こんにちは、モーガンです!私は不動産投資家のみなさんにDIYを通してリフォームに関心を持ってもらいたいと思っています。
ついつい物件の売買や融資ばかりに目が行きがちですが、不動産投資家は不動産賃貸事業者でもある以上、入居者さんに快適な住環境を提供しなければいけません。そしてそのためには、リフォームの知識が必要不可欠だと考えているからです。
第27話の「 DIYで壁紙張り替えをする方法 」をご紹介したところ、多くの反響をいただきました。まだ読まれてない方はぜひ読んでくださいね。
参照:壁紙張り替えで失敗しやすいポイントと対応策。ボロボロの壁に壁紙を貼る時のコツ。
最近は初期投資が少額でスタートできる築古戸建投資の人気がありますが、その壁紙張り替えをDIYでやる方が多いからかもしれません。それならばと、今回は和室の「 砂壁に壁紙を貼る方法 」についてお話ししたいと思います。
■ 築古戸建の砂壁問題
築古戸建の砂壁は多くのDIYerの鬼門になっています。
古くて、くすんだ砂壁は内見にきた人に暗い印象を与えてしまうので、入居者募集に悪影響が出てしまうことがあります。それを避けるために明るい壁紙を貼ろうと思っても、砂壁の上からだとすぐに剥がれてきてしまいます…。
↑砂壁のままでは入居者募集が難しいことも。
では、どうしたらいいでしょうか?
先日、いつもお世話になっている内装業者さんと共催で、不動産投資家向けに砂壁の対処方法について施工研修会を開く機会があったので、そこで職人さんからレクチャーしてもらった施工方法をご紹介しますね。
↑砂壁の特性をレクチャーしてくれている大工さんの写真
■ 砂壁に壁紙を直接貼ることができない理由
先にもお話しした通り、残念ながら砂壁に直接壁紙を貼ることはできません。なぜなら、壁紙の糊はデンプンに似た成分でできており粘着力がとても弱いのです。
加えて、砂壁の表面は砂や繊維質などでできており、その上に壁紙を貼っても目に見えない隙間ができて、密着性を落としてしまうのです。
そのため、下の写真のように壁紙の端から徐々にめくれ始めて、やがてベロンと剥がれ落ちてしまうということがままおきます。
↑剥がれ始めて下地から浮いてしまった壁紙。ここから徐々にめくれ始めてしまう
貼った直後に剥がれてきたら、コークボンドや木工用ボンドなど、より強い接着剤を用いて補修することはできます。ただ、のちに違う箇所からまた剥がれてくる確率も高く、これが入居した後に起きてしまうと良くありません。
入居者さんの荷物や家具がある中で、補修するのはお互いにつらくて嫌な体験になってしまいます。絶対に避けたいところです。
■ 砂壁に壁紙を貼る3つの方法
壁紙を剥がれにくくするためには、下地となる砂壁を整える必要があります。その方法は主に以下の3パターンが考えられます。
1. 砂壁にシーラーを塗ってから貼る
2. 砂壁に全面パテを打ってから貼る
3. 砂壁にベニヤ板を打ち付けてから貼る
※上記3つの写真提供:アーバントラスト株式会社( 茨城県潮来市 )
1つめは接着剤の一種であるシーラーを塗る方法です。液体のシーラーをローラーで塗っていくのですが、費用も手間も抑えられるので採用する方が多いよう見受けます。しかし、砂壁の砂や繊維の粗さによっては整えきれず、結構な確率で剥がれてくるので職人さんとしてはオススメできないそうです。
現に先ほどお見せした剥がれた壁紙の写真は、施工研修会でシーラーを塗った上で壁紙を貼った結果です。あっという間に剥がれてきて、全て貼り直しになりました(涙)。
2つ目の全面パテはシーラーよりはマシなのですが、砂壁に水分を吸われて乾いた時にはパテごと剥がれ落ちてしまうことがあるそうです。手間が結構かかる割にはリスクも残ってしまうので、こちらもあまりオススメではないと職人さんは教えてくれました。
