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西荻窪 変わらない昭和の街の秘密

都市計画・再開発/東京 ニュース

2020/09/22 配信

■愛される街“ニシオギ”

街の価値が上がるには、新駅や再開発があるとわかりやすい。都心では、高層のタワーマンション、オフィスビル、商業施設が次々に出来ている。だがそんな大規模開発がないのに、人が集まり、愛されている街がある。「西荻窪」だ。地元の人は、親しみを込めて“ニシオギ”と呼ぶ。

筆者が健美家で、街を紹介する記事を書いているのを知り、サラリーマン時代の同僚が、ぜひ“ニシオギ”を案内したいと名乗り出た。そして、ニシオギ在住歴22年、某出版社の大物編集者、石原正康氏と一緒に街を案内してくれることになった。

参考までに「西荻窪×再開発」で、検索したところ、大型開発プロジェクトの予定はなし。唯一、区道・補助132号線の一部、駅前の道路を11mから16mに拡張し、電柱を地中化する計画がヒットした。だがこれに反対する住民は多い。

「災害から、街を守る観点でも道路の拡張は緊急課題」とする行政側と「街の個性が失われる」と計画に反対する住民。この道路が11mから16mに拡張される計画だ。
「災害から、街を守る観点でも道路の拡張は緊急課題」とする行政側と「街の個性が失われる」と計画に反対する住民。この道路が11mから16mに拡張される計画だ。

■いざ、ニシオギ上陸

西荻窪はJR中央線で新宿から12分。荻窪と吉祥寺に挟まれた狭間に位置する。快速が止まらないことで、“ニシオギらしさ”が維持されているとも言われている。改札を出ると、正面にはKINOKUNIYAがある。

駅前には西友もあり買い物は便利そうだ。右側が南口。左側が北口。駅前のロータリーは狭く、高い建物はない。どちらの側にもすぐに商店街が広がっていた。待ち合わせの時間となり、同僚の高橋氏と石原氏が現れた。ふたりはニシオギ在住。子供の幼稚園が縁で意気投合。平日は街で飲んだり、週末は家族で集まったりする仲になった。

昼間のニシオギ。エスニックでグローバルなたたずまい。夜になると明るい酔っ払いで賑わう。
昼間のニシオギ。エスニックでグローバルなたたずまい。夜になると明るい酔っ払いで賑わう。

「ニシオギはどんな街ですか?」と尋ねると、「人とすぐに仲良くなれる街」という答えが返ってきた。「都心で飲んで帰ってきても、駅に着いたらもう1件寄りたくなる。そんな街かな。」ふたりは、嬉しそうに語った。

■街の元気な本屋さん

最初に案内されたのは、石原氏の行きつけ、駅近くの今野書店。ご夫婦で書店を経営する地元の有名人だ。奥様の、今野聖奈子さんは、“ニシオギのマドンナ”“ニシオギ小町“として親しまれている。ニシオギには文化人、作家が多数住んでいで、この書店にも足を運びにくるそうだ。

店内には、手書きのポップで書かれた本の紹介があった。ここにはまだ紙と活字文化が元気な、アナログ的な世界があった。

「ニシオギには、文化人、イラストレーター、フリーライターなど、フリーの職業の方が多いです。会社員比率は少なく、会社に縛られたくない人たちが、たくさんいるように見えますね。」石原氏は語った。

西荻窪駅前の今野書店。今野聖奈子さんは、“西荻小町”と呼ばれる有名人?どうやらこの雑誌に、ご夫婦で取り上げられているらしい。
西荻窪駅前の今野書店。今野聖奈子さんは、“西荻小町”と呼ばれる有名人?どうやらこの雑誌に、ご夫婦で取り上げられているらしい。
書店内には手書きのポップが。作家と読者をつなぐ今野さんの熱い想いが伝わってくる。
書店内には手書きのポップが。作家と読者をつなぐ今野さんの熱い想いが伝わってくる。

