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テナントの水漏れと休業補償で1,300万円!火災保険の施設賠償責任特約と休業補償特約の利用の実例

koziさん_画像 koziさん 第42話 著者のプロフィールを見る

2023/8/22 掲載

少し前に沖縄に行っていたのですが、台風の影響で当初の予定より4日間ほど沖縄に長く滞在することになりました。

久しぶりに台風直撃を目の当たりにして、台風が直撃した場合の所有物件の安全性について考えたのと同時に、台風の被害があった場合に、所有物件で加入している火災保険でどこまで補償されるのかを見直す必要があるなぁと感じました。

そこで、今回は火災保険の施設賠償責任特約と休業補償特約の利用の実例についてのお話をしたいと思います。

■火災保険の施設賠償責任特約と休業補償特約とは

施設賠償責任特約とは、施設(マンションやアパート、店舗物件)の不備で他人や物に損害を与えた時に、補償してくれる特約です。火災保険の特約ではなく、施設賠償責任保険として単体の保険として入る場合もあります。

アパート物件や共同住宅マンションでもエレベーターやオートロックの自動ドアが付いていない場合などは加入しないという大家さんも多いですが、私の考えは違います。

マンションの外壁の落下で駐車中の車に損害を与えてしまった、マンションロビーの床で滑って入居者にケガをさせてしまった、マンション・アパートの構造上の欠陥がもとで損害が生じたなど、様々なケースで施設賠償保険が使えます。絶対に加入しておく方が良いと考えています。

次に、休業補償特約ですが、火災等の事故によって店舗や工場を休まなければならなくなった場合に、復旧までの休業中の粗利益、もしくは売上の損失を補償する特約です。

一般的に大家さんに馴染みがあるのは、火災等の事故によって貸家や貸しアパート、貸し店舗等が損害を受けた場合に復旧までの家賃に生じた損失を補償してくれる家賃補償特約だと思います。

実はそれだけでなく、賃貸業をメインにしている法人が、休業補償特約の特約として「家賃補償」を付加することも可能です。

私の法人の一つは賃貸事業だけでなく保育事業も行っているので、休業補償特約に家賃補償特約も付加した損害保険に加入をしています。それに助けられた経験もあります。

■施設賠償責任特約と休業補償特約(家賃補償特約)の利用実例①

施設賠償責任特約と休業補償特約(家賃補償特約)の利用実例について紹介します。

数年前に関東地方に台風が直撃した際の案件です。
都内に所有する物件の地下に、音楽スタジオとして賃貸している部屋がありました。ここが、数年前の台風直撃の被害を受けました。

被害の内容ですが、備え付けの排水ポンプが台風で故障し、地下室の音楽スタジオが水浸しになり、賃借人がスタジオに設置していた楽器や備品などが水浸しで使用できなくなってしまったというものでした。

また、スタジオ内の水が引くまでに数日を要し、音楽スタジオとしても数週間使用できないという被害が生じましたた。

被害の原因が台風による排水ポンプの故障ということで、私は保険会社に事故受付の申請を行いました。

申請をしてから数日後に、保険会社の調査員が現地調査に来て、被害の状況や原因となった排水ポンプの確認をして行きました。

こちらが保険会社に申請した保険の申請額は、給水ポンプの修理交換と賃借人がスタジオ内に設置していた楽器や備品などの弁償費用、床や防音壁の張り替え費用、音楽スタジオとして使用できない期間の減額した賃料の補償などについてで、合計300万円ほどでした。

申請の結果、保険会社から通知が来て、こちらが申請した300万円とお見舞い金が支払われることになりました。その保険金をもとにその後、給水ポンプの交換、床や壁の張り替えと賃借人への楽器や備品の弁償を行いました。

このエリアは音楽スタジオ可の物件が少なかったため、それなりの賃料を頂いていたのですが、使用できない期間の逸失家賃について、休業補償特約(家賃補償特約)のおかげで保険金が入ってきたのは助かりました。

休業補償特約(家賃補償特約)を付けておいて良かったと思いました。

特に、事業用として賃貸しているとテナントである賃借人は、災害や建物の欠陥などに伴い建物が使用できないことによる休業補償について請求してくることが多くあります。

店舗ビルや事務所などの事業用物件を所有している大家さんは、施設賠償責任特約だけでなく、休業補償特約にも加入しておくことをお勧めします。

■施設賠償責任特約と休業補償特約(家賃補償特約)の利用実例②

次は、別の所有物件で発生した施設賠償責任特約と休業補償特約(家賃補償特約)の利用実例です。特約を使うことになった舞台は、私の会社が設置者となっている保育園です。(自社利用物件で私が保育園の設置者)

