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何人見学すれば、部屋は決まる? 成約確率データ・来店率データから考える 空室対策の鉄則「8」

賃貸経営/空室対策 ニュース

2023/11/15 配信

いよいよ繁忙期が始まる。3月末退去予定の居室は、皆さんの収益物件ではどのくらいあるだろう? この時期には、ポータルサイトや専門誌などで、各種最新統計情報も出てくる。
今回はデータに基づいて、今なすべき空室対策について論じたい。

空室対策をするうえで、最新の平均データを参考にすることは重要
空室対策をするうえで、最新の平均データを参考にすることは重要

■入居希望者が見学した平均物件数は2.7件。
ということは、内見→成約率は37%

賃貸では平均2.7件を見学する
賃貸では平均2.7件を見学する

入居希望者は、現況、どのくらいの数の物件を見て回るのだろうか? 株式会社リクルートの『 SUUMO リサーチセンター 』が、2023年9月29日に発表した「2022年度 賃貸契約者動向調査 首都圏 )」によると、賃貸物件を検討する入居希望者が見学した物件数の平均は、最新で平均2.7件となっている。

ということは、逆に考えれば、収益物件のオーナーの物件に、内見のお客様が訪問し、結果、決まるかどうかは、1÷2.7=0.3703 すなわち、37.0%の確率ということである。

逆算すると、空室が3部屋あるとすると、「内見数」×0.37=3 。すなわち必要な内見数は、3÷0.37=8.11。内見が8~9件ないと決まらないということになる。

「2022年度 賃貸契約者動向調査 首都圏 )」SUUMO リサーチセンター・2023年9月29日発表
「2022年度 賃貸契約者動向調査 首都圏 )」SUUMO リサーチセンター・2023年9月29日発表

■では、閑散期の今、37%で
決まっているのだろうか?

理論的には、37%の確率で、内見→成約だが・・・
理論的には、37%の確率で、内見→成約だが・・・

「この9人見学すればなんとか決まるだろう」という数字。

繁忙期には例えば、「1月に3人見学がない」ならば、「2月も3月も3人ずつ見学がないと3部屋決まるはずがない」と逆算して、「家賃を下げる」「設備を強化する」など、打ち手のモニタリングに有効である。3部屋の空室を埋めるには、繁忙期の1-3月に、毎月3人見学に来ないとまずいとわかるからだ。

しかし、閑散期は、37%という数字のほうに注目したい。4月~10月の7か月に、例えば9人、内見に来ていたとする。そして決まったのが1部屋とするならば、「9人見学→1人契約」だ。

1÷9=0.111。本来37.0%であるはずの成約率が、11.1%と大苦戦している事がわかる。

たしかに閑散期は「いい部屋があれば住み替えたい」という入居希望者が多く、繁忙期は「進学転勤などで4/1にはどうしても転居せねばならない」という切迫感が違うので、「閑散期だから決まりにくい」ということはありえる。

それにしても統計的には、37%である数字が1/3であるから、「見学したらガッカリした」という「なにか」が存在するはずだ。

【ポイント1】毎月の「内見数」の把握。

■では、閑散期の今、37%で
決まらない理由の分析を

内見されたけど、ライバル物件になにかで負けた。敗因分析を
内見されたけど、ライバル物件になにかで負けた。敗因分析を

「それは古いからさ」「駅から遠いからね」と決めつけてしまうのは簡単である。しかし、是非、「内見したけど決まりにくい」物件について、閑散期のいまこそ「では、見学した人は他のどんな物件に決まったの?」と不動産会社に聞いてみるべきである。
ここで驚くべきことに「もっと古い物件を借りた」「もっと駅から遠い物件を借りた」というケースもある。

少し苦々しい事実であるが、「古くて遠い物件に決めた」のは「安い」からかもしれない。いくらの家賃の物件に負けたのか。あるいは「同じぐらいの築年、駅距離」だけど、「温水洗浄便座がついている物件に決まった」「エアコンが二台ついている物件に負けた」「駐車場が入れやすい物件を選んだ」といった声が聞ければ、悔しいがチャンスでもある。敗因分析をしたうえで、まさに天王山の繁忙期を迎えられるからである。

すなわち、鍵管理をオーナーがしている場合は特に、「内見に行ってくれた仲介会社の営業マン」に、「どう決まった?」「決まらなかったかー。どう、どんな感想だった?」「結局、どんな物件を選んで、うちの部屋よりなにが良かったのかな」と聞いてみることをお薦めしたい。

【ポイント2】毎月の「成約数」÷「内見数」=成約率の把握。

【ポイント3】他物件に成約した場合の、「敗因」を仲介営業マン本人からヒアリング

■「あて物」になっていないか?

