かつて陸の孤島と呼ばれたまちが
新しく生まれ変わる。
足立区六町は、つくばエクスプレスの開業に向けて、約69haという大規模な土地区画整理事業が行われたまちである。
2005年に「六町駅」が開業してからも土地区画整理事業を続けており、まさに今もまちづくりの途上だ。
筆者は開業当初の「六町駅」近くに住んでいたことがある。東京23区内にありながら、広い敷地が確保できたからか、庭のある広いつくりの住宅や畑、倉庫や運送会社が目立った。
駅前に大型のスーパーはあったものの、コンビニや居酒屋などは少なく、不便な面もあった。
ただし、つくばエクスプレスで「北千住駅」まで5分程度で行けるため、北千住で買い物をすることも多かった。
ちなみに、「秋葉原駅」まで16分、JRに乗り換えても「東京駅」まで30分と利便性は高い。
以前は普通電車しか乗れなかったが、人口増加に伴い2012年からは通勤時間帯に通勤快速が停車するようになり、2020年からは区間快速も停車するようになった。
駅の開業に合わせて開発されたため
周辺には築浅物件が目立つ。
都内に住んでいる人でも、「六町駅」がどこにあるか知らない人が多いだろう。埼玉県八潮市、草加市にほど近い、足立区北東部に位置している。
知名度が低いからか、駅開業当初は駅5分、新築で広めの1kであっても周辺の相場よりかなり安く借りられた。
そもそも開業前は賃貸住宅の需要が少なかったため、周辺の賃貸住宅は新しいものが多いのだろう。しかも、比較的安くて、広い。現在も工事があちこちで進められている。
行政と住民が力を合わせて
「新しいまちづくり」に取り組む。
2022年11月に、つくばエクスプレス六町駅前広場に、六町のまちの防犯拠点として、六町駅前安全安心ステーション(愛称名「ろくまる」)が開設された。
住民の要望で生まれた区内初の交番であり、直通テレビ電話システムなど、ハイテク機器を有する「インテリジェントボックス」だ。
これに限らず、六町では行政と住民が力を合わせて「新しいまちづくり」に取り組んでいる最中である。
現在進行中の土地区画整理事業の現場に足を運ぶと、建物が取り除かれた広大な更地に驚かされる。
東京都都市基盤整備局によると「新駅を中心とした広域拠点と周辺の秩序ある発展のため、都市基盤を整備し、良好で利便性の高い市街地の形成を図ること」を目的としている。駅前広場や道路、公園緑地が整備されるそうだ。
土地区画整理事業の施行期間は、事業計画では2022年度までとなっているため、来年には新しいまちの輪郭が見えてくる。六町エリアのプレゼンスも向上しそうだ。
この令和の時代に、東京23区内で新しいまちが生まれるのは珍しいことではないだろうか。
東京駅から30分以内の利便性
築浅の中古マンションでも安い?
2021年10月にスーモが発表した「東京駅まで30分以内、中古マンション価格相場が安い駅ランキング 2021年版」で、六町はカップル&ファミリー編で2位となった。六町周辺の物件は築浅が多いため、他エリアよりさらに割安感があるかもしれない。
また、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の住まいインデックスによると、「六町駅」の標準的な中古マンションの価格は直近の3年間で13.98%程度上昇。東京都の変動の13.15%に比べて同程度の水準である。
割安なまちと言われているが、ジワジワと不動産価格が上昇している。まちが完成する前に、値頃な不動産がないか探してみてはいかがだろうか。
健美家編集部(協力:
(とやまたけし))