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意外と間違えやすい建物構造と耐用年数について。中でも鉄骨造は要注意

koziさん_画像 koziさん 第38話 著者のプロフィールを見る

2023/4/18 掲載

今回は、意外と間違えやすい建物構造と耐用年数についてのお話です。ここを間違えると収支にも影響がありますので、不動産投資を行う上での知識として知っておいて欲しいと思います。

■ 建物構造について

一般的な建物の構造は、木造(W造)、鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の4つに大別されます。また、鉄骨造(S造)は軽量鉄骨造、重量鉄骨造に区別されることが多いです。

上記、4つの構造以外にもアルミ造(AL造)、コンクリート充填鋼管構造(CFT造)、コンクリートブロック造(CB造)があります。

■ 鉄骨造の『 建築基準法 』と『 登記 』について

建物構造で間違いやすいのが、鉄骨造( S造 )です。軽量鉄骨造なのか重量鉄骨造なのかが分かりにくい場合があるのです。

一般的に、『 建築基準法 』では、建物に使われる重量鉄骨は板厚6mm以上、軽量鉄骨は板厚6mm未満の2つに区別されます。ちなみに建築確認ではともに「 鉄骨造 」と表記されます。

一方、『 登記 』においては、鉄骨:板厚4mmを超えるもの( 耐用年数34年 )、軽量鉄骨:板厚3mm超え4mm以下のもの( 耐用年数27年 )、軽量鉄骨:板厚3mm以下のもの( 耐用年数19年 )の3つに区別されます。つまり、『 登記 』においては軽量鉄骨が2種類あるということになります。

ちなみに、建物の表題登記をする時に土地家屋調査士さんは建築確認を見て「 鉄骨造 」と書いてあったら、 鉄骨造なのか軽量鉄骨造なのか、どちらかちゃんと確認するのが一般的です。間違ったら、登記料や固定資産税も変わってくることになり、エライことになるからです。

注意点として、『 建築基準法 』『 登記 』の両方に「 軽量鉄骨 」の分類はありますが、同じものでも建築基準法上は『 重量鉄骨 』、登記上は『 鉄骨 』という風に分類の仕方が異なるので、整理しておきましょう。

■ ハウスメーカーの鉄骨造アパートには注意が必要

軽量鉄骨:板厚3mm超え4mm以下のもの( 耐用年数27年 )のアパートを多く造っているハウスメーカーには、軽量鉄骨:板厚3mm以下のもの( 耐用年数19年 )と区別するために、「 中量鉄骨 」もしくは「 鉄骨 」という表現の仕方をすることがあります。

実際に、私も知人から某ハウスメーカーの板厚3mm超え4mm以下の鉄骨アパートの提案書を見せてもらったことがありますが、建物構造が「 中量鉄骨造 」や「 鉄骨造 」と記載されていました。

なぜ、ハウスメーカーが板厚3mm超え4mm以下の鉄骨造を「 軽量鉄骨 」と表記しないようにしているのかは、金融機関の融資と関係していることが一番の大きな理由であります。

多くの金融機関は、「 軽量鉄骨 」=板厚3mm以下のもの( 耐用年数19年 )と考えているので、そうすると、耐用年数以内の期間でしか融資をしない金融機関だと、融資期間も「 軽量鉄骨 」の耐用年数と同じ19年以内になってしまう場合が多いのです。

一方で金融機関は、「 鉄骨造 」=鉄骨:板厚4mmを超えるもの( 耐用年数34年 )と単純に認識していることが多いです。更に、金融機関によっては「 鉄骨造 」だと「 鉄筋コンクリート造( RC造 )」と同じ耐用年数で見て、融資期間を長くしてくれる場合もあり、融資期間を40年で引けることもあります。

そのため、ハウスメーカーからの板厚3mm超え4mm以下の鉄骨アパートの見積書や提案書に「 中量鉄骨造 」もしくは「 鉄骨造 」と書いてあると、登記上の『 鉄骨 』構造と認識して、融資期間を鉄骨:板厚4mmを超えるもの( 耐用年数34年 )と同じ、30年以上で融資してもらえることがあります。

ただ、それでトラブルになることがあるようで、最近は板厚3mm超え4mm以下の鉄骨アパートは建物登記の時に『 軽量鉄骨 』として登記されるということを、金融機関に事前にきちんと説明するようになっているとのことです。

少し裏話をさせて頂くと、ハウスメーカーの中には、『 鉄骨造 』板厚4mm超えと謳っていても主検査項目の一部の部材だけを4mm超えにし、その他は4mm未満を採用し施工しているケースもあります。このような物件は登記においても誤って『 鉄骨造 』と登記されてしまうことが多くあります。

このような物件は将来的に登記修正する必要が生じる( 鉄骨⇒軽量鉄骨 )などのリスクがあるので注意が必要です。

一方で板厚4mm超え6mm未満の鉄骨造のアパートやマンションを造っているハウスメーカーも増えています。この場合、登記上は『 鉄骨造 』に該当しますが、建築基準法上の『 重量鉄骨造 』には該当しないので、登記上で『 鉄骨造 』だからといって、『 重量鉄骨造 』だと誤認しないように注意が必要です。

