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伊香保温泉の玄関口・群馬県渋川市で進む観光振興と再開発。工業都市としても健在

都市計画・再開発(地域情報)/横浜・川崎・千葉・埼玉/首都圏 ニュース

2023/12/24 配信

群馬県渋川市は、歴史ある人気温泉の伊香保温泉の玄関口だ。

その渋川市では、コロナショックの煽りを受けた伊香保温泉の立て直しに向け観光振興施策を進める傍ら、渋川駅周辺の再生も始まっている。他方、工業都市としての顔も健在だ。

■ 伊香保温泉の玄関口群馬県渋川市の観光振興

出典:渋川市
出典:渋川市

群馬県は草津温泉などの多くの人気温泉地を抱えるが、その中でもランキング上位の常連であるのが、伊香保温泉である。2023年度の観光経済新聞「にっぽん温泉100選全ランキング」でも16位にランクインしている。

伊香保温泉の歴史は古く、万葉集にも頻繁に登場する。温泉地として本格的に整備されたのは戦国時代であり、江戸時代には、榛名詣をかねて各藩から多くの人々が湯治に訪れる観光名所となった。滝沢馬琴や十返舎一九など多くの文人墨客が訪れ、明治時代には文豪・徳富蘆花が愛したことでも知られる。

太平洋戦争後も、首都圏に至近の温泉地として企業団体旅行客などを受け入れ、バブル経済のピーク時には、宿泊者数は年間170万人にも及んだ。その後、人口減少とコロナショックの煽りを受け、2021年には過去最低の60万人にまで落ち込んでいる。

伊香保温泉を抱える渋川市では、この危機的状況を打開するため、2023年に第3次渋川市観光基本計画を策定した。計画では、渋川市の強みと弱みをSWOT分析によって分析したうえで、観光振興の課題を5つに絞り込む。それらの課題解決のために3つの基本方針を設定している。

3つの基本方針とは、新たなニーズへの対応、観光資源の活用と連携、そして、新たな観光地づくりだ。

新たなニーズに対応するためには、観光客のニーズを的確につかむことのできるマーケティングを強化する。渋川伊香保温泉観光協会において、WEBサイトのアクセス状況や宿泊データを分析する。

観光資源の活用・連携として取り組むのは、「食」の開発やコト消費の充実だ。新たな観光地づくりとしては、インバウンド対応や電子通貨の導入などのハード面整備を計画している。

■ JR渋川駅周辺の再生構想と駅前広場の整備

整備中の渋川駅前広場
整備中の渋川駅前広場

JR渋川駅は、伊香保温泉の玄関口である。首都圏から伊香保温泉に向かう場合、列車、車・バスのいずれを利用する場合であっても渋川駅が入口となる。団体旅行客の多かったバブル時とは異なり、現在はファミリーや個人旅行客も多い。このような列車を利用する観光客を誘客するには、渋川駅周辺の整備も重要となるだろう。

渋川市では、2021年に「渋川駅周辺地域再生構想」を発表している。構想によれば、渋川駅周辺を、まちのまとまりとにぎわいの観点から再生させる計画だ。

まとまりをつくる観点からは、ヒト・コト・モノの誘導・集積を図るため、低未利用地の活用や都市機能の集約化・複合化を進める。

にぎわいづくりとしては、街中空間、都市景観の形成を進める。加えて、情報発信も強化する。

このような渋川駅周辺地域の再生の口火を切るのが、渋川駅前広場の整備だ。2022年にはその全容が公表された。具体的には、2026年までに、駅前広場全域にシェルターを設置し、駅利用者の利便性を確保し、明るい印象の空間演出を目指す。

渋川の冬は、越後山脈から吹き降ろす季節風が冷たい。現状の吹き晒しでは、列車やバス、タクシーの待ち時間に雨風を凌ぐのも難儀する。完成すれば、少なくとも観光客が滞留するきっかけにはなるだろう。

また、今年から12月と1月の2カ月間、「渋川まちなかイルミネーション」事業も始まった。駅前広場と駅前通りの街路樹をイルミネーションで飾り、コンサートなどのイベントも開催する。

ささやかではあるが、渋川駅周辺を再整備し、イベント開催によるコト消費を目的としたまとまり、にぎわいを取り戻す試みが始まっている。

■ 工業都市としての顔も健在

出典:渋川商工会議所
出典:渋川商工会議所

じつは、渋川市は工業都市としての顔も持つ。2021年の渋川市の製造品出荷額は、2,176億円であり、直近20年間この水準はほぼ変わっていない。

渋川市には、現在も、関東電化やデンカ、大同特殊製鋼といった化学製造業の上場企業の工場が数多く立地する。これらの関連会社や下請け会社も、多数が渋川市に事務所等を構えることから、工業都市としての顔は健在だ。

2022年工場立地調査でも、渋川市に新たに1,000㎡以上の工場を誘致した実績がみられる。群馬県は、全国的にみても新たな大規模工場の設置が数多くみられる自治体である。2022年の群馬県工場立地件数は、全国47都道府県中6位である。

渋川市は、工場の新設・増設にともなって課税される固定資産税相当額を交付したり、用地取得費用の一部を補助するなど、市独自の工場等設置奨励事業をおこなっており、工業施策には力を入れていると言ってよい。

観光都市というだけではなく工業都市としても健在である渋川市の今後に注目だ。

取材・文:佐藤永一郎(さとうえいいちろう)

佐藤永一郎

FP不動産投資よろず相談所

■ 主な経歴

筑波大学大学院修了。新潟大学大学院博士後期課程在籍。2級FP技能士。会計事務所で約10年、中小企業、不動産オーナーの節税コンサルティングや融資サポートなどに携わる。スタートアップのCFO、監査役などを経て、築古戸建ての不動産投資家として独立。不動産投資のコンサルオフィス「FP不動産投資よろず相談所(https://fprealestateoffice.jp/)」を運営している。不動産投資や税金をテーマとした執筆活動もおこなう。大学院にて所得税制を研究中。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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