こんにちは!火の玉ガールです。前回のコラムで、最後に「 築古物件の片付け・解体で出てきて欲しくないモノNo.1てなんですか? 」と書いたところ、様々な反応をいただきました。
参照:事前のルール作りが肝心!DIY可能物件では入居者と大家との考え方のギャップに注意
圧倒的に多かったのが『 位牌 』、『 仏壇 』、『 お骨 』等でした。
たしかに、これは困りますが、さすがにこのあたりのものが出てきたら、売買時の仲介業者さんに連絡して、前の売主様に処分していただくという案件ではないかと思います。
いくら契約不適合責任( 瑕疵担保免責 )の契約を結んでいたとしても、社会通念上、人道的に他人が勝手に処分していいものではないと考えられるからです。
旧所有者様がどうしても引き取れない、連絡が取れないなど、やむを得ない場合にはお祓いしてもらって然るべきところに引き取っていただくなどの処置を、大家がすることになるのかもしれません。
そ・し・て、今回私の物件から出てきたものは、これらのものではありませんでした。今回出て来た困った残置物は、処分に困る産業廃棄物の代表「 アスベスト建材 」です。正確に言うと、「 アスベスト含有の可能性が極めて高い廃棄物 」です。
写真の小屋を入居者様が撤去すると言うので、何も考えずOKしたところ、小屋の床の下から産業廃棄物がどっさり出て来たのです。入居者さんの内装DIYを一緒にやっていた大工さんが発見して、「 大家さんに連絡を 」と入居者さんに言ったそうです。
大工さんがなぜ大家に連絡することをすすめたかというと、「 アスベスト建材は専門業者でないと処分ができず、業者に頼んでもおそらく10万円以上はかかるので、まず大家さんに連絡して、それから大家さんが区役所に相談をして最適な処分法を見つけるのがいいだろう 」と考えてくれたためです。
それで私に連絡がきたわけですが、「 アスベスト 」と聞き、「 カンタンに小屋壊していいとか言わなきゃよかった… 」と冷や汗ダラダラでありました。しかし、考えてみればこれも自分の無知が招いた結果です。
2年前にこの物件を購入する際、内見時に物置の中身までしっかり確認してもらっていれば、これらは売主さん負担で処理してもらえたかもしれません。しかし、いまさらそんなことを言っても後の祭り。すでに物置はぶっ壊されてしまいました。
ちなみにこの家の売主様は遠方にお住まいで、お爺様の実家を相続して所有者になった方です。何年もこの家には来ておらず、契約その他の窓口も近所に住む甥っ子さんに全部お任せ状態でした。購入後2年も経った今、相談したところで相手にしてもらえないのは明白です…。
この建材、放置されていた時の状態から考えても、この家の建材として使われたのではなく、リフォーム等をした際に業者が勝手に他の現場から持って来て不法投棄した可能性が高いと思っています。
出てきてしまったからには知らんぷりもできないので、さっそく大工さんに言われた通り、区のホームページをポチポチしたところ、このような記載を見つけました。
「 お!清掃事務所が戸別収集する、だと・・・? 」「 しかし、これは家庭用品なのか・・・? 」あれこれと考えつつ、今度は清掃事務所のホームページをポチ。
「 うーん、こっちはあんまり関係ないか… 」と思いつつ、一縷の望みを託してお問い合わせ窓口に電話してみました。すると、やはりこれらは「 家庭ごみではないため、専門の業者に処理をお願いするように 」とのことで、専門業者を3社紹介していただきました。
■ 専門業者3社に見積りを出してもらう
東京都環境局でも産業廃棄物処理業者を検索できるページがあるので、念のため”石綿含有産業廃棄物”を取り扱い可能としている業者を検索してみたところ、9,000件以上もヒットして、選べない…。結局、清掃事務所に紹介していただいた3社にコンタクトを取ってみました。
連絡方法は、それぞれの公式ホームページの”お問い合わせ”から、上記の廃棄物の写真を添付し( できない会社の場合はメールアドレスを教えて下さい、と書く )、発見された経緯を書いて見積を依頼しました。
そうして、届いた見積は以下の3枚です。
下は4万円台~上は23万円超、と大きな差があり驚きました。いくらなんでも金額に差がありすぎませんか???
そのうちの一社は、見積作成の前に電話を下さいました。
「 処分費、けっこうかかりますよ 」
「 見積見たらびっくりして、結局処分せずに古い家だと軒下にそのまま寝かしとく人とかいるんですよ 」
なぜか、どうにかして捨てるのをやめさせよう( ? )と誘導してきます。「 処分せずに寝かしてどうするんですか? 」と突っ込んでみたら、「 将来に先送り・・・ 」とごにょごにょ仰るので、呆れてしまいました( 笑 )
アスベスト廃棄物は、飛散性と非飛散性の2種類があり、今回は後者のゴミですので( 前者の場合は捨てるだけではなく、解体前にまた別の手続きが必要 )、壊さない限りは石綿が飛散することはありません。
処分するのに10数万円も払うんだったらこのまま軒下にでも放っておこう、と考えてしまうのも分からないではありませんが、もう見つけてしまったので、またどこかに隠すわけにはいきません。
■ もっとも安い業者に処分を依頼
もちろん安いところに頼みたいのですが、あまりにも見積もりの差が大きいので、4万円台の業者に対して「 本当に金額が合っているのか? 」「 後から色んな名目でどんどん追加されるのではないか? 」と不安がわいてきました。
電話で何度も話したあとで、この一番安い業者さんと契約を交わすことにしました。ところが数日後、送られてきた契約書に添付された覚書を見てみると、運搬費・処分費が見積書と違う!
「 やっぱりアスベスト処理って10万円以上かかるんだ・・・ 」とガックリしながら、「 見積書と金額違うんですけど!? 」と抗議の電話をかけると、あっさり「 あ、それは気にしないで大丈夫。見積金額が正しいです 」と言うではありませんか。
「 じゃ、この金額消してよ・・・ 」とリクエストすると、「 契約書式は決まっていて文言を変えることができないんです」と言うので、不安を感じつつも後で問題にならないよう、全てのやり取りを書面で残しながら契約を進めました。
結局、アスベスト廃棄物が見つかってから、区清掃事務所⇒民間専門業者( 3社 )⇒見積⇒契約⇒実際に収集( 立ち会い必要。現払い )と、完全に処分が終わるまで約1カ月を要しました。
最終的な処分に係ったお金は『 47,300円 』でした。見積金額よりも5千円弱高いじゃん! と当日文句を言いましたらば、見積に「 消費税は請求書により一括して御請求 」と書かれており、なんと見積金額には消費税は含まれていないのでした。
後日、領収証は郵送されてきましたが、請求書はありまぜん。「 最初から見積書に記載しといた方がいいんじゃないの? 」とモヤモヤしましたが、なんとか処分を敢行しました。長かったですwww
■ 築古物件を買ったら、放置物がないか早めに確認しよう
「 自分は解体とかしないしアスベストなんて関係ない 」と思っている築古戸建投資家さんも多いかもしれません。しかし、今回のような事例もありますので要注意です。軒下、屋根裏、庭の放置された物置小屋等は、早い段階でのぞいてみた方がいいと思いますよ~。
以上、今回はかなりマニアックな内容となりました。お役に立てれば幸いです。それでは、また次回もコラムでお会いしましょう。