日本一の高さを誇る「麻布台ヒルズ」や「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」を昨秋相次いで開業させた森ビルの勢いが止まらない。
次に仕掛けるのは事業規模7000億、国内最大級の再開発事業となる「六本木五丁目西地区」計画だ。”第2六本木ヒルズ”とも呼ばれるその再開発計画の概要に迫る。
計画地は外苑東通りや鳥居坂、芋洗坂などに囲まれた約10.3ヘクタールにも及ぶ広大なエリア。六本木交差点や六本木共同ビル(通称ロアビル)など、バブル期以前より六本木の象徴として広く知られてきたスポットも計画地に入っている。
六本木駅から麻布十番駅にかけての高低差のある広大な敷地にある鳥居坂は、江戸時代に大名鳥居家の屋敷があったことに由来する。
かつての大名屋敷跡らしく、鳥居坂沿いには今でも重厚な石垣が残り、シンガポール大使館や東洋英和女学院、国際文化会館などの立派な建物が並んでいる。
一方、外苑東通りにはロアビルを始めとする雑居ビルが建ち並ぶ。耐震構造に問題があり解体が決定しているロアビルだが、最後のテナントがまだ入居中の様子。再開発事業は2025年度中の着工を目指していることから、解体に着手するのも時間の問題なのだろう。
六本木交差点にほど近い芋洗坂と饂飩坂沿いにも飲食店などが入居する雑居ビルがひしめいているが、六本木らしい猥雑さが入り交じるこうしたエリアも、2030年までに姿を変えることになる。
再開発計画では、六本木駅及び六本木交差点一帯エリアが抱える・十分な滞留空間がない・日比谷線と大江戸線との連絡通路に階段、エスカレーターしかない(バリアフリー非対応) ・バスやタクシー乗り場が分散しており、駅周辺の乗換利便性が低いといった課題を一新すべく、駅まち広場や交通結節広場を整備する予定だ。
さらに目玉となるのは、高さ327メートル(A-1街区)と288メートル(B街区)の超高層ビル2棟を森林で囲む構想だ。A-1街区は地上66階、地下8階でホテルとオフィスがメイン。B街区施設は地上70階、地下5階で外国人向けの都心型住宅約800戸がメインとなる見込み。
この住宅、海外高度人材の居住ニーズに対応するため平均住戸面積は約150㎡で、コンシェルジュ機能を持った24時間バイリンガルフロントやドアマン、フィットネスジムも兼ね備えるというのだから、価格は一体いくらになるのか。
最高価格200億円以上と言われた麻布台ヒルズを超えてきそうだと今から話題になっているのだとか。
昨年虎ノ門ヒルズが完成し、麻布台ヒルズが開業したからだろうか、今年に入ってから森ビルの辻慎吾社長はメディア各社のインタビューで「都心に森を造る」(2024年02月12日、時事通信社)、「麻布台ヒルズ超える」(2024年3月28日、日経産業新聞)と第2六本木ヒルズプロジェクトを盛んにPRし始めた。
港区における大規模再開発事業を牽引し続けてきた森ビル。2030年に大きく生まれ変わる六本木の街が楽しみだ。
健美家編集部(協力:
(おおさきりょうこ))