こんにちは♪ ガングロです♪
お正月の能登半島地震受けて、被災地の地価の動きがどのようになるのか、皆さんご興味があられると思います。
私が熊本地震で被災した際に、被災地の地価の動きは同じ道のりを歩むという事を教えられたので、今回はそれをシェアさせて頂こうと思います。
■被災地の地価の動きは似た運命を辿る!?
熊本地震で被災して数か月たったある日のこと、私達不動産業者は未だに地震後の対応に追われる日々を過ごしていました。
みなし仮設住宅を求める人、被災した物件を売却したい人、新しく家を購入したい人、熊本を離れることを決心した人、いろんな要望があって、いろんな補助金の制度があって、不動産業者は皆てんやわんやしていました。
そんな中、不動産業者の集まりがあり、息抜きに参加してみたところ「被災地の地価はどうなるか」という議論になりました。メンバーに東日本大震災を経験している人がたまたま来ていて、こう言いました。
「被災地の地価の動きは似た運命を辿るから、東日本大震災の時の地価の動きを勉強しといた方がいいよ。熊本の地価の未来が知りたいでしょ?」
私は強く衝撃を覚えました。
知りたい知りたい知りたい!!!
東日本大震災の時はどうなったの?!
「被災地でも被害が大きかったエリアは地震後の数年は下落が続き、逆に被害が軽微だったエリアは移転需要で地価が上昇したんだよ。でも徐々に復興が進むにつれて、皆地元に帰りはじめた。
被害が大きかったエリアも地震前より地価が上がった。熊本もきっと同じ運命を辿るよ。そういう目で地価を眺めておいた方がいい」
そうなのか!!!
それはいいことを聞いたぞー!!!
私は熊本も東北と同じ地価の動きをするのかどうか、観察してみることにした。
以下、地震前から最近の地価動向の観察結果です。これは地価公示価格を指標にしておらず、あくまでも不動産業者としての私の体感ですのでご注意ください。
1)震源地(益城町)
地震前はローカルTVでも子育て世代に人気急上昇中エリアとして取り上げられるほどの人気住宅地だった。緩やかに地価上昇していたところ、地震が発生。ライフラインは分断され、道路も割れてガタガタ、被災住宅が沢山売りに出されて市場が崩壊し、地価はどんどん下がっていった。
風評被害もあった。全国№1のハウスメーカーの営業マンは、益城町に家を建てるのは会社から勧めないように言われていると話していた。震度7が2回起こったエリアという事で、3回目があるかもしれないとみんな不安になっていたからだった。
地震から8か月後にはメインストリートの4車線化、地震から10か月後には町役場周辺の土地区画整理事業が事業決定した。今後10年で益城は地震を機に変わると大々的にアピールした。
それが功を奏してか、地震後2年目からは徐々に地価が上昇し、現在では地震前の地価よりも10%~20%上昇している。
2)熊本市
熊本市でも被災した住宅が売りに出されて売買が活発化した印象があったが、益城町のように混乱はしていなかった。被害が少ないエリア(北区)が地震前に比べて人気になってきている印象だった。地価は地震の影響は受けていないようだった。
地震とは無関係な要因(再開発・TSMC)効果で現在も上昇の一途をたどっている。
3)熊本市北側の市町村(合志市、菊陽町、大津町)
地震前から、子育て対策などで元々人気地域であったが、地震の被害が少ない事で、地震後はさらに人気地域となり、需要過多で地価がかなり上昇した。地価が2倍以上にも跳ね上がった地域もあった。このエリアは追い風しか無いのか、今やTSMCバブルで更に地価が上昇している。
簡単に書きましたが、正に東日本大震災の時の地価の動きと連動しているように思えます。という事は、能登半島も・・・?土地勘がある方はぜひ検証してみてくださいね。
■熊本地震の後で地元不動産屋として経験したこと
地震の時の不動産の動きとして、地価の動向の他にも特筆すべき事象がありましたのでご紹介致します。
1) 賃貸需要が爆発!熊本から空室物件が消えた??!
被災して自宅に住めなくなった人のために、仮設住宅が作られましたが、全く数が足りませんでした。
そこで熊本県と熊本市が「みなし仮設住宅」という被災者支援を始めました。4人までの同居は1戸当たり6万円、5人以上の同居は1戸当たり9万円までの家賃を県や市が負担してくれるという事で、熊本の家賃相場が軒並み上がりました。
今まで4.5万円や5万円の家賃だった部屋は家賃一律6万円、7万以上の家賃だった部屋は一律家賃9万円になりました。完全に貸し手市場です。復興需要で建設会社が借りるケースも多かったですしね。
熊本に県外のアパート建売業者が地震から2年後に参入してきてこう話していました。
「熊本は駐車場が無いとアパート経営は厳しいと思われていたのですが、駐車場が無くても満室達成ですよ!これから駐車場が無いアパートを沢山建てようと思います」
このアパート業者の代表的な間取りは1LDK、家賃は6万円前後。空室余りになった時にこれだけ高額の駐車場が無いアパートが生き残れる可能性は果たしてあるのだろうかと疑問に思いますが、アパート業者は建てて販売するまでが仕事なので、先の事は関係ないのでしょうね。
2)日本で一番住宅を建売する業者が熊本に初上陸!!
日本で一番住宅を建売する業者が熊本にやってきて、「震災復興」と称して1か月に100戸ペースで建売住宅を建築していきました。
その建売業者は土地を建売業者の中で一番高く買う、不動産業者には仲介手数料を満額払う、という戦略をとっていたため、不動産業者から土地の紹介がひっきりなしにあったため、そのペースで建築できたのです。
熊本は被災者の数に注文住宅の建築が間に合わず、2~3年待ちの状況が続いたので、この建売は爆発的に売れました。私としては、熊本の地場の会社に復興需要のお金が流れて欲しかったのですが・・・。
この建売業者は正しく「漁夫の利」に見えました。
以上が熊本での地震の後の不動産市場の動きです。
阪神大震災のあった神戸や、液状化した浦安などの土地も、ずっと低いままということはなかった気がします。
「歴史は繰り返す」といいます。皆さんも参考にされてみてくださいね。