自社管理物件優先など、仲介部門側のマインドも変化している
自社管理物件優先など、仲介部門側のマインドも変化している

成約率が、先ほどの11.1%となるようなケースでは、仲介の営業マンが「あて物」として紹介しているケースもある。

あて物というのは、「Aという物件を決めたい」ので、「A物件より築浅だが高いB物件」「A物件より安いが、ボロいC物件」を見せて、「Aがいいですね」と着地するというシナリオで、そもそも「決める物件(=決め物)」ではなく、比較検討のためにちょうどいい物件として「サクラ」に使われてしまった、というケースである。

昨今は、見学する物件は少なく、入居希望者も沢山の物件を見ない(先程のデータでも、年々見学する物件数が減っている)ので、さほどこうした作戦は有効ではないものの、「自社管理物件を決めなさい」という目標設定されているケースもあり、自主管理物件がこうした「引き物」となってしまうこともある。

見学後の仲介営業マンとのコミュニケーションで、なんとなく察する時もあり、冷静に傾聴しておきましょう。(怒ったりすると逆効果です)
これは、熱心に仲介の営業マンと内見後に会話をし、「こんなところもいいので、次回は是非伝えてね。これからもよろしくね」というなど、彼らのモチベーションもキープできるものだ。仮に「自社物件優先」といった仲介営業マンの事情はあったにせよ、仲介営業マンは「契約が取れなければ、内見に付き合ってもタダ働き」であり、「自分が契約が取れれば、A物件でもB物件でもC物件」でも良いはず。そういう点では、入居希望者には選ばれなかった、「なにか」は把握しておきたい。

【ポイント4】決めたい物件になり切れていない可能性も視野に、仲介とコミュニケーション

■案内してくれた営業マンの腕はたしかか?
営業マンの成約率は?

さて、実は、成約率37%にならない理由が「仲介の営業マンの力がない」というケースもありうる。

先程の「自主管理だからあて物にばかりされた」とは逆で、「管理物件や専任物件として、本来決めてくれるはずの営業マンが力不足」というケースである。

「ポイント3」に書いたように、案内した営業マンに「どこに決まったの?」と聞いたら「また来ますと言った」「他社で決まったようだ」「どこに決まったかわからないのです」といった返答の場合である。

これは「何件物件を見たか」というデータより「何社不動産会社に行ったか」のデータが役に立つ。先程のデータは「関東版」だったので、「全国版」の、2023 年 10 月 27 日不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)のデータを見てみよう。

こちらのデータによると、「訪問した不動産会社は、賃貸で2.3社」とある。1÷2.3=0.435。つまり、一般に不動産会社を主語にして考えると、成約率は、43.5%なのだ。

「不動産情報サイト利用者意識アンケート」調査結果 過去 1 年のうちにインターネットで自身が住む住まいを賃貸または購入するために 不動産物件情報を調べた(調べている)人
「不動産情報サイト利用者意識アンケート」調査結果 過去 1 年のうちにインターネットで自身が住む住まいを賃貸または購入するために 不動産物件情報を調べた(調べている)人

つまり、管理物件や専任物件として任せている場合、いつもお世話になってる●●不動産●●店の方が、「2人に1人は決めている」のか「3人に1人決めている」のか、はたまた「3人接客して、1人しか決めれない」のか。

この数値で、成約率は50%、66%、33%とプロ野球でいえば、首位と最下位ぐらい勝率が異なるのだ。

せっかく管理を任せている、あるいは専任でお願いしている、のなら、「何人接客して何人決めているのか」をそれとなく聞いてみてはどうだろうか。担当者にもよるが、店舗全体の成約率が40%の店と、60%の店では、そもそも、収益物件オーナーの物件をしっかり決めてくれるかどうかの実力にも差があるというわけだ。

