10月10日に都市計画が決定
東京都江戸川区の船堀駅北エリアで進む「船堀四丁目地区」の再開発について、10月10日に都市計画の決定が告示された。
対象区域は、都営新宿線船堀駅の北にある「タワーホール船堀」に面する約2.6ヘクタールの土地だ。
上記の地図を見てもわかる通り、もともとは都営アパートや勤労福祉会館という施設などが建っていた。なお、既存建物はその大半が既に解体済だ。
再開発のデベロッパーは既に決まっており、日鉄興和不動産と東京建物が事業協力者として選出されている。
再開発区域は南北に分けて開発される予定であり、北側敷地には江戸川区庁舎が新設される。南側敷地には再開発ビルが建設される予定だ。
再開発ビルの建物規模は、敷地面積が約7,300㎡・延床面積が約60,400㎡。
地上26階建てで、主な用途は商業施設・オフィス・住宅・駐車場等となっている。住宅については約400戸が供給される予定。
記事冒頭に掲載している完成イメージ図を見る限りでは、低層階に商業施設やオフィスが入り、高層階が住宅となるようだ。
今後のスケジュールとしては、2024年度に再開発組合設立認可、2025年度に権利変換計画認可の予定。
船堀駅前地区まちづくり基本構想
船堀駅は都営新宿線で新宿駅から16駅目だが、30分で着く距離にある。駅の西には荒川が流れており、船堀は江戸川区と西の江東区との境界に該当する街だ。
都営新宿線は岩本町・神保町など東京都心のオフィス街を横断する路線であり、船堀では都心に勤めるサラリーマンなどの入居を狙えるだろう。
江戸川区は今年の3月に「船堀駅前地区 まちづくり基本構想」を策定しており、船堀駅周辺エリア約30ヘクタールについて、今後の都市開発方針を示していた。
※引用:江戸川区
区役所庁舎の移転に合わせて、江戸川区が掲げる船堀駅周辺エリアの将来像は「区の中心として、資源と人のつながりが未来を支えるにぎわいのあるまち」というものだ。
その一方で、まちづくり基本構想では、対象エリアが抱える課題として主に以下のポイントが挙げられている。
- 商業施設は多いものの住民間交流の場が少ない
- 駅前のバス停が分散しているため、地域住民からは利便性向上の要望がある
- 水害・地震・火災などの災害リスクがある
- 多くの建物において老朽化が進んでいる
上記の課題を解決するべく策定された「まちづくり方針」は主に以下のようなものだ。
- 多様な都市機能を集積する
- バスや通行者と歩行者との動線を整理する
- 災害に対応できる「高台まちづくり」を進める
船堀四丁目地区の再開発は、まちづくり方針においては「にぎわい交流ゾーン」の中に入っており、ゾーンの中でも「拠点形成エリア」とされている。
タワーホール船堀を中心とした、賑わい交流の充実に向けた複合施設を作るとされており、再開発建物はこの方針に沿ったものと言えるだろう。
2022年10月に開催された、まちづくり基本構想の策定に向けた意見交換会には延べ約450人が来場するなど、活発な議論が交わされている様子が伺える。
地元の関心が高ければ、現在進行しているものとは別の、新しい再開発が誘致される可能性もあるのではないだろうか。今後の展開に要注目だ。
取材・文:
(はたそうへい)