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賃貸住宅、人的トラブルの筆頭は「騒音」。損切り覚悟の対応が資産と入居者を守る。

賃貸経営/トラブル ニュース

2023/12/05 配信

賃貸住宅の管理の難しさでなくならないのが入居者同士のトラブルへの対応だ。コロナ下では在宅時間が増加したことで、室内の物音に関する苦情・トラブルが増えたとの声が多かったとされる。

今年11月に明治記念館で開催された「日管協フォーラム2023」の中で、ベルデホーム(埼玉県久喜市)の熊切伸英社長は、設備故障や雨漏り、無断駐車、未分別のゴミ出し、部屋の汚損など賃貸管理の仕事で相次いで発生するトラブルについて、「こうしたモノのトラブルは原因究明ができていれば解決が見えてくる」と述べる一方で、「人的なトラブルでは、問題を起こしている人を特定することが重要であり、その人的トラブルの筆頭格が騒音トラブルだ」と話した。

入居者同士での対決がエスカレートすれば、他の入居者が引っ越しすることにつながる。

※部屋写真

その騒音トラブルの種類について、①飲み会系騒音、②設備系騒音、③配慮不足系騒音、④通常使用系騒音、⑤過剰反応系騒音―の5つだとしている。

例えば、友だちを連れて部屋で夜中まで飲み騒ぐ飲み会系など一般的な部屋の使用では出てこない騒音については、「一定程度の共通となる対処の基本、いわゆる『型』がある」という。

その型に沿ってさまざまな検証をしていくことで解決策が絞り込めて、場当たり的な対応をするより格段に早くトラブルが解決できる可能性があるとする。

この飲み会系の騒音では、苦情主から具体的な部屋番号を指摘して知らせてくることが多いので、騒音元が分かっている場合は直接注意を行い、騒音元が不明の場合は、注意文書を配布して全世帯に警告することになる。

もし解決ができなければ、他の問題のない善良な入居者が退去してしまうなどで空室が発生して家主の資産価値を落としてしまう。長期継続案件になることが最も厄介だとする。下手をすれば刑事事件に発展するような出来事になってしまうと警鐘を鳴らす。

配慮不足のケース、分譲マンションで東京地裁に判例

トラブルの通報の大部分は管理会社に寄せられ、そこでの注意点として、管理会社は「最初に連絡してきた側に肩入れやすいが、苦情元の言っていることが正しいとも限らないので、苦情元と騒音元の双方に丁寧に対処することが重要だ」と熊切氏は説明した。

通常の日常生活の中で出る生活音は、分譲住宅とは違い賃貸住宅では壁・床が薄く生活音が響くなど建物の限界によるものが少なくない。

設備系でも、給排水など建物設備であったり、ドアの開閉音も入居者の責任というよりも建物・部屋の作りの問題となる。配慮不足は、入居者の意識の問題で階下や隣室の居住者のことを考えていないケースだが、通常使用での苦情は建物の限界を悟ってもらうことが重要だ。

そのような中で、配慮不足では、以下のような事態を招くこともある。熊切氏は、「東京地裁判例 平成24年3月15日」を一つの参考例に挙げた。

これは品川区内の分譲マンションのケースで、幼稚園児が毎晩深夜まで走り回っていたことで1階の住人(原告)がストレスで体調不良になりメンタルクリニックに通院していたという。

騒音の差し止めと損害賠償請求を争った。原告は専門事業者に依頼して上階で発する音を下の階で測定し、リビング内1.2mの高さで計測した結果は45dB(デシベル)~66dBだった。21時から7時は40dB、7時から21時は53dBが騒音の差し止めラインとなり、慰謝料60万円、通院費・測定費64万円の支払いが被告の負担になった。

トラブルで平行線をたどる場合は、調停・訴訟での解決が一つの目安ではあるが、判決を不服として控訴することもあり、それによって判決が覆ることも想定しておく必要がある。

厄介なのが過剰反応系の苦情

そして数ある騒音トラブルの中で、最もやっかいなのが「過剰反応系」だ。通常使用しているのに、ちょっとした物音で隣室や階上・階下の住民から苦情が出る。他の隣室や上下階の片方からは苦情がないのに、一人だけ神経質に反応しているケースだ。

頑なに抵抗する入居者に対しては、「ある程度、丁寧に説明した後にオーナーの判断で転居交渉を考えるべきだろう。解約に話を持っていくほうが他の入居者やオーナーの利益を守る」。

そのように指摘する熊切氏は、賃貸住宅物件で前述の分譲のような訴訟に発展することが少ない点について、「証拠集めの費用対効果の問題と、引っ越ししてもらえれば終わる」と考えているからだ。

損切りして新たな優良な入居者につなげるほうがオーナーとしても資産を守れるという考え方である。理想は、交渉により任意で解約することだが、譲歩案として退去までの一定の期間を設けて引っ越し費用を負担してでも退去させることも一案だとする。

苦情を言う側の考え過ぎや気にし過ぎを認識してもらい、苦情を言い過ぎるのも騒音だと他の入居者が感じ入るかもしれないと認識してもらうことが重要だ。中には昔に裏社会にいたようなことをにおわす言動を発する入居者もいるようだが、そのような人に遭遇した場合は警察に相談することが欠かせない。

健美家編集部(協力:若松信利(わかまつのぶとし))

■ 主な経歴

学生時代から不動産に興味を持ち個人的に不動産関連の記事を多数執筆。大学卒業後、不動産関係情報誌に20年以上勤務。現在は都内のIT会社に勤め、副業でいくつか投資関連の記事を担当・執筆する40代サラリーマン。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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