3年前に「南町田グランベリーパーク」が誕生
まちの便利さと自然が共存したエリア
東京都の多摩地区にあり、島部を除くと最南端に位置する町田市。人口は約43万人と、東京都内では東京23区、八王子市に次ぐ規模を誇る。1960年代以降は都心のベッドタウンとして栄え、バブル経済期以降は、東京都区部から私立大学のキャンパス移転が進んだこともあり、ファミリーや若者が混在しているのも特徴だ。

JR東日本横浜線、京王線、小田急線、東急線と、複数の鉄道会社が乗り入れていて、JRと小田急線が乗り入れる町田駅は市内最大の繁華街。大手デパートやファッションビル、昔から地域を支えてきた商店街があり、日常生活に必要なものは一通りそろう。
交通の便は非常によく、町田駅から新宿駅や渋谷駅、横浜駅までは電車で約30分、1時間以内で湘南、箱根に行ける距離間も魅力的だ。都心だけではなく、海、山方面にもアクセスしやすい。
かつ、市内の大部分は多摩丘陵にあるので里山の風景、緑が豊富な公園、地場産野菜を作る農地が多くあり、都心で働きながらも自然に囲まれ子育てをしたいファミリー層からの人気は高い。
そんな町田市ではここ数年、再開発の波が押し寄せていて、その一つがかつての南町田駅周辺だ。同駅前には2000年に屋外型のアウトレットモール「グランベリーモール」がオープン、当初は10年程度の暫定施設として計画・開発されたが10年以降も営業は継続した。
ただし、建物や設備の老朽化、近隣商業施設の開発が加速したことから、さらなる来客を目的に17年2月で施設を一時閉館することに。
その後は、東急と町田市が協定を結び「南町田拠点創出プロジェクト」が始動し、旧グランベリーモールや隣接する鶴間公園、住宅や駅前広場などの一体的な開発を経て、19年11月には約230店舗や映画館などが入る「グランベリーパーク」がオープン。
南町田駅は「南町田グランベリーパーク駅」に改称するとともに平日に急行電車が停車するなど、エリア全体の利便性が大幅に向上した。今年6月には施設東側の土地で東急主導による34階建てのタワーマンション「ドレッセタワー南町田グランベリーパーク」の建設が始まり、24年に完成する予定だ。

次なる再開発エリアは町田駅の南側
2024年に着工しまちの活性化を図る
一見すると魅力あふれる町田市だが、課題がないわけではない。とりわけ大きいのは人口減少で、2020年頃をピークに総人口は減少し、60年には約34万人になると推計されている。
駅周辺の商業施設は老朽化が進んでいて、都市間競争が激化するなか町田市が選ばれ続けるには、エリアの活性化を促す必要がある。これを受け同市は16年7月に町田市中心市街地活性化協議会と共同で2030年度までのまちづくりを具体化した「町田市中心市街地まちづくり計画」を策定した。
ここでは将来のまちの姿を「“夢”かなうまち」として掲げ、「駅が快適・便利」「まちに行く目的がたくさんある」「まちの魅力が向上しゆっくり過ごせる多くの出会い・活動が生まれる」「ライフスタイルの選択肢がたくさんある」「通りが快適で歩いて楽しい」の6項目を目標として掲げるともに、それを実現するために10のプロジェクトを進めるとしている。

出典:町田市中心市街地まちづくり計画
このように、大きく変わろうとする町田市駅周辺だが、魅力あるまちづくりが功を奏してか、不動産市場は盛り上がりを見せている。不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の「住まいインデックス」によると、直近3年間で標準的な中古マンション価格は10.57%、標準的な賃貸マンションの賃料は5.17%上昇した。
長期的には人口減少が予測されているが、ベッドタウンとして根強い人気があり、今後の再開発でエリア全体の発展も期待されるところ。ファミリー、単身者がともに住むまちなので、不動産投資の面でも魅力的かもしれない。
健美家編集部(協力:大正谷成晴)
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))