私はFPとして多くの方にお会いするのですが、最近、よく訊かれるのが、「 会社を卒業した後の社会保険料( 年金、健康保険、介護保険、雇用保険 )」の問題です。
今回は、その中でも特に質問の多い「 健康保険料 」について、触れてみようと思います。
■ サラリーマン卒業後の保険タイプは3つ
日本の医療保険制度は「 国民皆保険制度 」といって、サラリーマンは「 健康保険組合 」、自営業者は「 国民健康保険 」、中小企業の従業員であれば「 協会けんぽ 」など、すべての国民がなんらかの医療保険に加入することになっています。
その際に気をつけなくてはいけないのは、それぞれの保険に特徴があり、選び方を間違えるとお金の流れが大きく変わってくる、ということです。
一つのポイントとして、健康保険組合と協会けんぽには「 扶養 」という概念があり、扶養に入った人は、基本的に保険料を払わなくてもよくなる、ということがあります。
一方、国民健康保険には「 扶養 」という概念がないため、家族が4人いたら4人分の保険料がかかります。おひとり様や夫婦だけの場合は、それほど影響しませんが、家族が多いと大変なことになります。
それを踏まえて、サラリーマンを卒業するとき3つのパターンが考えられます。
①自分の収入が扶養範囲内なら、家族の健康保険組合に入れてもらう
( 配偶者が正社員の場合などは、その扶養に入る )
②市区町村運営の国民健康保険に入る
( 家族全員分の国民健康保険に入る )
③不動産賃貸業などの法人を作って、協会けんぽに入る
( 自分が被扶養者になって家族を扶養に入れる )
僕は、この中で③番の協会けんぽを選びました。
具体的には、自分の法人からの役員報酬を6万円に設定して家族を扶養にすることで、保険料として2,938円を支払っています。自分の会社からも2,938円払うことになりますが、それは会社の経費になります。
私の周りの大家さんも、この③番が圧倒的に多いようです。ちなみに、②番の家族4人国民健康保険で計算すると、36,840円になります。これほど大きな差があるのです。
すぐに決められない時は、今の保険の「 任意継続 」を利用する方法もあります。任意継続すれば、2年間は会社員時代の保険証をそのまま使うことができます。ただし、任意継続の手続きは退職後20日以内に済ませる必要があるので注意が必要です。
また、任意継続の場合は、労使折半だった保険料が折半ではなくなるため、保険料は単純に2倍になります。この段階で、会社のありがたみを感じる元サラリーマンも多いようです。
ちなみに、銀行に会社を辞めたことを黙ったまま、任意継続期間中に融資を通そうとした場合、銀行によっては社員証や健康保険証の提示を求められる場合があります。
その時、健康保険証には( 任意継続 )と入るため、銀行には会社を辞めたことはすぐにバレてしまいます。ウソはやめましょうね。
■ 新築アパートを中心に買い進め、家賃年収5,000万円に
さて、順番が逆になりましたが、ここで自己紹介をさせていただきます。僕は元サラリーマン大家で今は、不動産投資のかたわら、ファイナンシャルプランナーの講演などをしています。
不動産投資を始めたのは今から12年前です。きっかけは、ロバート・キヨサキ氏の「 金持ち父さん・貧乏父さん 」と「 金持ち父さんのキャッシュフロークワドランド 」で自分が疑問に思っていた資本主義の真実を知って衝撃を受けたことでした。
その後、金沢市出身の僕が隣の富山県で活躍している「 そして、私は金持ちサラリーマンになった 」の吉川さんと出会えたのはセレンディピティ( 幸運な偶然 )だったと思います。色々な手法を勉強して、吉川さんに教えてもらいながら、2007年に初めてアパートを建てました。
自分の家も買ったことがなかったので、銀行を周りながらプレゼンを繰り返し、やっと見つけた銀行で3,750万円の借金をする時は実印を押すときに手が震えたことを今でも思い出します。
いろんな不動産投資方法を模索する中で自分に一番フィットしたのは新築アパートを富山県と滋賀県の2拠点ドミナントで1年に1棟~2棟のペースで建てることでした。1棟あたり6世帯から10世帯の比較的コンパクトなアパートにしています。
地方の物件は地場の方が買うことが多いため、出口戦略として5,000万円位がボーダーラインとなるからです。5,000万円を逆から考えると、6世帯から10世帯ぐらいのコンパクトアパートに行き着きました。
所有物件は今取り組んでいる新築物件を合わせてアパート15棟76室。借入金額は約5億円で、年間家賃収入は約5,000万円位あります。すべて木造です。詳しくは大家列伝をご参照ください。
僕が経済的自由を手に入れ、「 早期リタイア 」した先でやりたかったのは、不動産投資という事業を基盤に、自分らしい生き方を自分でレールを引いて走ってみるということでした。
僕が考える自分らしく生きることとは、「 時間とお金と人間関係から自由になる 」こと。言い換えれば、「 時間とお金と人間関係のプライオリティの主導権を資本主義社会( 会社と社会 )から自分の手に取り戻す 」ということです。
ありがたいことに今は毎日、自分の好きなこと、ワクワクする事に重点をおいて行動することができています。
■ 入るお金には熱心でも、出ていくお金は無頓着な不動産投資家たち
僕はぶらぶらしたくて、会社を辞めたのではありません。自分が存在することで、世の中が少しでもよくなればと考え、この手に入れた時間の使い道をいつも考えています。
そんな僕がこのコラムでお伝えしたいのは、不動産投資家に役立つ「 世の中とお金の仕組み 」です。僕が出会う方たちは例外なく、利回りを上げる、家賃を上げる、入居率を上げる。つまり、収入を増やすために、熱心に勉強して、行動しています。
しかし、その一方で、「 出ていくお金 」に対しては、意外と無頓着な人が多いように感じます。せっかく入ってきたお金を手元に残すためには、冒頭で述べた健康保険の話のように、お金のリテラシーが必要です。
もちろん、僕も最初から全てわかっていたわけではありません。物件を売買し、法人を立て、税金を払い、独立する…という様々な経験を重ねながら、今も試行錯誤で、より良い仕組みを模索している最中です。
このコラムでは、そんな自分の経験と、FPの知識を生かしつつ、不動産投資家の皆さんのお役に立てる情報を発信していければと考えています。
特に、少し前の僕のようなサラリーマン大家さんや、不動産投資を通じて自由を手に入れたい方々のお役に立てればと思っています。よろしくお願いします。
セミナーで訪れた北海道で吉川英一さんと一緒に