第二回では、お二人の銀行員時代のお話しを中心に伺います。オロゴンさん、きょうへいさんは勤め人時代、どの様なお仕事をされていたのでしょうか。また、様々な会社を担当してこられたお二人に、どの様な人がお金持ちだったのか伺ってみました。
■ 属性を活かした借入をすればよかった
オロゴンさん
きょうへいさんは銀行員時代にどんな物件を買っていたんですか?融資は受けていたんですよね。
きょうへいさん
はい。最初の区分マンションは日本政策金融公庫で融資を受けました。その次が、ノンバンクです。ノンバンクの後に、地銀や信金でも融資を受けています。
初心者の頃はできるだけ低リスクで高利回りのものをと考えていたので、そうなりましたが、今振り返ると、銀行員時代にわざわざノンバンクで金利4.3%の融資を引いて再建築不可の戸建を購入する必要はなかったですね。
もし今の感覚のまま、不動産賃貸業を始めた2014年に戻れたら、全然違う動き方をしますね。私はいま1.7億円の借入があるんですが、もっと借りて10億円以上を目指すと思います。銀行員で数字には強かったはずなのに、それがわかりませんでした。当時の自分の感覚と今の感覚では、借金に対しての見方が全然違います。
オロゴンさん
銀行員だからこそ、というのもあるかもしれませんね。銀行員時代は、1,000万円借りるのも心理的にハードルが高かったですもん。
きょうへいさん
オロゴンさんは今、どのくらい借入があるんですか?
オロゴンさん
借金は約800万円です。19戸から入る家賃は月に60万円くらい。平均利回りは50%を超えていますが、私のやり方は再現性がないので、他の方にはあまり参考にならないと思います。
私の投資エリアは北九州なんですが、すごく安く買える物件も多いんですよ。それでも最近は値段が上がってきているので、今は売り時かなとも思っています。ところで、きょうへんさんは90室が転貸ということですが、そちらは借入れはないですよね?
きょうへいさん
はい、転貸は少ない資金で始められますから、ノーリスクというか、気が楽です。その分、利幅は薄くなりますけどね。
■ 支店担当者は大家さんの仲間
オロゴンさん
また銀行の話になりますが、きょうへいさんがいた審査部にはノルマってあるのですか?それとも、支店が決裁を上げてくるものに対して、適切な判断を与えたかどうかで評価されるのですか?
きょうへいさん
審査部という特性上、定量評価ができないので、数字のノルマはありません。その点は営業より楽かもしれません。ただ、各社の格付けをしていたので、その締め切りには常に追われていました。
オロゴンさん
格付けも審査部の担当なのですね。銀行員時代は謄本を見るのが嫌になりませんでしたか?たくさん物件を持っているような会社だと、審査の資料が支店から段ボールで届くのでは?
きょうへいさん
一定基準以上の会社であれば、審査部が担当することもあります。謄本に関しては、不動産賃貸業を担当していなかったので、段ボールで届くようなことはありませんでしたが、そもそも謄本を読み込むのも特に好きということはありませんでしたね。
オロゴンさん
銀行内部の話で言うと、支店の営業と審査部は敵対関係にありませんでしたか? 大家さんから見ると、支店担当も審査部も似たようなもので銀行イコール倒すべき敵と思っている人も多いかもしれませんが、銀行にいた身としてはその見方には違和感がありますよね。
きょうへいさん
わかります。
オロゴンさん
支店担当はむしろ、大家さんとは仲間という意識がありますよね。一緒に決裁権者から融資を引き出しましょう、という感じで。一方、審査部はともに戦う先という認識です。そこを勘違いしている大家さんが多い気がします。支店担当の前で必要以上に固くなる必要もないし、自分を飾る必要も実はないんですよね。
きょうへいさん
同感です。私自身は銀行からお金を借りるときは、支店担当が仲間で、審査が敵みたいな感じで話しています。大家さんと支店担当は利害が一致していますからね。お互いに数字を伸ばしたいのは一緒です。でも、そういう仕組みを知らない方も意外と多いようです。
オロゴンさん
きょうへいさんが審査部にいた頃も、支店長と担当が審査部に殴りこんでくるみたいなことってあったんじゃないですか?「なんで不承認なんだ!電話じゃ埒が明かないから、直談判に行くわ!」みたいなこと。
きょうへいさん
ありました、ありました(笑)。
オロゴンさん
それだけ支店としては、顧客から持ち込まれた案件を通したいということですからね。業績は支店長の出世にも響きますし。そういった支店担当の苦労話を、借りる側はなかなか知りえないですけどね。
オロゴンさんの所有する貸家
■ 日本のお金持ちは中小企業オーナーに多い
きょうへいさん
このままだと銀行の辛い話ばかりになってしまうので(笑)、銀行に入ってよかったことを考えてみたんですが、中小企業のオーナーがお金を持っていると知れたことはよかったです。
自分の場合、そういう人たちに大学までの人生で出会わなかったんです。私は親が公務員ですし、就活のときはサラリーマンの先輩を訪問しました。社会に出るまでに出会う大人の中に、中小企業のオーナーは出てきません。
それが銀行に入って、儲かっている中小企業のオーナーで役員報酬3,000万円クラスの人が普通にいると知った時は驚きました。高学歴なわけでもなく、見た目も普通だけど、実はものすごく儲かっている。私の感じだと、中小企業のオーナーと医者が一番お金を持っている感じがしました。
オロゴンさん
確かに、そうですね。受験勉強を一生懸命やり、いい大学を目指し、そのまま就職活動をした僕のような人間からすると、「 こういう世界があるのか 」「 こんなところにお金持ちになるルートがあるのか 」というのは目からウロコという感じでした。
きょうへいさん
あとは、二代目系の社長もお金を持っていると思いましたね。若い時から会社を継ぐという意識があるので、他の大学生より仕上がっています。ただ、真逆のタイプもいるので、両極端だなとは思いました。大家さん界隈も同じで、二代目は飛びぬけてすごい人とダメな人とに分かれますよね。
オロゴンさん
逆に、思っていたよりお金持ちではない人はいましたか?
きょうへいさん
お客さんで、そういう人はいなかったですね。強いて言うなら、銀行の同僚たちかな(笑)。年収は1,000万円以上あるけど、自由が丘に9,000万円の家を買ったりして、余裕がない人が多かったです。サラリーマン、特に高所得サラリーマンは支出も増えてしまい、お金に余裕がないのが実情だと思います。
オロゴンさん
お金持ちと言えば、銀行の取引先で、創業した会社の株を売却して、いわゆるエグジットした人がおり、その人は本当のお金持ちでしたね。まだ40代でしたが、会社を売却してタイに移住し、高級車を乗り回し悠々自適という感じでした。
中小企業のオーナーもお金持ちだけど、資本主義の世界には、その先にもっとすごいお金持ちがいることを知りました。ZOZOの前澤さんみたいな人たちですね。
きょうへいさん
資本主義社会で上に行こうと思ったら、株か不動産を持たないと難しいですよね。さらにそれを売り抜けていかないと、真のお金持ちにはなれないと思います。余談ですが、利益率で言うと、賃貸業より他の事業の方が圧倒的に高いです。ですので、その当時は不動産賃貸業に特別、魅力があるとは思えませんでした。
ただ、今は大家になってよかったと思っています。中小企業のオーナーが儲かっていて、お金持ちになるにはその道に進むのがいいと分かっていても、自分がどういうビジネスでそっちに行けるのかがわからなかったんです。
でも、不動産を始めたことで、その世界への足掛かりができ、少しずつお金持ちに近づけている気がします。
編集後記
第三回は明日の16時に公開予定です。