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マンション内での宅配ボックス設置 過半数賛成でOKに! 国交省が規約改正案 2024年問題に対応

政策(不動産投資関連)/法改正・制度変更 ニュース

2024/03/21 配信

マンションへの宅配ボックス設置は普通決議で可能に
マンションへの宅配ボックス設置は普通決議で可能に

これまで「特別決議」か「普通決議」か不明確で設置進まず

マンションのルールも、時代にあわせてどんどん変わっていく。国土交通省がこのほど、マンションの「標準管理規約」改正案を公表した。

同規約はマンションの管理組合が規約をつくるとき参考とするものだが、改正案の大きな特徴の一つが、マンション内に宅配ボックスを設置を決議するとき、住民(区分所有者)の出席者の過半数の賛成でよいと明記したことだ。

これまで、4分の3の賛成が必要な「特別決議」の案件か過半数の賛成が必要な「普通決議」の案件かなどがはっきりしていなかったことが、宅配ボックスの設置が進まなかった理由の一つであると国交省は判断した。

残業時間規制でトラックドライバーの人手不足が懸念される「2024年問題」に対処するためのものだが、マンションに関する大きなトレンドの一つとして、不動産投資家は頭に入れておいていいだろう。

マンションの管理組合による決議には「特別決議」や「普通決議」がある
マンションの管理組合による決議には「特別決議」や「普通決議」がある

マンションの管理組合が総会を開いておこなう決議は、出席者の過半数の賛成でいい「普通決議」と、4分の3の賛成が必要な「特別決議」の2種類ある。

「普通決議」の対象となる議案は、たとえば、「前年度の管理組合の活動報告」や「前年度の会計報告」「管理費や修繕積立金の決定」「次の役員の選任」などだ。

今回の改正で共用部分の加工小さければ普通決議で可能に

一方、より決議のハードルが高い「特別決議」の対象となる議案には、「管理規約の改定」「専有部分の使用禁止の請求」「占有者に対する引き渡し請求」などがある。

そして今回公表された標準管理規約の改正案では、いろいろな工事に必要な決議に関し、次のような項目が新たに付け加えられた。

「宅配ボックスの設置工事に関し、壁や床面に宅配ボックスを固定するなど、共用部分の加工の程度が小さい場合は、普通決議により実施可能と考えられる」

これまで宅配ボックスを設置するときの決議の方法がとくに定められていなかったため、国交省は、管理組合で議論が深められることがなく、設置も進まないとみた。

このため、今回の改正案では、過半数の賛成でよい、よりハードルの低い「普通決議」とすることで、議論や設置が進みやすいようにしたのだ。

今回の改正は「2024年問題」解決のための政策として、政府が昨年6月、「物流革新に向けた政策パッケージ」を取りまとめたことを受けたものだ。

パッケージではトラックドライバーによる配達について、「再配達率が高止まりし、宅配事業者の負担が増えており、特に、タワーマンションにおいては、1個運ぶのに 30 分以上かかる場合もあるなど、その改善が必要である」と指摘。「マンションにおける宅配ボックスの設置、置き配が進む取組みなどを推進する」とした。

そして、この問題を議論してきた国交省のワーキンググループに示された資料によると、大和ライフネクストという会社が管理業務を受託しているマンション3921件について調べた結果、宅配ボックスを設置していると答えたマンションは70.8%に上った。

国交省のワーキンググループの資料から
国交省のワーキンググループの資料から

しかし、その内訳をみると、新設のときから設置しているマンションは68.3%、後付けで設置したマンションは2.5%となった。

さらに、築年数別に見ると、築20年以下のマンションではほとんどのマンションに宅配ボックスが設置されていた。これが築26年以上になると、設置率が大幅に減少。築31年以上のマンションでの設置率は、1割を下回っていた。

タワーマンションでは配達時間が30分以上とのデータも

このほか、資料では、マンションへの配達の苦労も資料で示された。

国交省のワーキングぐーぷの資料から
国交省のワーキンググループの資料から

例示されたのは、東京都内にある54階建て550戸のタワーマンションを。42階にあるフロントに届けにいくと想定する。それによると、配達の手順は以下の通りだ。

①地下1階の警備室で配達送り状をすべて見せ、細かな配達指示をもらう(所要時間10分)

②配達階別のセキュリティ解錠カードを預かる。解錠カードはその階のみ利用可能(3分)

③2カ所のセキュリティを解錠し、目的のエレベーターに向かう(2分)

④エレベーター待ち。利用できる配達業者エレベーターは2基(6分)

⑤専用iPadに荷送人、商品など必要な事項を入力(5分)

⑥iPadに入力した情報を専用プリンターで出力。荷物に貼り付け、フロントの受付で再度スキャンして配達が完了。

①~⑥で優に30分もの時間がかかり、手間のかかる大変な作業であることが分かった。

このように、宅配ボックスの設置を国が促す動きを受け、不動産投資家の賃貸マンションでも、設置を求める声があるかもしれない。入居者、運送業者の両方の利便性に貢献することなので、これからの国の取り組みの行方にしっかりアンテナを張っていきたい。

取材・文:小田切隆(おだぎりたかし)

■ 主な経歴

経済ジャーナリスト。
長年、政府機関や中央省庁、民間企業など、幅広い分野で取材に携わる。

■ 主な執筆・連載

  • 「経済界」(株式会社経済界)
    「月刊経理ウーマン」(研修出版)
    「近代セールス」(近代セールス社)
    ニュースサイト「マネー現代」(講談社)など

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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