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オープン前に74%入居申込!コクヨ初の賃貸集合住宅の「プロトタイプする暮らし」とは?

賃貸経営/技あり・話題の賃貸物件 ニュース

2023/10/09 配信

各種メディアでも取り上げられ、話題になったコクヨ初の集合住宅 写真/Shinya Rachi
各種メディアでも取り上げられ、話題になったコクヨ初の集合住宅 写真/Shinya Rachi

品川区の東急大井町線戸越公園駅近くにあった社員寮を改装、コクヨ初の集合住宅「THE CAMPUS FLATS TOGOSHI」が開業した。

地下と1階に「プロトタイプする暮らし」を掲げた8つのスタジオを配し、2階以上に住宅という配置だが、9月1日の開業を前に住居の多くが決まっていたという。人気の秘密はどこにあるのか。

チャレンジする場のある住宅が人気

戸越公園駅の脇ではタワーマンションが姿を現しつつある。道路拡幅その他計画があるようだ
戸越公園駅の脇ではタワーマンションが姿を現しつつある。道路拡幅その他計画があるようだ

再開発が進む東急大井町線戸越公園駅から歩いて3分。商店街沿いにあった社員寮を改装して誕生したコクヨ初の集合住宅「THE CAMPUS FLATS TOGOSHI」のメディア内覧会に参加した。

自分が住む建物内にいつかやりたかったことを実現する場があるのが特徴。それをしてプロトタイプする暮らしと称している
自分が住む建物内にいつかやりたかったことを実現する場があるのが特徴。それをしてプロトタイプする暮らしと称している

この物件、特徴はなんといっても1階、地下1階に用意された8つのスタジオ(有料)だ。

ヨガなどに使えるスペースではこの日、実際にプロトタイプする暮らしを実践した人達のトークがあったのだが、そこで登壇した女性がヨガのレッスンを行っていた
この日、実際にプロトタイプする暮らしを実践した人達のトークがあったのだが、そこで登壇した女性がStudio01を利用、ヨガのレッスンを行っていた

ヨガやダンスに利用できる吹き抜けになったStudio01:フィットネス(以下スタジオ番号は省略)に始まり、メニューの試作や料理動画の撮影に利用できるクッキング、ワークショップやイベント会場として利用できるラウンジ、ミーティングや各種カウンセリングなどに利用できる1on1、オンラインミーティングやウェビナー収録に利用できるリモート、リラクゼーション、メイクや着付け等に利用できる施術台とミラーが備え付けられたビューティー、飲食店営業許可付のキッチンのあるスナック、物販や展示などに利用できる屋外のPOPUPが設置されているのだ。

こちらはビューティーと名づけられたスペース。メイク、着付けなどに利用できる
こちらはビューティーと名づけられたスペース。メイク、着付けなどに利用できる

これらのスタジオは入居者以外も利用できるようになっており、入居者であれば10%オフで利用できる。決して無料で利用できるわけでない。それなのにこれらのスタジオが人気を呼び、同物件は内覧会以前、8月23日の時点で総戸数39戸のうち、74%が埋まっていたという。

向上心、副業指向が背景に

この背景には社会、特に若い世代の変化があると内覧会で全体説明を行ったコクヨ株式会社の荒川千晶さん。

「いわゆるミレニアル世代を対象にした意識調査ではスキルアップ、自己研鑽し続けたいと考える人が全体の60%おり、56%には副業指向があるという結果が出ています。

多拠点、移住など居住の流動化にも関心が高い。そうした変化に合わせて住宅も変っていかなくてはいけないのではないかと考え、「THE CAMPUS FLATS TOGOSHI」では新しい集合住宅として3つの提案をしています」。

その3つとは住宅を留まる場所から試す場所へ、街に閉じたものから開いたものへ、共有スペースをラウンジからスタジオにというもの。

憩いやコミュニケーションの場であったラウンジをスタジオにすることで試す場とし、それを入居者とそれ以外の人にも利用できるようにすることで街に開いたものにしていくというわけである。

記者発表で使われた地下1階。写真奥にフィットネス、左手壁側に1on1, 中央にラウンジと限られたスペースを上手に区分け、使えるようにしてある
記者発表で使われた地下1階。写真右手奥にフィットネス、左手壁側に1on1,
中央にラウンジ、右の壁の向こうにキッチンとと限られたスペースを上手に区分け、使えるようにしてある

それに共感を覚えた若い人達が申し込みをしており、彼らは各種スタジオを利用、これまでやりたかったことを試してみようと考えている。これまでチャレンジしたいと思いながらも場を借りることを躊躇していた人にとっては自分の住まいにそうした場があり、割安に借りられるのは良いきっかけになるはず。

