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入居者・賃貸オーナーのZEHマンションに対する満足度は90%以上。賃貸マンションも環境への配慮が求められる時代に

不動産投資全般/社会問題・情勢 ニュース

2022/09/13 配信

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今年の夏も猛暑が続いた。毎年のように連日35度を超える夏が訪れ、地球温暖化の要因である二酸化炭素排出を減らすことが世界的な取り組みとなっている。

東京都では、カーボンニュートラル目標として2050年にネットゼロを表明しており、2030年までに2000年比で50%削減を定めている。

この脱炭素社会の動きは、不動産にも大きく影響を与えている。建物から排出されるCO2は4割を占めるとされ、業界各社も独自に取り組みを始めている。

金融機関も脱炭素を支援する動きを進めている。三井住友信託銀行では、不動産領域において受託不動産の温室効果ガス排出量ネットゼロに向けたサポートプランの提供に着手する。

環境不動産の普及に向けての省エネコンサルティングや、非化石証書受託者購入サービスなど再エネ電力の導入コンサルティングも展開する。

同行は国内で最大規模の約22兆円の受託不動産を取り扱っており、受託不動産での温室効果ガスの排出量の算定と可視化で、ゼロボード(東京都港区)との協業により、不動産の運用段階の温室効果ガス排出量を算定するサービスを年内に開始する予定だ。

賃貸住宅も迫られる再生可能エネルギー導入

不動産投資の領域においてもESGに配慮した投資が求められ、そうした対応をしない不動産は投資家から選ばれない。JLLなど不動産サービス大手は、そうした見方で口をそろえる。

アーバネットコーポレーション(東京都千代田区)は、オリックス銀行、不動産販売のメイクス(東京都渋谷区)との協業により投資用ワンルームマンション開発に「ZEH-M Oriented」の評価基準を満たす物件を東京都練馬区で「(仮称)氷川台プロジェクト」として進めている。総戸数36戸の賃貸マンション。鉄筋コンクリート造4階建て延べ床面積1220.10㎡を2023年2月末に竣工・引き渡しの予定だ。

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、通称「ゼッチ」として呼ばれているもので、集合住宅にはZEH-M、Nearly ZEH-M、ZEH-M Ready、ZEH-M Orientedの4種類がある。

ZEH-M Oriented仕様は、高性能断熱材や高断熱窓、高効率な設備を使用することで消費する年間の住宅エネルギーを正味20%以上削減。氷川台プロジェクトでは、ZEH-M Oriented仕様とする省エネ設備、断熱性能を導入した場合、通常のマンションよりも1戸当たり50万円ほどコストが増える見込みだ。

アーパネット写真
アーバネットコーポレーションの「氷川台プロジェクト」完成予想パース

オーナーと入居者のZEH満足度は高い

このように環境対応型の不動産の開発は、その分コストアップが生じる。利益重視で開発費用はなるべく抑えたい不動産オーナーが積極的に導入するかどうかが普及に向けてのポイントとなるが、ZEH補助金執行団体である一般社団法人環境共創イニシアチブの調査を見ると、賃貸オーナーのZEHに対する満足度は高い。

同団体が低中層ZEH-M促進事業」の補助金事業者(マンションオーナー)と入居者を対象に実施した2回(夏季・冬季)のアンケート結果では、マンションオーナーのZEH-Mに対する満足度は90%以上となっている。

年間を通じて半数以上が早期に入居者が決まり、空室も少なかったとしている。入居者も夏季・冬季ともに90%以上が快適と評価し、電気代が以前よりも「安くなった」と回答した入居者は夏季に6割以上、冬季で5割以上となっている。

太陽光パネル義務化は炭素税みたいなもの?

東京都では新築戸建て住宅に太陽光パネル設置を義務化に動き出した。今年12月の関連条例の改正案を提出すると報じられ、周知期間を経て2025年4月から都内で新築する戸建て住宅に適用される予定だ。

個々が所有する資産に対して強制的に太陽光設置を進めることについて、消費者からは「義務化はいかがなものか。炭素税を課されたようなものだ」との声も聞かれる。

ただ、複数の住宅・不動産会社や、その周辺事業者からは「太陽光パネル義務化に関しての反応は世代間格差がある。若い世代では賛成、50代や60代と年齢が上がるにつれて反対が多い。20代、30代は環境悪化の中で過ごしたくない、余生が短くなるほどその関心が薄くなるからだと推察している」として、義務化するのであれば、何らかのインセンティブが欠かせないと指摘する。

個人に限らず企業単位の法人も同じだ。メリットを感じないと動かない。大企業の脱炭素の取り組みは積極的だが、中小零細企業はその意識が追い付いていないとする。

補助金の拡充などで大きなインセンティブを与えるアメと、脱炭素への取り組み状況を公的機関が開示するムチの政策を組み合わせることが必要になっている。

不動産投資業界にとって持続可能な社会があってこそ成り立つ。政府や企業だけでなく、個人単位の意識の高さが欠かせない時代となっている。

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健美家編集部(協力:若松信利(わかまつのぶとし))

■ 主な経歴

学生時代から不動産に興味を持ち個人的に不動産関連の記事を多数執筆。大学卒業後、不動産関係情報誌に20年以上勤務。現在は都内のIT会社に勤め、副業でいくつか投資関連の記事を担当・執筆する40代サラリーマン。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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