入居者さんに迷惑をかけたくないというオーナーさんに一番のオススメは、3つ目のベニヤ板を砂壁に打ち付ける方法だそうです。ベニヤ板を木工用ボンドと釘やピンでしっかり固定できるし、壁紙の糊もベニヤ板とは相性が良いので剥がれてくる可能性がほとんどないといいます。
■ DIYで砂壁にベニヤ板を打ち付けて壁紙を貼る方法
「 ベニヤ板を貼る!?そんなことDIYでできるの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
私も丸鋸など危険な工具を使うイメージがあったので、難しいのではと考えていましたが、この施行研修会で職人さんに安全な手順を紹介してもらってからは考えが変わりました。その手順をご紹介しますね。
まず砂壁の枠を計測します。そしてホームセンターで5.5mm厚のベニヤ板を購入し、その時にあらかじめ計測した寸法に工作室でカットしてもらいます。そうすれば、それを持ち帰って木枠にはめ込むだけで済み、安全にDIYできます。
丸鋸を使って自分でカットする方法もありますが、電動回転工具は10年選手の職人さんでも指を切り落とすなどの重大事故を起こすことがあるほど危険です。1カット数十円から百円程度で対応してくれるホームセンターを活用する方が絶対にオススメです。
次に木工用ボンドを塗ります。砂壁とベニヤ板を接着するためです。
↑貼る面に木工用ボンドを塗っている様子。
そして、砂壁にベニヤ板を面打ち機で固定します。
↑面打ち機はプシュっと音を立てながら連続してピンや釘を打ち込むことができる便利な工具です。安全装置もついていて、見た目とは裏腹に参加した初心者の女性でも安全に扱えていました。
上の写真のようにベニヤ板から柱に向けて斜めに釘を打ち込むようにして固定していきます。そうすればコンセント付近など、砂壁の後ろに電線が通っていても傷つけずに済みます。
↑これで完成です!壁紙を貼る下地が出来上がったことになります。
砂壁の面によってはコンセントがあったり、柱が歪んでいてベニヤ板と干渉してしまったりすることがあります。その時はカッターと同じくらい小さなノコギリで穴を開けたり、カンナで削ったりすることで簡単に微調整ができますよ。
↑干渉してしまう部分があったら手のひらサイズの小さなカンナ削ればOK。
↑コンセントがある場合は、その部分を小さなノコギリで切り落とす。
実際に私もやってみたところ、ベニヤ板といっても5.5mmととても薄いものなので、扱いはとても楽でした。ここまでくればあとは普通に壁紙を貼るだけです。
↑参加者全員で手分けして壁紙を貼りました。
どうでしょう?あの暗い印象の部屋がだいぶ垢抜けたと思いませんか?下地が整っているので、シーラーで貼った時と比べて、だいぶ綺麗に仕上がりました。一度ベニヤで下地を作ってしまえば、その後の張り替えも容易です。それも大きな利点ですね。
■ 参加者の声
この施工研修会に参加されたのは、男女合わせて10名の不動産投資家の方々でした。そして半分の方は壁紙貼り初体験。それでもたった半日で、砂壁の2部屋を綺麗に仕上げることができました。女性の方も楽しそうに面打ち機をうってベニヤ板の下地を作り上げていたのが印象的でした。
何人かの方に感想を聞いたところ、ベニヤ板で施工する場合、費用が割高になるのが気になるという声が聞こえました。確かにウッドショックの影響もあり、一部屋あたり2〜3万円の費用増が見込まれます。また、ホームセンターからのベニヤ板を搬入するのも一人だと重くて大変ですよね。
しかしながら、そのほかはとてもポジティブな感想が多かったです。私も実際にやってみて、仕上がりや入退去時のメンテナンス性もそうですし、入居者さんに迷惑をかけない、また投資的にも10年以上の長期的な視野のことも考えれば、ベニヤ板がベストだと思いました。
まだまだ手軽とはいえず、改善するべきところもあるかと思います。さらに良い方法を習得することができたら、またこの健美家コラムで発信していきます。入居者さんに少しでも良い住環境を作れるように頑張っていきたいですね。では、また♪