こんにちは!波乗りニーノです。雪不足で3月前半でスノーシーズンが終わるかと思っていましたが、3月前半にまさかの大雪でTHE DAYを当てることもでき、3月の雪のお陰で4月7日まで滑りきることができました!
そして、今年の繁忙期は合計28部屋の退去がありましたが、無事に全部屋の入居が決まりました。入居付けしていただいた管理会社さんに感謝です。
ただし、昨年末に買った戸建てやアパートは一部屋も決まっていません( ;∀;)。おまけに昨年から空いているファミリー物件の2部屋残っている状況です。
ゴールデンウィーク中には埋められるように頑張ります。まだ空室がある皆さん、お互い頑張って埋めましょう。
■年齢と共に収入が増える時代は終わる
「春闘」とは春季生活闘争の略称であり、労働組合が行う賃上げ要求を中心とした交渉のことを指します。新年度の4月からの労働者の賃金を中心とした労働条件の改善を求めて、毎年2月~3月の春ごろにかけて行われることが多いです。
実は僕は10年前、東証1部上場企業の労働組合の中央書記長を務めていました。そこで、2024年の春闘シーズンを迎えて、思うことをまとめてみました。
春闘の目的は、労働者の待遇の改善です。待遇には、賃金・働く時間・福利厚生など全ての労働条件が含まれますが、もっとも重要とされているのが「賃上げ」です。
過去の賃上げ要求の推移をみると、バブル期の約6%をピークとして、低い水準の時代が続きました。バブル崩壊で経営を取り巻く環境が厳しくなり、春闘も雇用維持が優先され、1990年代には2%近くまで賃上げ要求水準が低下してしまいました。
2010年にはデフレ脱却の鍵として政府が賃上げを重視しましたが、結局、2%台に留まりました。そしてインフレによる物価上昇が進んだ2023年から春闘の賃上げ要求は「5%程度」、2024年には「5%以上」という強いものになっています。
そもそも日本の雇用は、ほとんどの企業がメンバーシップ型雇用です。高度経済成長期、日本が戦争で壊滅的なダメージを受けた経済を立て直し、復興・成長するのには長期的な労働力が必要であり、それを実現するためのシステムが「メンバーシップ型雇用」でした。
「メンバーシップ型雇用」では、業務内容は限定せず、数年おきに配置転換が行われ、様々な経験を経て広範囲なスキルを身につけ、多角的な視点をもつゼネラリストを育成できるというメリットがありました。
広範囲の知識・スキルと広い視野を持つゼネラリストはマネジメント能力にも優れ、従業員をまとめる優秀な管理職やマネージャーに育つことで高い賃金を得られることができていました。
そのため、勤続年数や勤務態度、役割などで評価や報酬が決まるのが一般的でした。年齢に応じて賃金が右肩上がりに上昇する傾向がみられ、1995年の男性の賃金カーブでは40代になると20代前半に比べて約2倍の賃金をもらっていました。
■これから日本の雇用におこること
しかし、日本の高度経済成長は終わりました。そんな中、従来の年齢と共に給与が高くなる一律の賃上げでは、経営を圧泊するリスクが増えます。そのため、ヨーロッパ諸国に取り入れられている「脱年功型給与体系のジョブ型雇用」に注目が集まっています。
ジョブ型雇用に移行するということは、たとえ賃上げが進んだとしても、年齢とともに右肩上がりだった賃金カーブはなだらかになり、中年になっても給与が上がらないのも普通になるということです。
現に日本企業では年功的要素の強い年功序列型賃金制度から、ジョブ型に近い成果型賃金制度に移行している企業も多く、2022年の男性の賃金カーブでは40代になっても20代前半の賃金の1.7倍程度しか増えていません。
この原因ですが、新卒の賃金高騰の影響を受けた若年層の賃金を上げるための原資や、年成果型賃金制度に移行するための原資が必要となったためです。つまり、賃金カーブを維持できるだけの原資を確保できなかったということです。
ごく一部の成果型賃金制度で恩恵を被った人だけが賃金カーブを維持することができています。逆に言うと、ほとんどの人が賃金カーブを維持できていないというのが日本の会社員の現状です。
年代別に賃金上昇が物価上昇を上回っている人の割合は、20代では10.9%、賃金と物価の上昇率が同程度の人が22.1%となっています。少なくとも物価上昇に見合う賃金を上回る賃金を受け取った人は33%もいることになります。
それに対して40代では物価を上回る賃金をもらった人はわずか6%、同程度が15.9%で計21.9%に過ぎません。一番お金がかかる50代では、物価を上回った人はわずか2.8%、同程度が12.6%で計15.4%にとどまっています。
