人生で訴訟沙汰のトラブルに巻き込まれる経験って、通常は何回くらいあるものなのでしょうか? 私の場合は、「 配達証明付き内容証明郵便 」により訴訟告知を受けたり、実際に訴訟を提議されたりしたことが、これまでに4回あります。うち、不動産絡みは3回です。
ほとんどの人は、訴訟なんて他人事だと思っているでしょう。しかし、実際にはそんなことはないのです。自分は誰とも争うつもりも、迷惑をかけているつもりもなくても、相手の精神状態や置かれた状況( お金がないなど )により、自分が加害者にされてしまうことが、実際にありえるのです。
■ 上階の住人から届いた内容証明郵便
私の例を紹介します。1回目は以前、過去のコラムでも紹介した上階からの騒音言いがかり事件です。我が家が居住用に購入したマンションは2階で、下は管理集会室。双子の男の子( 当時幼稚園児 )を抱えていたので、音に気を遣わなくても良いことが2階を買った理由のひとつでした。
ところが、ドイツに転勤に行っていた3階の家族が帰国後、状況は一変。奥さまが海外生活のストレスからかノイローゼ気味になっており、「 うるさいから静かにしろ。さもなくば、告訴する 」と、弁護士名で「 配達証明付き内容証明郵便 」が届きました。
直接の対話や、管理組合を巻き込んでの調整も行いましたがらちがあかず、こちらも知り合いの弁護士に依頼したのですが、苦情はやまず。私はストレスで腎臓結石を患い血尿まで出て、救急車で病院に担ぎ込まれるに至りました。これでは身体がもたないと、妻の実家に引っ越すことにしました。
3階の住人からはその後、音沙汰はなく、今では転居したようです。この時は自分自身が渦中の人となりましたが、所有物件で入居者が騒音トラブルを起こす可能性はこれからも充分にありえます。
賃貸ならまだしも、区分マンションの購入は、上下左右にどんな人が住んでいるかわからないところが、リスキーだと実感しました。
■ 夜逃げした不動産会社に「 名誉毀損・侮辱 」で訴えられる?
2回目は、札幌の中古で購入した区分所有マンションで起こりました。この物件は設計・施行・販売・建物管理・賃貸管理全て、同一の不動産会社で行っており、一括借り上げ家賃保証もしていました。管理組合はありませんでした。
その後、当該不動産会社は業績が悪化したのか、一括借り上げ家賃を下げてくれと言ってきました。そのうち、家賃滞納が散見されるようになったため、督促したり、宅地建物取引協会( 宅建協会 )に相談して指導してもらったりして、しばらくはその場を凌いでいました。
しかし、そのうちに本格的な滞納が始まり、連絡も取れなくなりました。( 家賃保証会社の夜逃げでしょうか? )札幌の別の管理会社さんに協力をお願いし、他の区分所有者の皆様に「 注意喚起 」も兼ねて、現状連絡、管理組合立上、管理会社変更等の提案の旨をかいた手紙を出しました。
すると、どこで嗅ぎつけたのか、当該不動産会社から、「 あなたのやっていることは名誉棄損・侮辱だ。2週間以内に謝罪の上、活動を停止しろ。さもなくば、法的手段に訴える 」と連絡がきたのです。
知り合いの弁護士に相談したところ、当方は事実を言っているだけであり、名誉棄損・侮辱はしていないのだから、気にしないでいいとのこと。そこで、放置新聞することとしました。その後、音沙汰はありませんでした。
後日、当該不動産会社から、別の不動産会社に営業譲渡したとの連絡がありました。そこで、知り合いの不動産会社に依頼し、引き継いだ不動産会社を訪ねて、入居者から家賃を直接当方側宛に払ってもらうことに同意する旨の一筆を取り付けてもらいました。おかげで、滞納家賃の一部は回収できたのですが、敷金と滞納家賃の一部は、無理でした。
その後、またお世話になっている不動産会社にお願いして、私が所有者であることが確認できる登記簿謄本を持参の上、入居者を訪問していただき、事情を説明。当方側宛に直接家賃を払ってもらうように変更しました。
ほとぼりが冷めた頃、くだんの不動産会社の知り合いに、区分所有者の同意を集め、管理組合を立ち上げてもらい、管理会社を変更してもらいました。この件はこれで一件落着し、おかげ様で、その後の運営は順調です。
■ クラスのほぼ全員を「 いじめ 」で訴えた転入生家族
3回目は、不動産とは関係のない話ですが、参考までに紹介します。長男が中学生だった頃、転校してきた一人の生徒がいじめにあったと主張して不登校になり、クラスのほとんどの仲間に対し、弁護士名で「 配達証明付き内容証明郵便 」を送りつけてきました。
その中には、「 謝罪して、金を払え。今後はいじめをするな。応じないなら、法的手続きに訴える 」とあります。
中学校・教育委員会が中心になって、話し合いの場を持ちましたが、らちがあかないため、当方らも知り合いの弁護士に依頼して応戦。皆で家庭裁判所の調停に通いました。調べると、その生徒家族は、転校の度に同じことを繰り返していることがわかりました。
途中で先方から、和解案が出てきました。私と妻は最初は正義感に燃えて、こういう輩を放置新聞していたのでは、世の為にならないととことん戦うつもりでしたが、それも時間と金の無駄に思えたため、手切れ金のつもりである程度の金額( 15万円 )を支払い、和解に応じました。
弁護士費用( 比例案分で5万円 )もかかったので、結局、当初の要求額( 20万円 )とほぼ一緒になりましたが、更なる手間暇・時間・経費のことを考えれば、潮時でした。
とことん頑張った人たちはその後、訴訟となり、中には5年以上の歳月と100万円近い和解金・弁護士費用がかかったという人もいたようです・・・。
■ 自分に落ち度がなくても加害者にされるリスク
そして、4回目。実は、4回目は今まさに、訴訟になっているところです。結論が出るまで詳しいことはかけませんが、過去にたくさんの苦難を乗り越えてきた私にとっても、簡単ではない大きな問題になっています・・・。もちろん、自分に後ろ暗いところは一切ありません。
このように、マジメに生きているつもりでも、訴訟沙汰の問題に巻き込まれることがあるのが人生です。心当たりがあるならまだしも、全く自分に落ち度がないときなど、そのストレスは相当なものです。
しかし、事実として、世の中には自分の常識では理解できないような人がたくさんいます。常にリスクに備えると同時に、「 何もトラブルがないこと 」が決して当たり前のことではなく、「 平穏な日常こそ幸運である 」ことを知った上で、皆さんにも日々を過ごしてほしいと思います。
【まとめ】
自分が普通に暮らしているだけでも訴訟に巻き込まれるリスクは充分にあります。大事になりそうなら早めに弁護士に相談を。「 平穏な日々 」に感謝することも忘れずに。