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入居者が死亡したら請求できるのは原状回復費用、賃料相当損害金のみ?善管注意義務違反による損害賠償は認められず

賃貸経営/法律・制度 ニュース

2018/10/08 配信

室内で入居者が亡くなった後での訴訟は例が少ない
室内で入居者が亡くなった後での訴訟は例が少ない

賃貸オーナーにとっての困りごとのひとつに入居者の死亡がある。特に死後に長時間が経過している場合には原状回復に余分な出費が必要になる上、心理的瑕疵ともなりかねない。

その問題につき、ひとつ、最近の判決をご紹介しよう。賃借人の室内での死亡に善管注意義務違反であるとして損害賠償を請求。一部は認められたもののの、善管注意義務については否認されたもので、判決が出たのは平成29年9月である。

賃借人Aが室内で死亡した状態で発見されたのは平成28年5月20日。死亡推定日時は同年3月9日頃で、死亡後約2か月半が経過していた。発見が遅れたことから室内は通常の原状回復では収まらない状態になっていた。

賃料については死亡後も4月〜6月分は振り込まれており、それ以降の支払いはなかった。自動振替にしていたため、死亡後も残金がある範囲で振り込みが行われたものである。

こうした事態を受け、貸主Bは賃借人Aの両親である、C1、C2に対して以下の損害賠償を求めて提訴した。

@平成28年7月1日から本件建物の明渡済みまでの期間の賃料(月額10万円)
A原状回復費用63万6321円
B亡くなったAの善管注意義務違反に基づく損害賠償債務(長期間の空室損害として1年間の賃料の半額相当など)から、賃借人Aが貸主Bに交付していた敷金20万円を控除するなどして算出したとする65万円余

原状回復費用の内訳は以下の通り。
・クロス剥がし及び畳処分費用として4万3200円
・外注対策費及び養生費として1万1437円
・応急の原状回復をする間の車両の駐車場代1400円
・入居期間中に紛失した鍵の交換費用2万7000円
・遺体が放置したために必要になった大掛かりな原状回復費用55万3284円
これらはすべて原状回復に必要で、かつ貸主Bがすでに支払った費用である。

そのため、@、AについてはBの訴えは認められたものの、Bに対しては
・Aの死因は不明で、自殺したとは認められない
・生前持病を抱えていたなどの事情も伺えない
・以上のことから当時、Aが病気で死亡する可能性を認識していたとは考えられず、予見することができたとも認められない
として、善管注意義務違反ではないとした。

つまり、賃借人の死亡によって実際に被った損害については比較的高額に及ぶ原状回復費用も含めて認められたものの、死亡したことで生じた長期の空室等にかかる損害については認められなかったということである。

同種の訴訟はこれまでにはあまり例は多くなく、ひとつ挙げられるのは昭和58年のもの。その事例では賃借人が夏季に病死、約10日後に腐乱した状態で発見されており、悪臭が天井、床、壁など建物部分にすべてに染みついていた。

そのため、修理工事費用180万5000円の連帯保証人と賃借人の相続人への請求が認められたが、このケースでも悪臭のため同室が利用できなかった逸失利益はわずかに賃料1か月分(3万3000円)しか認められていない。

今回の判例では、自然死(孤独死)について、原状回復費用は認められたものの、善管注意義務違反による損害賠償は認められず、その場合、賃貸人の負担は大きくなると言える。

対策として考えられるのは保険や各種見守りサービスの利用。統計によればいわゆる孤独死は高齢者のみならず、壮年男性でも少なからず起きており、備えておく以外には手がないようだ。

ひとつ、注意したいのは長期の入居者。入居時点では若い人でも、10年、20年と入居していればそれなりの年齢になっているはず。本人はもちろん、連帯保証人も高齢化しているだろうから、本当に保証人たりえるか。そのあたりも含め、長期入居者の更新時には注意が必要かもしれない。

健美家編集部(協力:中川寛子)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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