今でも覚えているのですが、数年前のゴールデンウイーク期間中に保育園の隣地の方から、自分の携帯に連絡があり、「保育園の2階から水が溢れている」とのお知らせがきました。

私は慌てて保育園に向かいました。すると、確かに保育園の2階から水が溢れ出ていて道路にまで水が浸透していました。取り急ぎ外の水道管の蛇口を閉めると、しばらくして水が溢れ出てくるのは収まりました。

その後、すぐに運営委託をしていた保育園の職員も駆け付けてきました。一緒に建物の中に入ると1階部分は天井から水浸しの状態で、明らかに2階から水漏れが起きているとわかりました。

翌日、水道屋や内装工事を実施した施工業者が現地調査に来て、原因が子ども用トイレに設置しているオストメイト(ミルキーウェイホール)のバルブが緩んでいたことによる水漏れということが分かりました。

バルブが緩んでいた原因は施工時にきちんとバルブが閉められておらず、そのような状況でオストメイトを使用していたことで更にバルブが緩くなっていったということでした。

その結果として水漏れが発生したのですが、偶然にもゴールデンウイーク中の発生だったため、気づくのが遅れて大きな被害になってしまったというわけです。

この時にも原因が判明してすぐに、保険会社に事故受付の連絡をしました。

後日、保険会社の調査員が被害の状況を確認しに来ました。調査員は1階部分の天井が水浸しになっているのを見た瞬間に、「保険金支払いの適用になるので、被害額の申請をして下さい」と言い、調査はすぐに終了しました。

後日、施工業者に1階、2階部分の内装や設備の補修を含めた見積り依頼をすると、約1千万円という金額でした。

その他に、水浸しで使用できなくなった備品の交換代と、補修工事で保育園が開園できなかった期間の休業補償費用が計300万ほど掛かりました。そのため、保険会社には合計で1,300万円の保険金の申請を行いました。

申請金額が大きかったため、満額で申請の承認が下りるのか不安でしたが、申請した金額での保険金の支払いの通知があっさりと数日で届きました。

事業活動総合保険に加入していて休業補償特約も付けていたので、(建物のオーナーとしての休業補償特約は利用できなかったのですが)、事業者としての休業補償特約を利用することができました。

結果、休業補償特約での保険金で運営委託会社への休業補償を行うことができました。

私のように所有物件で自社(自者)利用している大家さんも多いと思います。その物件で災害や設備に不備があった場合の建物が使用できないことに伴う休業補償が発生した場合することもあるでしょう。

あらかじめ、事業活動総合保険に加入して休業補償特約を付けておくと、今回のように保険金で補償される可能性があります。保険料は少し掛かりますが、加入しておくことをお勧めします。

最近は、台風だけでなく予期せぬゲリラ豪雨や竜巻の発生などで災害に見舞われるケースも増えています。所有物件で加入している火災保険や損害保険の補償内容を適宜に見直すことも大切だと感じています。

最後に、沖縄での台風の直撃を体感して改めて損害保険の重要性を再認識させられました。私の経験が、皆様の参考になれば幸いです。

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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

Koziさん

Koziさん

不動産賃貸業
IT系企業のサラリーマン
都内に妻と子供と3人暮らし

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □1980年
    神奈川県川崎市の武蔵小杉の地主の家に生まれる

    □1999年(19歳)
    不動産賃貸業に関わり始める

    □2002年(22歳)
    和光大学卒業

    □2004年(24歳)
    公認会計士、不動産鑑定士の試験に合格
    (他に宅地建物取引士、行政書士、賃貸経営管理士等の資格も持つ)
    IT系企業に入社

    □2008年(28歳)
    叔父の不動産を引き継ぎ2015年に法人化
    会社員を続けながら、不動産事業にも取り組む

    □2018年(38歳)
    企業主導型保育事業を開始

    □2021年
    所有物件数15棟(レジデンス、店舗、グループホーム、保育園)
    年商7億円(保育事業の収入含む)

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