つまり、鉄骨については登記簿に『 鉄骨造 』『 軽量鉄骨造 』と記載されていても、税務上のどの構造に該当するのかをきちんと確認する必要があり、確認しないと耐用年数を間違えてしまうリスクがあるということです。

実際に、板厚3mm超え4mm以下の鉄骨アパートについて、「 軽量鉄骨なので、耐用年数は19年だ 」と認識してしまい、減価償却を19年で償却していた大家さんがいました。

また、本当は『 軽量鉄骨造 』なのに土地家屋調査士の方がきちんと板厚を確認せずに『 鉄骨造 』と登記してしまったため、税理士が減価償却を34年で償却していたというケースもありました。

このような事態を防ぐために、鉄骨の中古アパートを購入する時には、鉄骨の板厚を確認することが必要であり、登記簿だけでなく、設計書なども入手して確認することが大切です。

■「 鉄骨鉄筋コンクリート 」と「 鉄骨・鉄筋コンクリート 」の違いについて

次は、「 鉄骨鉄筋コンクリート 」と「 鉄骨・鉄筋コンクリート 」の違いについてです。

建物登記簿に記載されている躯体で、「 鉄骨鉄筋コンクリート 」と「 鉄骨・鉄筋コンクリート 」の記載があります。前者の「 鉄骨鉄筋コンクリート 」はSRC造になります。一方、後者の「 鉄骨・鉄筋コンクリート 」の場合は、鉄骨と鉄筋の組み合わせ構造になります。

知らない人は登記簿だけを見ると、どちらもSRC造と誤解しがちです。例えば、階段のみが鉄骨で、躯体は鉄筋コンクリート造の場合や土台~1階部分などの一部が鉄筋コンクリートで、2階から上階まで躯体がほとんど鉄骨造という場合があります。

また、地下や半地下などの部屋がある場合の建物も、地下や半地下部分が鉄筋コンクリートでそれ以外の上階までの躯体は全て鉄骨造という場合もあります。

物件のマイソクや建物登記簿を見た時に、建物構造が「 鉄骨・鉄筋コンクリート 」と記載されている場合には、やはり設計書などを入手して主となる躯体が鉄骨造なのか、鉄筋コンクリートなのかを確認する必要があります。

■ 使用用途に異なる耐用年数について

次に、建物の耐用年数の違いについてです。木造は22年、鉄骨造は34年、軽量鉄骨造は19年、鉄筋コンクリート造( RC造 )・鉄骨鉄筋コンクリート造( SRC造 )は47年と単純に認識している人が多いと思います。

しかし、建物構造が同じでも実際に建物を使用する用途・細目によって耐用年数は異なってきます。

例えば木造の場合ですが、店舗・住宅用のものであれば、耐用年数は22年ですが、事務所用の場合には24年になり、店舗用でも飲食店用の場合は20年と通常の店舗用に比べて短くなります。

また、RC造・SRC造の耐用年数は、事務所用の場合は50年で住宅用の47年より長くなりますが、店舗用の場合には39年となり、住宅用に比べて8年も短くなります。

RC造・SRC造で店舗用なのに、単純に住宅用と同じく47年の耐用年数で減価償却をしている人は、本来ならもっと短い期間で減価償却をして経費計上できるのに、損をしていることになります。

最近はインバウンドの復活で建物を民泊やホテル用に改装したり、最初から民泊やホテル用に建てて旅館業などを行ったりする人が増えていますが、建物を旅館・ホテル用に供する場合、耐用年数は住居用や店舗用と異なります。

旅館・ホテル用に供する場合、木造は17年となり、RC造・SRC造は39年もしくは31年( 延床面積のうち占める木造内装部分の面積が30%を超えるもの )となります。

このように、減価償却については、単純に建物構造だけで判断するのではなく、建物をどのような用途・細目で使用しているかを確認したうえで減価償却を計上することが大切です。

建物の減価償却に伴う耐用年数については、国税庁のホームページにも掲載されているので、そちらを参考にすると共に、建物が店舗用・事務所用と住宅用に混在している場合には、減価償却の耐用年数や減価償却費をどのように計算するかを税理士などの専門家に確認することをお勧めします。

参考:国税庁のホームページに掲載されている耐用年数表

今日は少しマニアックですが、意外と知らない方が多い減価償却の話を取り上げてみました。参考になれば幸いです。
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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

Koziさん

Koziさん

不動産賃貸業
IT系企業のサラリーマン
都内に妻と子供と3人暮らし

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経歴
  • □1980年
    神奈川県川崎市の武蔵小杉の地主の家に生まれる

    □1999年(19歳)
    不動産賃貸業に関わり始める

    □2002年(22歳)
    和光大学卒業

    □2004年(24歳)
    公認会計士、不動産鑑定士の試験に合格
    (他に宅地建物取引士、行政書士、賃貸経営管理士等の資格も持つ)
    IT系企業に入社

    □2008年(28歳)
    叔父の不動産を引き継ぎ2015年に法人化
    会社員を続けながら、不動産事業にも取り組む

    □2018年(38歳)
    企業主導型保育事業を開始

    □2021年
    所有物件数15棟(レジデンス、店舗、グループホーム、保育園)
    年商7億円(保育事業の収入含む)

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