない。

漏水の原因を突き止めないと、また同じことが繰り返されるからだ。ところが入室を許可しない賃借人の多くは、部屋がゴミ屋敷になっているのだ。だから入られたくない。でもここで怯んではいけない。

先日入室できなくて困っている家主が相談に来られた。話を聞いてみると、この夏から3回にわたり水漏れがあった。ところが一度たりとも2階の賃借人は謝罪することもなく、部屋に立ち入らせてくれない。3度目は水漏れの程度もひどく、階下は天井につけられた照明器具の根本からも水がどんどん落ちてきて漏電が怖いということだった。

それでも2階の入居者は、入室させてくれない。そうこうしているうちに被害を受けた階下の住民は、家主が対応してくれないからと家主に対する損害賠償請求(なんと100万円)と、退去すると通告してきたというのだ。

「板挟みになって踏んだり蹴ったり」と家主は言うが、ここは強行に入るべきだった。額は別として、1階の被害者から損害賠償されても仕方がない。家主はあくまでも「平穏無事に生活できる場を提供する」義務があるからだ。

事件を受託して、すぐさま2階の賃借人にアタック!漏電の可能性があるので、立ち入りますと内容証明郵便と携帯のショートメールを送ってみた。

すると連絡があったのだが、どうしても室内に入られたくないと言う。その理由は「猫が怖がるから」。

こちらも怯まず「火事になったらどうするの」と緊急性を主張すると、黙ってしまう。「ぶっちゃけ、ゴミ屋敷なの?」と聞いてみたら、「世間一般で言うゴミ屋敷ほどではないが、きれいではないです」とのこと。何を持って世間一般なのか疑問だが、とにかく「少しでもきれいに掃除して」と伝え、翌朝現地に向かった。

部屋には悪臭が充満していた

その日は肌寒い朝だった。にもかかわらず、その2階の部屋は窓が全開。どうやら賃借人は仕事を休み、在室しているようだった。

まずは1階の雨漏りの状況を確認してみると、クロスははがれ滲みが広範囲にひろがり水漏れのひどさを物語っていた。分電盤も濡れたようだったが、幸い漏電は大丈夫のようだった。

そしていざ2階へ。ドアを開けてくれたのは、きれいに化粧した40代後半の女性。ところが次の瞬間、ドアの隙間からコバエが飛んでくるし、悪臭に思わず鼻を押えた。窓が全開になっているにも関わらず、腐ったような悪臭が酷かった。

玄関入ってすぐに置かれている洗濯機の前は、水分を含みフローリングが腐っているのかカーペットが汚れているのか判別不能。とにかく湿っていて、ぶにょぶにょたわんでいる。

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その対面にあるユニットバスは玄関から見える限り、ほぼ黒い。もとはよくある薄いベージュ色なんだろうが、とにかく黒い。どうして黒いのかは分からないが、とにかく黒かった!

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工事の担当者しか室内には立ち入れなかったが、玄関から見える奥の部屋は、洋服らしきものがビニール袋に入れられて積まれていた。掃除した形跡はあったものの、きれいに着飾った彼女と部屋のギャップが恐ろしかった。

結局水漏れの原因は、壊れた洗濯機。「洗濯するたびに、湿ってたかな……」と賃借人は呟いたが、ホースが破れており、さらに排水溝もゴミが詰まっていて流れなかったのだろう。

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工事の担当者はものの10分ほどだったが、その間、何度か部屋の外で深呼吸しないといられないくらい臭かったとのこと。部屋の奥では、猫が悠々と歩いていた。猫って、きれい好きじゃなかったっけ……。

このままの状態では洗濯機を使わないようにと告げ、賃借人の善管注意義務違反で契約を解除する旨を通告。彼女が退去して初めて実際の被害を確認することができるのだが、保険にも加入していない賃借人がどれだけ損害額を払っていけれるのか不安になる。

木造の建物は、ずいぶん水を吸い込んだに違いない。水漏れは、相手が拒否したとしても強行に室内に立ち入り、建物の被害を最低限に抑えることが必要だ。

トラブル全般に言えることだが、特に水漏れは初動が大切。その奥にもっとひどいトラブルが潜んでいるかもしれない。

執筆者:太田垣章子(おおたがき あやこ)

【プロフィール】
司法書士・章(あや)司法書士事務所代表
平成14年から主に家主側の訴訟代理人として、悪質賃借人の追い出しを延2000件以上解決してきた賃貸トラブルのエキスパート。徹底した現場主義で、早期解決のためにトラブルある物件には必ず足を運んできた。現場で鍛えられた着眼点から、賃貸トラブルの解決を導く救世主でもある。著書に「賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド」(日本実業出版社)がある。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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