手先の器用さに自信のない人でもカンタンに、コスパ良くできるDIYリフォームの技術を伝える「不動産投資初心者のためのDIYリペア講座」シリーズ。
第6回目は「タイル補修」をテーマにお届けする。築古物件のキッチンや浴室などの水回りによく使われているタイル。綺麗な状態であれば良いが、経年劣化で何枚かひび割れていたり、剥がれていたりする場合もあるだろう。
割れや剥がれをそのままにしておくことは美観的にも、機能的にもよろしくないので早めに補修するのが望ましいが、タイル補修のDIYというのは初心者にとってはハードルが高い作業に感じられるかもしれない。だが、ポイントを押さえれば意外なほど簡単にできるものだ。この記事を最後まで読めばきっと「これなら自分にもできそう」と思っていただけるはずだ。
一見難しそうなタイルの貼り替えDIYだが…
剥がす、貼る、目地を入れるの3ステップで意外と簡単に施工可能
これからタイル交換補修の基本的な一連の流れをご紹介する。まずは、劣化したタイルを剥がすところから。「タイル目地削り」と呼ばれる専用の工具で、剥がすタイル周囲の目地をガリガリと削って目地を綺麗に落とす。
次に、スクレーパーや皮スキといったヘラ状の工具をタイルの隙間に潜らせ、てこの要領でタイルを浮かせて剥がしていく。タイルは接着剤で固定されているため、残った接着剤も綺麗に剥がして平らにしておくことが大事。剥離が不十分だと段差ができてしまい、新しいタイルの接着不良や仕上がりのでこぼこ感の原因になってしまう。
タイルが剥がれにくいときは、タイルにタガネ(先の尖った棒状の工具)を金槌でトントンと打ち付けて割ってしまえば剥がしやすくなるはずだ。ただし、周囲の目地はあらかじめ削っておくこと。このひと手間をサボってしまうと、周囲の割れて欲しくないタイルにまで力が伝わって悲劇が…なんてことになりかねないので気をつけていただきたい。
次に、新しいタイルの接着に移る。タイルには専用の接着剤があり、「タイルエース」という商品が有名だ。家庭用の小さなチューブタイプは白色のみだが、業務用には黒やグレーなど色のバリエーションがある。後に入れる目地の色に合わせて選ぶと良い。接着面にまんべんなく塗布し、クシ目ごてを使って写真のようにクシ目をつける。立面に接着する際はクシ目は横につけるのがポイントだ。
タイルの裏にはたいていクシ目と同じような凹凸がついているので、クシ目に沿うようにしてタイルを押し当て、位置を調整してからグッと力をかけて圧着する。完全接着には24時間掛かるため、作業はここでいったん終了。タイルが剥がれ落ちないようにマスキングテープなどを上から貼って固定しておいて、翌日以降に次のステップの目地入れに移ろう。
目地入れはタイル接着の翌日以降に!
目地材は乾くとやせるので充分な量を埋め込もう
タイル目地材は、粉状の商品としてホームセンター等で売られている。粉に水を加えてペースト状に練って、ゴム製のコテなどを使って目地材を目地に押し込むように埋めていく。タイルの表面に目地材がついてしまうのはいったん気にせずに、まんべんなく、充分な量を埋めることが重要だ。量が少ないと目地材が乾いた際に痩せて穴が空いてしまうことになる。
タイル表面に付着した目地材は後からゴムべらなどを使ってやさしくぬぐってあげれば簡単に落とせるので問題ない。ただ、目地材が乾いた後だと途端に落とすのが大変になるので気をつけよう。1時間おきに乾いたウエスでタイル全体を磨くように拭き上げる工程を二度やれば、はみ出た余分な目地材だけを綺麗に取り除きつつ綺麗な仕上がりになる。
2日にわけて施工しなければならないのは面倒かもしれないが、きちんと日を空けることはとても重要だ。完全接着しないうちに目地入れの作業を行うと、せっかく張り替えたタイルの剥がれの原因になってしまう。目地入れは多少の力を掛けながら行う作業なので接着が不十分だとタイルがどんどんずれてしまい、そもそも作業にならないだろう。
工程とポイントさえ知ってしまえば、初心者でも意外とできそうな気がしてこないだろうか。これを機に、まずは空室の数枚のタイル交換からチャレンジしてみてはいかがだろう。