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【緊急特集】再確認!地震保険の損害認定方法

賃貸経営/保険 ニュース

2024/02/14 配信

令和6年元旦、能登半島を中心とした地域が、最大震度7の大地震に見舞われた。この地震による死者は200名以上にものぼり、依然行方が判らない被災者も多数いる。

これら犠牲になった方々の多くは、家屋の倒壊、出火による焼失、および津波による浸水、流失、土砂崩れによって犠牲となっている。無事避難された方の住居も深刻な被害を受けており、被害家屋は石川県を中心に3万4千棟を超える。

・火災保険では補償されない「地震関連災害」による損害

火災保険では、地震に関連する損害は「地震火災費用保険金」を除いて損害を補償することができない。これはすべての火災保険普通保険約款共通の免責事項だ。

地震が発生した直後の損害だけではなく、地震発生から概ね72時間以内に家屋から出火した場合などの損害でも、地震の発生に起因する災害によるものとして損害は補償の対象とはならない。

これら「地震関連災害」による損害は、地震保険に加入していなければ補償されない。しかしながら、今回の震源地である石川県、および隣接する富山県、福井県はいずれも地震保険の加入率が全国平均を下回っていた。

さらにこの地域は、新耐震基準(昭和56年6月以降)の家屋の割合も低かったため、全壊した築古建物が多く見受けられた。全壊した家屋には国から1世帯当たり最高300万円までの資金支援があるそうだが、復興までの道程はとても厳しいものになるのではないだろうか。

*地震保険制度の基本的な仕組みについては、過去の投稿を参照していただきたい。

賃貸住宅物件用火災保険の賢い組み立て方7【賃貸経営のための保険講座】|不動産投資の健美家 (kenbiya.com)

・地震保険の損害認定方法(建物損傷の場合)

震源地付近ではあきらかに全壊と判る家屋が多かったが、耐震性が高い家屋、および震源地から若干離れた地域の家屋では、見かけの損傷はあまり大きくはないものもあった。

地震保険の損害認定は、「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4通りあり、主要構造部の損害額の割合に応じて、それぞれ地震保険金額の100%、60%、30%、5%の地震保険金が支払われる。

地震保険の損害認定基準

それでは、この損害認定はどのように決まるのだろうか。実は損害額の算定は、損害鑑定人が実際の修繕費を見積もるわけではない。

損傷被害の場合は、建物の構造別に、被害の部位、被害の種類、被害の程度、その他、建物全体の沈下や傾斜、部分的な被害の程度などを、「損害認定基準表」によって細かく分類された損害割合を合算して、最終的な損害割合が決まる。

津波による建物被害はその浸水の高さ、地盤の液状化による建物被害は、傾斜または最大沈下量によって全損~一部損が決まる。

【建物の主要構造部の損害額に基づく損害程度の認定方法】

(1)建物部位の被害程度に着目した損害の認定基準

①木造建物

在来軸組工法の場合は「軸組(小屋組、内壁を含む。)、基礎、屋根、外壁」、枠組壁工法の 場合は「外壁、内壁(床組を含む。)、基礎、屋根」に着目して被害程度を調査し、工法ごと の損害認定基準表から損害割合を求め、それら を合算し、全損、大半損、小半損、一部損の認定を行なう。より詳細な調査を要する場合には、 第二次査定を実施することがある。

木造建物(在来軸組工法)損害認定基準表

②非木造建物

建物全体の沈下または傾斜の程度を調査し、沈下・傾斜による損害認定基準表から沈下・傾斜の損害割合を求める。この損害割合が 50% 以上の場合は、その建物を全損と認定する。

沈下・傾斜がない場合や沈下・傾斜の損害割合が 50%に達しない場合には、構造ごとに定めた 着目点の被害程度を調査し、部分的被害による損害認定基準表から部分的被害の損害割合を求める。

沈下・傾斜による損害割合と部分的被害の損害割合を合算し、全損、大半損、小半損、一部損の認定を行なう。

非木造建物(RC造)沈下・傾斜による損害認定基準標

③区分所有建物の専有部分

区分所有建物の専有部分を個別に損害認定する場合、専有部分に建物全体の被害(傾斜)が生じていれば、傾斜による損害認定基準表から損害割合を求める。

そのうえで、専有部分を構成している「内壁、床、天井」に着目して被害程度を調査し、損害認定基準表から損害割合を求め、それぞれの損害割合を合算し、全損、大半損、小半損、一部損の認定を 行なう。

(2)津波による損害の認定基準

木造建物(在来軸組工法、枠組壁工法)、共同住宅を除く鉄骨造建物(鉄骨系プレハブ造建物等 の戸建住宅)の場合、津波による「浸水の高さ」に着目して被害程度を調査し、津波による損害 の認定基準を基に全損、大半損、小半損、一部損の認定を行なう。

木造建物、共同住宅を除く鉄骨造建物の津波による損害認定基準

(3)「地震等」を原因とする地盤液状化による損害の認定基準

木造建物(在来軸組工法、枠組壁工法)、共同住宅を除く鉄骨造建物(鉄骨系プレハブ造建物等 の戸建住宅)の場合、地盤液状化による建物の「傾斜」または「最大沈下量」に着目して被害程 度を調査し、地盤液状化による損害の認定基準を基に全損、大半損、小半損、一部損の 認定を行なう。

木造建物、鉄骨造建物 液状化による損害認定基準.pug

・激甚被災地域を一括して全損認定する特例措置

令和6年能登半島地震では、被災地が半島であるなどの特殊な事情もあるが、生活道路の寸断が各地で多く発生した。これにより孤立化してしまった町、集落も多く、危険も伴うため人の行き来がきわめて困難になっている。

地震保険の損害調査は、原則現地立合いを必須としているが、このような場合、損害鑑定人が被害家屋の現地調査に向かうことも困難となる。よってあきらかに被害が著しい地域をあらかじめ特定し、現地調査を省略して一括全損認定する特例措置が講じられることもある。被災者にいち早く保険金を支払うためには必要な措置だろう。

執筆:斎藤 慎治(さいとうしんじ)

斎藤 慎治

■ 主な経歴

保険ヴィレッジ株式会社 代表取締役
大家さん専門保険コーディネーター であり、自らが大家でもある(都内を中心にアパート、マンション、戸建て、事務所、店舗などの賃貸物件を所有)。
大手損害保険会社を退社後、保険代理店を創業 。その後、東京都豊島区東池袋に「保険ヴィレッジ」設立、 代表取締役に就任

平成 22 年より「大家さん専門保険コーディネーター」としてのコンサル事業を本格的に開始 。
大家さん向け保険コンサル、セミナー、執筆などを数多く手掛ける。自称「保険約款オタク」。

自らも大家として現在も賃貸事業を拡大中 「大家さん目線の保険研究」をモットーに、大家さん支援の保険分野に特化した活動を展開中 。 東京都北区出身 。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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