2024年夏頃に
完成予定
福井駅の駅前で市街地再開発事業の工事が始まっている。
長谷工不動産・阪急阪神不動産・マリモ・コスモスイニシアの4社は、「福井駅前電車通り北地区A街区第一種市街地再開発事業」について、2021年10月15日に工事を着工した。
建設を請け負うゼネコンは、竹中工務店・村中建設・長谷工コーポレーションの3社。工事の完了予定は2024年だ。
再開発事業のスケジュールは、北陸新幹線の延伸工事に合わせた形となっている。
東京と北陸地方を結ぶ北陸新幹線は、2021年時点で金沢まで開通しており、富山・金沢へは東京から直通でアクセス可能だ。
北陸新幹線は、2023年度末には金沢以西の福井・敦賀まで延伸される予定であり、福井駅前の再開発は新幹線の開通に合わせる予定で進んでいる。

※引用:JR西日本
なお、完成は先になるが、すでに敦賀から大阪までを結ぶ新幹線についても計画が進められており、全計画が完了すれば、北陸地方と東京・大阪とのアクセスが大幅に改良される。
再開発の対象となっているのは、JR福井駅・福井市役所・福井県庁のすぐ側であり、北口の駅前通りに面したエリアだ。

予定地の周辺には福井駅のバスターミナルや路面電車の駅などがあり、福井県の交通拠点となっている。
再開発事業の正式名称に「電車通り」が入っているのは、駅前の大通りに路面電車の線路が通っているためだ。
再開発の主な狙いとしては、福井県の商業・業務拠点が持つ利便性を高めることと、観光地としてのインフラを整備することなどが挙げられる。
そのほか、周辺の建物が老朽化しており、土地利用・防災に関する観点から建物を更新する狙いもある。

計画建物の内容には再開発の狙いが表れており、商業施設・業務用オフィス・ホテルに加えて会議場なども設けられる予定だ。

パースを見る限りでは、商業棟の方が住居棟よりも高いように見えるが、階高は住居棟が28階で商業棟が27階となる。
商業棟の内訳は、商業施設とカンファレンスホールがそれぞれ2フロア、オフィスが9フロア、ホテルが16フロア。
住居棟と商業棟の間に駐車場施設が設けられる予定で、周辺から車で来る人も利用できるように設計されている。
再開発エリアの周辺には西武デパートやハピリンという地元のショッピングモールなどがあり、再開発施設が完成すれば、福井駅周辺の生活利便性がさらに向上することが期待される。
なお、再開発組合のホームページを見ると、既存建物の解体工事にあたり、2度にわたって周辺住民向けの解体工事見学会が開催されたことがわかる。
外から来る観光客やビジネスマン向けにインフラを整備する一方で、従来の商店街に愛着を持つ地元住民にも配慮していると言えるだろう。
都市活性化に
つなげられるか
福井市は福井県の県庁所在地であり、県内最大の都市だ。
2021年10月初頭における福井市の人口は26万680人で、福井県に住む人口76万779人のうち約34%を占めている。
県内で2番目に人口が多いのは福井市の北に隣接する坂井市だ。坂井市の人口は約8万7,750人で、福井市の約3分の1となっている。
福井県が発表している統計によると、福井県全体の人口は2000年以降減少を続けており、市別の人口推移を見ると、福井市も人口減少が続いている状況だ。
人口が減少する一方で世帯数は増えているため、福井駅の周辺ではまだ住宅需要は保持されると考えられる。
新幹線の開業によるアクセスの改善に合わせて再開発を進めることで、行政としては何とかして都市活性化を図りたいところだ。
地方都市における選択肢の1つとして、今後の福井市の発展状況に要注目だ。
取材・文:
(はたそうへい)