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「マンション節税」大幅見直しへ!大幅に節税できる仕組みを国税庁が是正する方針を表明!

不動産の税金/税制改正 ニュース

2023/07/09 配信

相続税を節税する手段として注目されるも
課税の不公平感を助長することに……

高層階の眺望の良さや豪華な共用部を備えることから人気のタワーマンション(以下、タワマン)。首都圏をはじめとする都市部で人気を誇り、いまも全国各地で開発が進められている。

2022年末時点で、全国のストック数は1464棟、約38万戸超に上ったタワマン。都市部を中心に開発が広がり、実需・投資用として高い支持を誇っている。
2022年末時点で、全国のストック数は1464棟、約38万戸超に上ったタワマン。都市部を中心に開発が広がり、実需・投資用として高い支持を誇っている。

国税庁は6月下旬、タワマンを含む高額な不動産を購入すると相続税を大幅に節税できる「マンション節税」について、現行の仕組みを見直す方針を固めた。購入価格より下回りやすい評価額を実勢に近付けるのが狙いで、課税の不公平感を正したい考えだ。

マンション節税とは、物件の購入価格と相続税評価額の差額を利用し、相続税を大幅に軽減する方法のこと。こと、タワマンは両者が大きく乖離するケースが多く、一部の富裕層の間で知られる節税スキームだ。

不動産の相続税を計算する際、評価額は土地と建物(うわもの)の価値で決まるが、土地に関しては国税庁が毎年一度公表する「路線価」を基に計算するのが通例。

ところが、路線価は市場価格に比べると低く設定されることが多く、タワマンのように戸数が多い物件だと1戸当たりの土地の持ち分が小さくなるので、さらに土地の評価額は小さくなる。結果、実勢との間に開きが生じるわけだ。

ちなみに、土地の持ち分を計算する際、階数は関係なく広さに応じて均等に割る仕組み。一般的にタワマンは高層階になるほど物件価格は上がるので、高層階の高額物件になるほど購入額と相続税評価額との差は開き、節税効果は大きくなる。

国税庁によると、東京都にある築9年43階建てマンションの23階、約67㎡の物件の場合、市場価格1億1900万円に対して、相続税評価額は3720万円。この差額分の節税が可能となる。

現金を相続するよりも大幅に相続税を抑えられるので、このスキームを利用する人が増えていた。

こうした状況を国は放置していたわけではない。2017年度の税制改正では、高さ60m以上のマンションをタワマンの定義としたうえで、新築タワマンにかかる固定資産税の課税率を変更することに。部屋の階層が上がるごとに固定資産税も上がり、1階と40階で1割ほど差が出るようになった。

ただし、相続税に対してメスは入っておらず、政府や国税庁は税負担の公平化を図るべく、2022年12月に公表した「令和5年税制改正大綱」で、タワマン節税の防止を強化することを明記。

今年に入ってからマンションの相続税評価の算定ルールを議論する有識者会議を立ち上げ、6月下旬に市場価値に基づくマンションの相続税評価額を引き上げる新たなルールを明らかにした。

マンション節税を封じるため、国税庁は段階的な施策を実施。これまでに学者や不動産鑑定士などで構成される有識者会議で議論されてきた。画像は評価方法の見直しのイメージ 出所:「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」資料
マンション節税を封じるため、国税庁は段階的な施策を実施。これまでに学者や不動産鑑定士などで構成される有識者会議で議論されてきた。画像は評価方法の見直しのイメージ。
出所:「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」資料

新ルールのもとでは、「築年数」「総階数」「所在階数」「敷地持ち分」の4項目を指数化して市場価格を算出する。従来の方法で算出した評価額が市場価格を大きく下回った場合は6割に引き上げることで、マンション節税を封じたい考えだ。

6割を超えている場合は、これまでと変わらず評価額に基づき相続税額を算定する。これにより、高層階になるほど相続税負担は重くなり、相続税や贈与税の負担は増す見通し。2024年1月からの施行を目指している。

評価額が市場価格より過度に低くなるマンション節税は、以前から問題視されていた。

父親からマンション2棟を相続した3人が路線価をもとに税務申告をしたところ、不動産鑑定の価格と乖離があることを理由に3億円の相続税を追徴課税され、処分取り消しを求め訴えた件では、最高裁は実質的な租税公平に反するとして、訴えを退けている。

税負担の公平性を実現するという点で、今回のルール改正は意味がある。一方、節税を目的にマンションを購入するのは、全体のごくわずか。ほとんどは実需として購入しているもで、彼らからするといい迷惑だろう。

あるいは、首都圏の進捗マンションの平均価格が1億円を超えるなど(2023年3月)マンション価格は高騰を続けているが、規制が強化されることで需要が下がり、値崩れを起こす可能性もある。

昨今は社会保障費の増大などを背景に、増税策が目白押しだ。今回の施策も、税負担の公平性を実現するだけではなく、税収増も背景にあると推測できる。

そう考えると、不動産関連の税制改革は今後も加速する可能性があり、不動産投資関連にも火の粉が飛ぶ恐れもある。対岸の火事と思わず、これからの動向を注視したい。

健美家編集部(協力:大正谷成晴(おしょうだにしげはる))

大正谷成晴

■ 主な経歴

フリーランスの編集・ライター。
不動産投資、株式投資、投資信託、FXなどマネー関連、ビジネス全般、働き方、副業、クレジットカード、医療・介護など、幅広いジャンルで取材・執筆を行っている。

■ 主な著書

  • 『決定版 1万円からはじめるFX超入門』(かんき出版)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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