今回の大家対談は、モーガンさんと、大家業の他、宅建業やYouTuberとしてもご活躍されているサンタリーフさんに登場していただきます。サンタリーフさんのYouTubeチャンネルを見て以来のファンだと公言するモーガンさん。初回はお二人のDIYに関するお話を中心に伺います。
■ 地方都市で中古物件の再生を軸に不動産投資をするお二人
モーガンさん
今日はよろしくお願いします。私が住む関東からサンタリーフさんの住む九州は遠く、なかなかお会いできないと思っていましたが、今回はオンラインで対談の機会をいただけて嬉しいです。
サンタリーフさん
光栄です。自己紹介させていただきますと、私は24歳で花の宅配事業を始めましたが、半年で挫折。その後、29歳で造園会社を設立しました。39歳の時に8世帯アパートを購入し、不動産賃貸業を開始して10年になります。所有物件数は50世帯、家賃年収は約2,400万円です。
不動産賃貸業の他にも、YouTubeで「 リノベのレシピ( 登録者5万人 )」を配信したり、最近では「 サンタリーフ戸建て投資アカデミー 」というスクールを主宰したりしています。
モーガンさん
私は数年前に、サンタリーフさんのYoutubeを見始めてファンになりました。地方都市にある中古物件を「 徹底的に 」リノベする不動産投資スタイルは、本当に衝撃的でした。古い戸建や150万、350万といった格安のアパートをガラッと変えられる様子に憧れています。
今日は同じ地方都市で中古物件の再生を軸に不動産投資をする身として、リフォームに対する信念や今後の不動産投資の展望( 特に地方 )にどんな思いを持たれているか直接お伺いできればと思います。
サンタリーフさんがリノベをしたご自身の事務所
サンタリーフさん
モーガンさんはいつから不動産投資をされているのですか?
モーガンさん
13年くらい前に兼業で始めました。ただ、購入した後は管理会社にすべてお任せで、自分は融資付けくらいしかやっていませんでした。兼業時代は何もやらない大家で、退去が出る度に膨大な見積もりを見てため息をついていました。
ファミリータイプのアパートやマンションが多いのですが、高い時には40~50万円の見積もりが来ていたんです。何故、こんなにリフォーム代が高いのかと思いつつも、自分で何かをしようとはしませんでした。
3年前に介護がきっかけで会社員を辞めざるを得なくなり、余った時間を使ってDIYを始めました。壁紙を変えたり、フロアタイルを張ったりと、表層部分を中心にリフォームしています。
ところで、サンタリーフさんはかなりのお金と期間をかけてリフォームされていますよね。簡単に直して、客付け手数料を支払って貸し出すこともできると思いますが、あえてハードな道を選ばれている理由を知りたいです。
■ YouTubeで大人気のあみちゃんとの出会い
サンタリーフさん
リフォームに関しては、YouTubeをやる前から他の人よりはお金をかけて直していました。費用対効果で見れば、決してよくはありません。リフォームに2倍お金をかけても、家賃は倍になりませんからね(笑)。
私は従業員を雇っています。従業員は仕事にやりがいや成長を求めて入ってくれたのに、例えば、原状回復の壁紙の貼替で一般的なクロスを貼ってとお願いしたら、面白くないと思うんです。とはいえ、事業である以上、コストももちろん重要です。
そんな時にYouTubeを始めたところ、「 リフォームの工程を見せること 」が価値となり、収益を得られるようになりました。幸い、従業員の給料もそこから出せています。今はお金も時間もかけていいから、満足するものを作ろうというのが私と従業員の間の認識です。
モーガンさん
素晴らしい取り組みだと思います。私もあみちゃん( サンタリーフさんの会社従業員 )の大ファンなんです。あみちゃんとはどういった経緯で出会われたのですか?
サンタリーフさん
彼女は私が造園業をやっていた時に、一から素人の人を育てようと思いブログで募集をしたところ、翌日に応募があり、そこで初めて会いました。
造園というとガーデニングでお花を植えてというイメージですが、実際は土木作業よりもきつい仕事です。彼女に「 いま何の仕事をしていますか?」と聞いたところ、カフェでウエイトレスをやっているとのことだったので、それでは難しいと思い断りました。
すると彼女から、「 どんなことでもやる 」と申し出があり、試しに仕事をお願いしてみたところすごい働き者で、もう7年続いています。電気工事士の資格も取得し、色々と会社の為になることを考えてくれるので、非常に有難い存在です。
モーガンさん
あみちゃんの動画は見ていて気持ちがいいです。思い切りが良く、ガーっと一気に仕上げていきますよね。リフォームの仕事をずっと前からやっている方だと思っていました。
サンタリーフさん
私のYoutubeの視聴者の95%はあみちゃんのファンです(笑)。あみちゃんの動画は、ほとんど編集していません。良い職人さんの特徴として、無駄がないということがありますね。
■ ナンバーワンより、オンリーワンなモノづくり
モーガンさん
サンタリーフさんは常々、「 他の人が真似できないリフォームをしたい 」と言っていますが、根底にある思いはどういったものですか?
サンタリーフさん
ナンバーワンより、オンリーワンを目指しています。個性的なデザイン、商品を作っていきたいです。それほど広くないのですが、私が展開しているエリアの中で「 最低家賃で、一番いい設備を提供する 」ことを目指しています。
先輩大家さんの物件を見せていただくと、激安な家賃でもいい設備を投入していて、そうする為に、物件自体を安く仕入れる努力をされています。私は同じ土俵で消耗戦をしたくありません。雑誌で紹介してもらうという目標もあります。
モーガンさん
我々のリフォームとは次元が違うと思いますが、戸建でどれくらいの家賃帯なのですか?
サンタリーフさん
駐車場が2台とれる家を、6万円前後で貸し出しています。近隣の物件と同じくらいの価格帯です。物件自体は100万円で買ったりしているので、利回りで言うとリフォーム後で20%は確保しています。
モーガンさん
サンタリーフさんのリノベ物件に住める人はラッキーですね。あれだけ手をかけても、利回り20%以上はすごいです。
サンタリーフさんが手掛けたキッチンのビフォー・アフター
サンタリーフさん
基本的にDIYでリフォームしているので、自分の給与を考慮しなければ外注する金額の1/3程度になります。DIYで200万円かかるとすれば、工務店では600万円という感じです。
最初にがっつりお金をかけて、出口で資金を回収することを考えています。その間の家賃も、何も直さずに貸すより高くなりますし、最初は時間とお金がかかりますが、合理的なやり方だと思います。
ただし、一般的には、早く貸して早く資金を回収するというのが主流です。また、一戸目を買ってすぐの人が私のような手法を取れるかというと難しいでしょう。資金にもある程度余裕ができて、心の余裕もできた人が、「 次はがっつり直すか 」という感じになると思います。
モーガンさん
確かにそうですね。若い人に限らず築古戸建から入る人は、なるべくリフォームは最低限にして、なんとか住める状態になったら貸し出し、利回りは30%以上を狙っていこうという流れがあると思います。サンタリーフさんとは真逆ですね。
サンタリーフさん
ボロボロだったり残置物が盛りだくさんなものをそのままで安く貸したりする方がむしろメジャーなのかもしれません。私のやり方はすごく特殊で誰からも支持されないと思っていました。でも、モーガンさんのように肯定的にとらえてくれる方が意外と多く、励みになっています。
編集後記
地方都市で物件を再生しながら価値を高める活動をされているモーガンさんとサンタリーフさん。雨風を凌げるだけではなく、住む人の快適さを考えてリフォームされているお二人のお話しは、勉強になりますね。(取材担当:アリ)