近い将来、日本がジョブ型賃金のドイツと同じような緩やかな賃金カーブになった場合、新卒の月収が25万円の時、45歳から49歳では1.5倍程度の37万円くらいになることが予想されます。しかも社会保険料は年々増加傾向であることから、今の37万円より手取りは減りそうです。
■不動産投資マーケットに起きている変化
一方、不動産投資家をとりまく環境はどうでしょうか?最近は、僕のエリアではインフレに合わせて家賃が上がってきています。特に今年完成した新築アパートの家賃は、建築単価の高騰に合わせて軒並み上がってきていることを実感しています。
そして、新築アパートの家賃が上がり始めたことで、築年数の若いアパートも家賃があげられるようになりました。実際に、富山に4年前に建てたアパートは7部屋が空いたので一部屋2千円上げたのですが全て決まりました。
他のアパートも2千円から4千円程度上げられている状況です。ただし、立地によります。人気のある地区ではどんどん家賃が上がってきているけど、それ以外のところは上げられない。もしくは、上げても決まらないといった感じです。
中でも、人気エリアのセキ〇〇ハウスのシャー〇〇〇など大手ハウスメーカーが作る高級アパートは、地方都市でも2LDKで家賃と共益費・駐車場込みで1カ月10万円超えるものも少なくないのですが、それでも成約しています。
最近の固定金利の切り替えでも、0.3%~0.5%くらい高い金利条件を出されていますし、リフォーム費用もどんどん値上げ基調なので、家賃の値上げも必然といえば必然なのかもしれません。
そう考えると、家賃さえ上げることができれば投資家はインフレの波に乗っていくことができますが、家賃を上げられない地域にアパートを持っている投資家は、調達金利の上昇とリフォーム費用の値上げにより、苦戦を強いられそうです。
インフレの波に飲まれないように、低い調達金利を引き出せるような決算書を作りこむことが大切です。安くリフォームできる技術や知恵がある者のみが勝ち残っていけるフェーズに入ったとも言えます。
■これからの働き方は「r>g」を意識する
若年層にとっては、物価上昇に見合った賃上げになっているかもしれませんが、将来的に賃金カーブが緩やかになるのであれば、早くから労働によって得られる富(賃金)を資産(資本)によって得られる富に移行していかなくてはいけません。
トマ・ピケティ氏は「21世紀の資本」という本のなかで「資本主義の富の不均衡は放置しておいても解決できずに格差は広がる。格差解消のためには何らかの干渉を必要とする」と説いています。
その根拠となったのが「r>g」という不等式です。「r」は資本収益率を示し、「g」は経済成長率を示しています。同書では18世紀まで遡りデータを分析した結果、「r」の資本収益率が年に5%程度であるにも関わらず「g」は1~2%程度しかなかったと指摘、その結果「r>g」という不等式が成り立つと書いてあります。
この不等式が意味することは、資産(資本)によって得られる富は、労働によって得られる富よりも成長が早いということです。
世界的なインフレにより、株や不動産・金・仮想通貨などが過去最高額を付けているにも関わらず賃金の上昇は抑制されたままです。正確には抑制されてはいないけれど、インフレに追いつけていないままでいます。
「裕福な人はより裕福になり、労働でしか富を得られない人は相対的にいつまでも裕福になれない」時代なのかもしれません。格差は現在も拡大に向かっており、やがて、中流階級は消滅すると考えられています。
ピケティ氏は、格差を是正するアイデアとして累進課税型の財産税や所得税を設けて、タックスヘイブンで資産を逃さないように国際社会で連携すればよいと唱えていますが、難しいのではないでしょうか?
したがって、資本主義社会の中で生きる「資産家ではない自分たち」は少しでも早くから労働からの富を預貯金して資産運用の原資を作る必要があります。また、会社員なら自分のキャリア、ノウハウ、人脈、知識など、自分を高めてくれる無形の資産を積み上げることを「r」と捉えることもできます。
つまり、最大の資産が自分自身であり、自分という資産を個人で磨くことを意識しながら働くことが大事ということです。それにより、大きな金融資産を持っていなくても、個人ではどうすることもできない格差社会の波に飲まれない無形資産・金融資産を築くことができるはずです。