12月には駅に新改札も登場することに
ますます魅力的なまちに新タワマン計画
神奈川県川崎市中原区の武蔵小杉駅周辺といえば、首都圏屈指のタワマンエリア。その数は約20棟と圧倒的に多く、区役所があることから中原区における行政および商業の中心地となっている。
もともとは工業地帯だったが、工場の移転により、その跡地にタワマンや大型商業施設が次々と誕生していったのは、ご存じの通り。1995年にエリア初となる「武蔵小杉タワープレイス」を皮切りに、その後も「レジデンス・ザ・武蔵小杉」「ザ・コスギタワー」「パークシティ武蔵小杉ザ・グランドウイングタワー」「シティタワー武蔵小杉」などが順次、完成。現在も新たなタワマン開発が進められている。
そのひとつが、三井不動産レジデンシャルによる「(仮称)小杉町一丁目計画」で、今年9月には川崎市が環境影響評価方法書を川崎市が公開。地上43階・地下2階、高さ約155m(最高約165m)、総戸数500戸のタワマン建設を計画しているという。
計画地はJR南武線・武蔵小杉駅の北口を出て徒歩1~2分の場所。北側正面には「武蔵小杉タワープレイス」、北西の交差点には「「パークシティ武蔵小杉ザ・ガーデン タワーズ」が建ち、ガーデン タワーズにつながる交差点にはデッキが設けられている。おそらく開発物件とデッキは接続する計画で、建物本体は西寄りになり、駅側となる東側には広場が配置されるとされる。
なお、周辺には他にも高さ100m~180m級のタワマンが林立し、低層階はおろか高層階とはいえ360℃景色を見渡せるわけではなさそう。東西や北東方向はいまのところ超高層ビルはなく、それなりの眺望が期待できそうだ。
フロア構成は、1~3階に商業施設、1~2階が共同エントランスで4階は共用部として使用、5~43階が住居となる模様。地下には駐車場・駐輪場、ゴミ置き場などが整備される。
すでにタワマンのまちとしての地位を確立している武蔵小杉エリアだが、その人気は根強い。駅にはJR東日本と東急が乗入れ、前者には南武線、横須賀線、湘南新宿ライン、相鉄線直通列車の4系統が乗入れ、後者には東横線と目黒線が乗入れる。
横浜や横須賀、川崎区、さらには渋谷、新宿、高崎、宇都宮、大宮など、さまざまなエリアにアクセスしやすい。
12月24日からは新改札「綱島街道改札」の供用も始まる。川崎市とJR東日本は、JR武蔵小杉駅の駅構内及び駅周辺の歩行者の分散化による混雑緩和と南武線北側からのアクセス性向上を図るため、新規改札口工事の施行に関する協定を2022年6月に締結、工事を進めていたが、これがいよいよ完成した格好だ。同時に、川崎市で工事を進めていた新たなアクセスルートの供用も始めるそうだ。
JR武蔵小杉駅では2010年3月に横須賀線ホームを新設。東急線の改札口から約500m離れていることから、乗り換え時は主に南武線のホーム上を経由した改札内の連絡ルーツが利用されている。その後も駅周辺にタワマンが増えるに伴い混雑が激しくなり、新たなホームの設置をはじめ、駅の改良を継続的に進めてきた。
今回の取り組みもそのひとつで、綱島街道改札を設けることで、綱島街道をくぐる形で横須賀線と南武線・東急線が一般道により直線で結ばれることに。混雑の緩和が期待される。
川崎市の中央部に位置し、交通結節点でもある武蔵小杉駅地区。「川崎市総合計画」では、魅力にあふれた広域拠点の形成を図る地区として、川崎駅周辺地区および新百合ヶ丘駅周辺地区とともに、武蔵小杉駅周辺地区を、都市の活力向上による持続可能なまちづくりを推進するエリアと位置付け。
市の都市計画の基本方針である「都市計画マスタープラン小杉駅周辺まちづくり推進地域構想」に基づき、将来のまちづくりの方向性を示し、新たな開発計画等を適切に誘導、支援している。
これら計画に基づき、計画的・段階的なまちづくりに取り組み、目指すのは先端技術を中心とした研究開発・生産機能の高度化を図るとともに、ユニバーサルデザインに配慮しながら駅前広場、道路等の公共施設を整備改善。商業・業務・文化交流・医療・文教・都市型居住等の機能を集積させた「歩いて暮らせるコンパクトなまちづくり」だ。今回の再開発計画からもわかるように、同エリアの進化は、まだ終わりそうにない。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))