■繁忙期を迎えて退去が5室
繁忙期を迎えましたが、読者の皆様の運営状況はいかがでございましょうか?
私の方は、コロナが第5類へ移行後初の繁忙期のためか、5室ほぼ同時に退去連絡が入りました。
うち1室は、コロナ禍中にご入居頂いたお客様で、家賃支払がやや遅れぎみだったのですが、2年目の更新直後に、3か月連続の滞納になってしまい、やむを得ず訴訟手続きに入らせて頂きました。
保証会社さんが付いて下さっていますので、私の方は対処方法の意思決定と、書類への署名捺印が実務で、現場交渉は保証会社さんが動いています。
弁護士の先生に訴訟手続きに入って頂き、強制執行直前で入居者に退去合意を頂くことができ、退去届に署名捺印をして頂けました。
今後、退去立会、又は再度強制執行になるか、保証会社さんと密に連絡を取りながら進めて行く予定です。
こちらは運が悪かった例でしたが、別物件では建物全体の大規模修繕が完了したタイミングで、偶然ですが、入居者がマイホームを購入されて、ご退去となりました。
このお客様は、新婚でご入居後、7年間お住まい頂け、今回、上のお子様が小学校ご入学のタイミングで、下に第2子がご誕生なさったので、マイホーム購入によるお引越しを決断なさいました。
6年目の更新時に、お子様の状況などをお伺いしていたので、そろそろご退去かな?と予想はしておりました。
お子様が二人いらっしゃったので、室内はかなり傷んでいるだろうと覚悟して、退去立合いに臨みました。
ところが当日、室内へ入って見ると、意外に綺麗で、特に一番心配していた、フローリング材が殆ど傷んでいなかったのは、大変有難く思いました。
築40年超の区分分譲マンションですが、共用部建物全体の新築来3回目の大規模修繕が完了直後ですので、共用部が新築のように綺麗になっており、非常に良いタイミングだったと感じています。
この物件は過去2回の大規模修繕を経て、管理組合積立修繕金が1億円程度溜まっていました。
何より有難かったのは、この修繕金を有効活用し、専有部玄関のドアを最新の高級感あるダブルシリンダー取手タイプに全交換して頂けたことです。
昭和の時代の団地風の丸型ノブのドアが、実需向けの新築分譲ファミリーマンションの様に(?)見えるようになりました(笑)。
住まわれているお客様の生活状況をある程度お伺いしておくと、大家としても退去の予想などが読めますので、手の掛からない、善良なお客様の場合には有効な方法だと思います。
お客様の特徴によって、管理方法(管理会社の有無や管理メニュー選択)、接し方や距離感の保ち方なども、ケースバイケースで一部屋毎(物件毎)に臨機応変に対応できるのも、区分物件のメリットだと思います。
今後、3月末に向けて、原状回復、募集と頑張って行こうと思います。
■バランスシート・グラフ形式のシミュレーターをエクセルで作成してみましょう
前回まで、大家さん仲間のAさんが購入された六本木の中古区分マンション(図1)を題材に、BSとPLを自動作成できる簡易シミュレーターを作成したお話をしてまいりました。
それを用いて、バブル期以来の最高値更新が注目されている株式投資で、最近特に重視されているROE、ROA、DOE、配当性向、PER、PBRを自動算出してみました。
健美家編集担当者から、前回第75話コラムのグラフの作成方法を、是非紹介して欲しいとリクエストを頂戴しました。
そこで今回は、このバランスシート・グラフを自動作成するシミュレーターを皆様と一緒に作成してみましょう。
前回もご紹介の通り、これはあくまで、初心者が購入前に事前検討なさる場合の簡易ツールですので、正式な決算用は、専門家にご相談いただくようにお願い申し上げます。
■エクセルでグラフ化できるフォーマットに表を組み直す
ソフトウェアが得意でC、C++、VBなどを自在に使いこなす方は、ご自身が使い易いシミュレーターを簡単に書けると思います。
入門者の方は、最もポピュラーなMicroSoft社のOfficeパッケージのExcelアプリソフトを使うのが良いと思います。
私ども大家さんは図2のようなBS、PLの形式に馴染み深く、見慣れていると思います。
一方、エクセルのグラフ作成機能は制限があるので、この見慣れたBSの表から、いきなり見慣れたBSのグラフを作成できる選択アイコンは用意されていません。
そのため、何段階かの手作業を経て、POPアップツールを幾つか使いながら、グラフのパラメーター設定を変更する必要があります。
まず、最も基本となる作業は、図2を元に、パラメーターと数値を切り出して、図3のようなグラフ作成用の表を書き出します。
図3の表形式に組み直すと、皆様が普段から使っているエクセルの棒グラフ作成機能を選択すれば、図4の形式のグラフが自動作成できます。
しかし、このグラフは、皆様が見慣れているバランスシートのグラフ形式ではありませので、次の操作を行います。
■積上げ縦棒に様式変更する
エクセルのバージョンにより細部が多少異なりますが、図5の「グラフのデザイン」→「グラフの種類の変換」→「縦棒」を選択すると左側の通常形式の棒グラフが「積上げ縦棒」に自動変換されます。
これで図6が出力されますので、一応各支出入科目が棒グラフの縦軸に積み上がった形式になりました。
それらしくは見えますが、まだ、見慣れたバランスシートのグラフにはなっていません。
そこで、次にグラフの棒の支出入科目に相当する色の部分にカーソルを置いて、更にカーソルボタンを右クリックします。
すると、図7のPOP画面が現れますので、「データ系列の書式設定」→「要素の間隔」を選択して、「W」を0%に設定すると、図8のように2本の離れていた棒グラフが自動的に幅寄せされて、双方がくっ付きます。
更に、グラフ上に各支出科目名称が入るようにしましょう。
図9のように、先ほどと同じく、カーソルをターゲットにするグラフの収支科目該当する場所へ移動させ、右クリックします。
「データラベルの書式設定」を選択すると画面右端側に、選択画面が現れますので、□系列名、□値、□引き出し線を表示する、それぞれの□内にレ点を入れます。
以上の操作を行うと図10のように、見慣れたバランスシートが自動表示されるようになります。
次回は、このシミュレーターを用いて、色々パラメーターを変えてみて、バランスシートがどのような変化をするのかを皆様とご一緒に見てみたいと思います。
特に、これから物件をご購入検討中の入門者の方にとって、買ってよい物件、失敗するリスクが大きい物件などをビジュアル的に見極めるのに役に立つと思います。