「チャレンジをサポートするコミュニティマネージャーを配しており、実務面に加え、集客面などの相談にも乗り、各人のチャレンジを後押ししていきたいと考えています」。

ここでチャレンジをスタート。成功する人が輩出されるようになれば、ある種のインキュベーション施設ともなり得る。集合住宅に新しい可能性を切り開く施設といえそうである。

短期の契約、スタジオ利用で収益を多様化

ところで気になるのは収益。社員寮から賃貸住宅への改修に加え、地下、1階にはスタジオ(1階にはフードスタンドも)も作られている。それなりに費用が掛かったことと推察される。それらが賃料で回収できるのだろうか。

2階以上が住戸になっている
2階以上が住戸になっている

住宅は2階以上で、広さは10.06㎡~25.93㎡。単身者向けの洗面台だけを備えた部屋とシャワー、トイレもある2人入居の可能な部屋があり、広さとトイレ・シャワーの有無で全5タイプ。賃料は7万7000円~14万8500円(*賃料については今後変更の可能性がある)。一番狭い部屋だと7万7000円に水道・光熱・通信費と管理費が合わせて2万円。

住戸自体は至ってシンプル。部屋よりもスタジオが魅力ということだろう
住戸自体は至ってシンプル。部屋よりもスタジオが魅力ということだろう

各室にベッド、マットレス、収納庫(ルームAには無)、デスク、チェア、カーテン、照明、デスクライト、冷蔵庫、エアコンがあらかじめ設置されている。契約は定期借家契約で期間は3カ月から1年間までの1カ月単位。再契約は可能である。

住戸自体は一般的な単身者向けの賃貸住宅とさほど変わらない。家具・家電があらかじめ用意されている分は一般的なものよりはプラスと考えられる。共用施設としてはキッチンの付いたシェアリビング、バスルーム、シャワールーム、ランドリー、有料にはなるがプライベートサウナ(今後設置予定)、グループルームなどもある。

と考えると、賃料自体はさほど高いというわけではない。荒川氏によると相場並みくらいではないかという。

それよりもポイントになるのは最低居住期間が3カ月で、契約自体は定期借家契約で1年と短期であること。入居者が入れ替わりが頻繁にある場合、初期費用がその都度入ってくることになるのである。

また、もうひとつ、スタジオ利用料がある。最初の時点の入居希望者は参加必須の説明会を経てエントリー、その後に面談で何をしたいのかを聞かれており、明確にやりたいことのある人達が入居していると思われる。確実にスタジオを利用する人達と言っても良い。となると、スタジオも賃料同様にきちんと収益を上げてくれると思われる。

スマートロックを使うことで空間の利用者、利用時間を自動で切り替えられる
スマートロックを使うことで空間の利用者、利用時間を自動で切り替えられる

一方でコミュニティマネジャーは配するものの、それ以外では無人化を図っていると荒川氏。エントランスからスタジオへ、住居へはそれぞれスマートロックを利用しており、受付は不要。スタジオも申し込んだ人だけが利用時間にキーを解除できる。

「清掃は住宅にも必要なので、それをスタジオと一体で依頼することなど、運営全体で工夫をしてコストダウンを図れると考えています」。

つまり、スタジオは入居者にとってはやりたいことを障壁少なく始められる場であると同時に運営者にとっては賃料以外の収益を生んでくれる場というわけである。

1on1のスペース。こちらも実にシンプル。真似できそうだ
1on1のスペース。こちらも実にシンプル。真似できそうだ

ちなみに当初のヒアリングベースでは1on1、リモートを使いたいという人が多かったとか。

1階のエントランスから続く場所に位置するスナック。使い方ではある意味カウンセリングルーム的にも使える
1階のエントランスから続く場所に位置するスナック。使い方ではある意味カウンセリングルーム的にも使える

もうひとつ、話を聞いて興味深く思ったのはスナックで「お悩み相談バーをやりたい」という声。スナックを単に飲むだけの場=スナックとして使うのでなく、そこにプロが話を聞く、相談に乗るという付加価値の付け方があるのだ。そう考えると、8つのスタジオにはその数以上の利用法があるのかもしれない。場を柔軟に使うことが価値を生む時代が来ているというわけである。

健美家編集部(協力:中川寛子(なかがわひろこ))

中川寛子

株式会社東京情報堂

■ 主な経歴

住まいと街の解説者。40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくり、地方創生その他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

■ 主な著書

  • 「ど素人が始める不動産投資の本」(翔泳社)
  • 「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)
  • 「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)
  • 「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版)など。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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