東京以北最大のターミナル駅至近で再開発
大宮駅は、埼玉県さいたま市にある、東京以北最大のターミナル駅。JRでは東北・山形・秋田・北海道の東北系統と上越・北陸の上越系統の合計6の新幹線、在来線は宇都宮線、高崎線、京浜東北線、埼京線、川越線が、私鉄では東武野田線、埼玉新交通伊奈線が乗り入れている。
駅の周辺には百貨店や飲食店など商業施設やオフィスビル、金融機関の支社・支店などが広がる。
東口は旧中山道の宿場大宮宿をルーツとする市街地で、武蔵国一宮氷川神社への門前町。かつては長崎屋、西武百貨店などの商業施設があったが、西口の発展やさいたま新都心駅周辺の再開発により廃業し、いまは高島屋、ルミネ大宮店、県下最大の歓楽街である大宮南銀座などがある。
2022年4月には、「大宮駅東口大門町2丁目中地区市街地再開発事業」として、複合施設「大宮門街」が開業した。
桜木町が広がる西口には国道17号線(中山道)が通り、そごう大宮店、大宮アルシェなどの大型商業施設や、大宮ソニックシティ、JACK大宮(大宮情報文化センター)、シーノ大宮といったオフィスビルが林立。東口に比べると飲食店は少ないが企業や金融機関は多く、県内最大のオフィス街を形成している。
このように、大きく発展を遂げた大宮駅周辺で「桜木駐車場用地活用事業」が新たな展開を見せようとしており、さいたま市は昨年10月下旬に、大和ハウスとJR東日本を優先交渉権者として選定した。
桜木駐車場はさいたま市が保有する公有財産で、もともとは鉄道病院があった場所。1993年に複合公共施設建設事業用地として取得したが、暫定的な措置として駐車場として利用を始め今日にいたる。
その間、市は有効活用について検討を続けており、具体的な活用方法が決定するまでは実験的に用地の一部を地域住民・団体・企業などがイベントで使う取り組みを開始。
この用地の活用を通じて周辺地域をより魅力的にするとともに、大宮を始めさいたま市全体のさらなる発展につなげる「桜木駐車場用地活用事業」も推進しており、事業の実施方法は、優れたノウハウを持つ民間事業者から幅広く魅力的な提案を募ることで、より良い事業が実現されるよう、公募型プロポーザル方式を採用。昨年に公募を実施し、上記2社が優先交渉権者に決定していた。
貸付料は年間1億3800万円で貸付期間は35年(運営機関30年)で、提案の内容は以下の通りだ。
さいたま市は、用地活用の方向性として、次の3点を定義していた。
・東日本を中心として各地域から交流人口、人材、企業、知識等の多様な資源を大宮に呼び寄せ集積するための「誘因・集積」機能
・誘因・集積した資源が、既存の資源と様々な形で交流し新たな価値を創出することを可能にする「交流・創造」機能
・交流・創造の場を提供、活用することで都市としての魅力向上が図られ、交流・創造の成果をはじめとするエリアの魅力を積極的に情報発信する「情報発信」機能
今年2月頃には定期借地権設定契約を締結し、4月には対象敷地が引き渡される予定で、事業の具体的な内容も明らかになっていく。
大宮駅グランドセントラルステーション化構想が進行中
さいたま市は駅舎および駅周辺の一体的かつ大規模な再開発プロジェクト「大宮駅グランドセントラルステーション化構想」を掲げており、本事業はそのひとつ。
今後も駅舎は東西連絡通路の増設や駅ビルの建て替えによる駅機能の強化、駅周辺では大規模整地による建物・道路の再開発や地下開発などを検討しているところだ。2022年4月にはURと大宮駅周辺のまちづくりに関する連携協定を締結している。
言わずもがな、さいたま市は県庁所在地であり、県内で人口最多の政令指定都市。人口は増加の一途を辿り、2018年には130万人を突破。直近では約134万人にのぼる。ただし、今後は減少に転じる見通しで、2045年には128万人になる見通しだ。
今回の駐車場用地の活用をはじめとする駅周辺の再開発によりエリアの魅力を底上げし、東日本の滞留拠点を形成するのが自治体の狙い。交通網や各種施設は充実しており、働くだけではなく住まいとしても高いポテンシャルをすでに持っているが、一連のプロジェクトによるさらなる発展が期待される。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))