再開発プロジェクトが目白押し
さらなる価値向上を目指す札幌
北海道の政治・経済・文化の中心地として知られる札幌市。人口は1920年の約10万人から一貫して増え続け、70年には全国で8番目の100万都市になり、現在も北海道の人口の約3割となる200万人弱が暮らしている。

そんな札幌では、複数の再開発事業が進行中だ。例えば、JR北海道は8年後の北海道新幹線延伸を控え、在来線高架橋の南側に新幹線用の高架を建設するなど、札幌駅周辺を整備する工事を今年度に始めることを発表している。
ビル開発も始め、駅周辺には商業、オフィス、ホテル、バスターミナルなどが入る地上46階、高さ250mの複合施設を開発するという。これに伴い、駅前の「札幌エスタ」は2023年夏に営業を終了する予定だ。
これだけではない。同市ではざっと挙げるだけでも以下の再開発プロジェクトや施設建設が進められている。
■2022年度に開業予定
相鉄フレッサイン(南5西2)
旧イケウチゲート(南1西2)
ヒューリック札幌NORTH33ビル(北3西3)
■2023年度に開業予定
札幌第一生命ビル(北3西4)
ニトリ美術館など(大通東2)
旧ススキノフィラ(南4西4)
■2024年度以降開業予定
札幌新駅ビル(北5西1・2)
ヒューリック札幌ビル(北3西3)
ほくほく札幌ビル(仮称)(大通西2)
ピヴォ(南2西4)
カレス医療センター(仮称)(北6東3)
道銀ビルディング(大通西4)
札幌中心部のアクセス至便の場所に
2棟の複合施設が2024年に完成
昨年11月には旧北海道放送本社跡地でNTT都市開発による新築工事が始まった。JR北海道駅から徒歩10分、札幌市営地下鉄大通駅から徒歩6分の北海道庁と大通公園に挟まれた場所に、2棟編成の複合施設が建つ予定で、竣工は2024年2月だ。

※出所:NTT都市開発ニュースリリース
建物は地上26階地下2階の北棟、7階建ての南棟の2棟編成で、延床面積は約6万916u。双方にオフィス(北棟3〜16階、南棟2〜7階)が入る。北棟低層部には店舗やアトリウム、テナント用のラウンジも備え、高層部には国際的なホテルチェーンを誘致して北海道の食文化を感じることができるレストランなども計画している。
南棟には札幌のインキュベーション拠点として、コワーキングスペースやスモールオフィス、人材が交流することができるイベントラウンジなども用意する方針だ。
加えて、ビル利用者アプリ、NTTグループのICTを活用したサポートも提供し、ビジネスパーソンの働き方・生産性向上も目指すという。
北棟1〜2階には地域住民や観光客も利用できる約1300uの屋内広場も提供し、飲食店なども出店。1階には大型ビジョンを備えた2層吹き抜けのアトリウム空間を備え、道内の観光情報やその他の最新情報を発信したり、パブリックビューイングなどのイベントも実施する。ビルで働く人たちだけではなく、広く地域に開放した場所を作ることで、まちの賑わいも演出したい考えだ。
注目したいのはBCPについて。最大72時間給電可能な非常用発電設備を導入する予定で、屋内広場の一部は100名を収容可能な一時避難所として活用する。カードキーなどと連動したエレベーター行先階指定システムを導入し、エントランスからエレベーター、テナント専有部までタッチレスで移動できるといった、感染症対策も講じるという。
このように、札幌の至る場所で複合施設の建設が加速していて、エリアの魅力はますます高まっていくに違いない。
こうした動きに伴い同市における賃貸需要は右肩上がりで、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の「住まいインデックス」によると、札幌市中央区近辺の賃貸マンションの賃料は直近3年間で2.83%上昇。他の区も同様に賃料水準は上がっていて、複数の不動産開発が後押ししていると推測できる。
札幌といえば北海道のみならず、全国的に見ても優良な不動産投資エリアのひとつとされるが、ますます拍車がかかるかもしれない。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))