今野書店を出て街を歩くと、住宅街の中に小さなお店が混在していた。アンティーク、雑貨、イタリアン、フレンチ、ギリシャ料理からエスニックまで。もちろん和食やレトロなカフェも。路地に面し、開放感のあるお店群は“グローバルな屋台村”の雰囲気だ。そして、それぞれのお店が、想い想いに、個性的なデコレーションで、街を彩っている。まさに“街自体が大人の文化祭”そんなキーワードが頭に浮かんだ。

住宅街の中にあるお店。店内ペットもOK.。思わず入り込みたくなる、そんなたたずまい。
住宅街の中にあるお店。店内ペットもOK.。思わず入り込みたくなる、そんなたたずまい。
創業50年、昭和レトロな喫茶店。中では女子高生たちがお茶をしていた。
創業50年、昭和レトロな喫茶店。中では女子高生たちがお茶をしていた。

■ニシオギの夜の風景

ニシオギの人たちは、会社のお金で飲んでいる人は少ない。だから、飲食店には「安さと美味しさ」が求められる。個性的で、安く、美味しいお店でないと生き残っていけないのだ。

大手のチェーン系のお店が少ないのも、この街の特徴だ。集まった時は、まだ明るかったが、駅前の焼鳥屋からは煙が溢れていた。戎(えびす)“というお店が、聖地らしい。

「戎は、煙の中で焼鳥を食べているオヤジと、学校帰りの女子高生がクロスするポイントなんだよ。」高橋氏は、持論を語った。8年前にマンションを売却し、ニシオギに移り住んできた。

「ニシオギは明るい酔っ払いの街だね。みんな楽しそうに飲んでいて、喧嘩をしている酔っ払いはみたことがない。」彼のニシオギ評だ。たしかに、街のあちこちには、明るく楽しそうな笑顔があった。

夜のとばりとともに、どこからか人が集まってくる。ニシオギの聖地”やきとり戎“
夜のとばりとともに、どこからか人が集まってくる。ニシオギの聖地”やきとり戎“

二人の分析によると、ニシオギはこんな人たちで構成されているようだ。
・明るい酔っ払い
・男子学生は少ない(渋谷、吉祥寺に流れている?)
・30歳代独身女性多い。女性の学歴高い(東京女子大、早稲女、武蔵美)
・街にいる50歳代女性が強い。(子育てママ、教育ママ?)
・高円寺、阿佐ヶ谷は単身層。荻窪〜吉祥寺はファミリー層の街

週末の夜は、小さな子供と一緒の家族連れの姿も多いそうだ。「地元で、片意地張らずに、家族でも気軽に外食ができる。」それがニシオギの懐の深さかもしれない。

■この街の魅力

夕方明るいうちから、何軒か店をまわり、ニシオギの魅力は十分すぎるくらい伝わってきた。「街」と「お店」と「人」との距離が近いのだ。まさに“3密”ではあるが、街やお店自体は、立ち飲みもあり、オープンで開放的だ。

毎日が文化祭感覚で、“自分らしく、ゆるく、生きられる街”そこにはまだ、昭和レトロな世界が現存していた。こんな街の価値が、見直されてもよいのかもしれない。

1軒目に行った、さかな料理の美味しいお店。たしかにクオリティは高かった。
1軒目に行った、さかな料理の美味しいお店。たしかにクオリティは高かった。
2軒目に行ったのは、ギリシャ料理のお店。狭い急こう配の階段を上がると、そこはアートな空間だった。
2軒目に行ったのは、ギリシャ料理のお店。狭い急こう配の階段を上がると、そこはアートな空間だった。

■取材協力
西荻窪をこよなく愛するお二人。

左)高橋功さん。元リクルート。SEA Global 取締役副社長 右)石原正康さん。株式会社幻冬舎 専務取締役
左)高橋功さん。元リクルート。SEA Global 取締役副社長
右)石原正康さん。株式会社幻冬舎 専務取締役

取材・文 和田野学

【プロフィール】(株)リクルートで住宅情報事業部、(株)リクルートスーモカンパニーで不動産広告事業に携わる。首都圏、関西、広島、九州エリアの営業、取材活動を通じて、多くの不動産デベロッパー、ハウスメーカー、地元不動産会社とのパイプを持つ。現在は会社経営。

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