この成約率が低いようであれば、「管理替え」や「専任替え」も検討せねばならないのだ。

【ポイント5】任せている会社・店舗の「成約率」をそれとなく把握

■とはいえ、我が物件は、
反響は入っているのか

管理物件、あるいは専任物件となっている場合は、「今月は私の収益物件は、何件、反響が入っているか」も重要なポイントだ。

先に述べた「あて物」にならないためにも「反響が入っていて、その物件が見たい」と来店しているのであれば、少なくとも来店時は、「第一志望」である。

仲介の営業マンが、ほかの物件に誘導しようが、あるいは仲介の営業マンの接客力が多少課題があろうが、第一志望で先に反響が入っているなら、問題はない。かなり成約率はよいはずだ。(にもかかわらず決まらない、なら、よほど見学してがっかりさせる室内や共用部の汚さなどがあると考えたい)

2023 年 10 月 27 日不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)のデータによると、入居希望が、ポータルサイトなどに反響をいれている物件数は平均4.1物件である。

1÷4.1物件=0.244 すなわち、来店率は、24.4%ということである。ざっくりいえば、先ほどの3部屋空室なら、9見学は必要であり、その4倍の36反響あれば、理論的には、成約するはずだ、という事になる。

「不動産情報サイト利用者意識アンケート」調査結果 過去 1 年のうちにインターネットで自身が住む住まいを賃貸または購入するために 不動産物件情報を調べた(調べている)人
「不動産情報サイト利用者意識アンケート」調査結果 過去 1 年のうちにインターネットで自身が住む住まいを賃貸または購入するために 不動産物件情報を調べた(調べている)人

【ポイント6】所有物件の反響数を管理会社や専任会社に定期的にヒアリング

■築年と場所は変えられない。
ライバル物件に勝つには、
ポータルサイトの検索項目で勝つこと

反響を得るためには、ポータルサイトの検索で、選ばれることが重要だ。

今や、ネットに空室情報はあふれており、沢山の物件の中からお客様は「選んで」反響し、来店している。そこを逆手にとれば、検索で選ばれるかどうか、は重要だ。

最新の「人気設備ランキング」が全国賃貸住宅新聞で2023年10月発表された。これを経年で見る限り、「変えられない築年や場所」でも「あまり下げたくない家賃」でもなく、物件の魅力を上げるには、「ランキング上位の項目で優位に立つ」べきである。

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このふたつのランキングを経年で見ると、実は「ずっとランキング上位は変わっていない」ことに気が付く。

では、その設備を強化して、それを仲介の営業マンにアピールしてもらうことで、「反響も入りやすくなる」「反響→来店の来店率もあがる」「来店→成約率もあがる」と考えるべきだろう。

【ポイント7】ポータルサイトの人気の検索項目で、負けない設備強化
■「野球の打率」のように
モニタリングし、その原因を探る

閑散期こそ、強化ポイントはどこかを不動産会社と膝を交えて相談を
閑散期こそ、強化ポイントはどこかを不動産会社と膝を交えて相談を

ここまで述べたように、「なんとなく古いから決まらない」と諦めず、今、所有物件の反響数はどのくらいなのか、内見数はどうなのか、そして成約数はどう推移しているのかを把握し、各々の「率」を数値で把握しよう。そして平均より悪ければ、その原因は仲介の営業マンや管理会社と相談しよう。

もし、プロ野球の選手がやみくもに打席に立って、今日は勝った良かった、明日は負けたそういう日もあるさ、と言っていたら、プロとはいえない、左投手ではどうなのか。変化球は? 初球は? 外角は?と様々な「打率」を分析し、対策をしている。

我々も収益物件を通じて、ライバル物件と闘いながら、変化する入居者ニーズを把握しつつ、経営戦略を科学的にする必要がある。そして、具体的な打ち手は、決してデジタルな数値だけではなく、仲介の営業マンの心理や、入居者の好き嫌いなど、アナログな振り返りが必要なのである。

是非、最新のマーケットデータを参考にしながら、自身の所有物件の対策会議を繁忙期前に不動産会社と行うべきだろう。それがプロの戦略である。

【ポイント8】現地の不動産会社と閑散期こそ、対策の相談を

執筆:上野典行(うえののりゆき)

上野典行

■ 主な経歴

プリンシプル住まい総研 所長。1988年リクルート入社。
大学生の採用サイトであるリクルートナビを開発後、住宅情報タウンズ・住宅情報マンションズ編集長を歴任。現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。 2008年より賃貸営業部長となり2011年12月同社を退職し、プリンシプル・コンサルティング・グループにて、2012年1月より現職。
All Aboutガイド「賃貸」「土地活用」。日管協・研修副委員長。全国で、講演・執筆・企業コンサルティングを行っている。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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