銀行に勤務したのち、ベンチャー企業に15間勤務していた雪子さん。その間、結婚、3児の出産・育児をしながら仕事復帰するも、仕事と育児の両立は想像を超えるほど大変だった。「ボロボロに疲れ果てていた」という雪子さん。実は、退職金代わりになればと、給与天引きで自社株を買っていた。
在職中に会社が上場し、急成長したことで持っていた自社株が、「億」を超えるほど大きな金額に。そこで思い切って不動産投資を始め、現在では区分やアパート、戸建てなど様々な収益物件を所有する大家さんに。
今回は、意外な種銭の作り方である「自社株を買う方法」と、まずは「区分」投資にチャレンジした話を紹介する。
ベンチャー企業などの会社員は再現性あり?
給与天引きされていた自社株が「億」単位に
新卒で入社した銀行を退社し、当時まだ社員数50人ほどのベンチャー企業に入社した雪子さん。広報秘書等の仕事をするなか給与天引きで、退職金代わりになればと、自社株を購入していた。
「会社の持株会制度を利用して自社株を購入する方法です。会社からの補助が出るので、実際の購入額よりも多く自社株を購入することができました。
たとえば月10万ぐらい自社株を購入すると、月5~10万円ぐらい会社から補助が出るような時期もあり、かつ配当金も出て、再投資に回していました。入社後5年程で会社が上場し、数十円だった株価が数千円に上がり、給料天引きされた総額は200万円程度ですが、ピーク時で『億』を超えるほどになったこともあります」
健美家読者のなかには、ベンチャー企業など成長が見込める企業で働いている人もいるだろう。成長性が見込める企業の場合、雪子さんのように自社株を購入して自己資金を貯める方法も有効かもしれない。
会社が成長していく一方、雪子さんは育児と、仕事の両立で疲れ果てていた。さらには夫の転勤により、慣れない北海道での暮らしも負担に。2018年当時ではまだ珍しい「リモートワーク」を駆使するも、このまま育児と仕事を両立させることは難しいと退職を決意する。
「子育て中は、どうしても働く時間を制限しなければならず、収入がダウンする時期があります。そのダウンする分を補うために、不動産投資に興味を持ちました。とはいえ、働いているときに、物件探しをしている時間がなかったので、退職後に不動産投資を始めました」
夫には資金援助や保証人を依頼しない約束。ただし、
夫の「小さく始めてコツを掴むべき」のアドバイスには従った
調べていくと、不動産投資にはいろんな方法があることを知る。しかし最初から大きなものを買うには抵抗があった。
「不動産投資をするにあたり、会社員の夫の了承をえたものの、夫を保証人にしたり、夫から資金援助を受けたりはしないことに決めました。夫から、最初は小さく始めて、コツを掴むのがいいのではないかといわれ、納得しました。そこでマンションの1戸に投資する区分投資に乗り出しました」
前職時代に、成長中のリノベーション会社と取引があり、その会社と仕事をしたい気持ちがあった。マイホームを購入する人に向けた、実需向けのリノベーション企業だったが、その企業の手掛けるリノベーションのデザイン性に惹かれ、依頼することに。
「壁を取り壊してスケルトン状態にして、リノベーションすることが前提で、事前にマンションの構造などもよく調べる必要があり、リノベーション会社と共に物件探しから行いました。購入したのは、札幌の主要駅の隣駅から徒歩4分程、350万の3Kの区分マンションです。将来的に自分で住んだり、実需向けに売却したりできるクオリティに、600万円でリノベーションしました」
冒頭の写真の通り、スケルトン常態にしてリノベーションした。物件探しの際に知り合った、ある不動産会社の社長が、若いながら信頼できる人で、その後も折に触れ、電話でアドバイスをもらうことになり、「買い進めるきっかけをくれた」人となる。
彼のアドバイスから、自己資金があるとはいえ、融資が受けられるなら、融資を利用する方法を学び、リフォーム資金の融資を受けるなど実践した。
リノベーションした後は、雪子さん自ら地場の不動産会社を回り、客付け営業に。ほどなくして入居者が見つかった。
「リノベーションのプランを練ったり、自分で不動産会社を回ったりする、どれもが新鮮で楽しかった」
しかし、このまま区分を買い続ける戦略では、なかなか拡大できない。一通りの流れが分かったところで、次はアパート1棟購入に向けて動き出した。
明日の【中編】では、管理の手間が少なく、買ってよかったと感じている、地方の築浅アパートについて話を進める。
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健美家編集部(協力:
(たかはしようこ))