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賃貸マンションの大規模修繕は劣化前に! 修繕が後手に回ると費用が倍以上になる!?

賃貸経営/リノベ・修繕 ニュース

2022/11/26 配信

賃貸マンションを所有しているオーナーにとっての大きな負担、「大規模修繕工事」。

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「十数年に一度、大規模修繕工事をしておくべきだといわれているけれど、ダンドリも大変だし、お金もかかるし、もうちょっと先でもいいか」などと思って先延ばししてはいないだろうか。

大規模修繕は、資産価値維持・向上のための義務と考えよう

分譲マンションでは、居住者の修繕積立金で工事費用が賄われるものだが、賃貸マンションでは入居者の住環境の維持や建物劣化による事故防止などのための“オーナーとしての義務”なのだ。

加えて建物の耐久性を高めて資産価値を維持・向上させたいと思うなら、定期的な大規模修繕は必要不可欠な対応といえる。

オーナーがしなくてはならない対応は、居室以外の共有スペースについて必要に応じて大規模修繕を行うこと(推奨されているのは概ね15年前後の周期 国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン※」)。

※ガイドラインの「5 計画期間の設定」で、「長期修繕計画期間は、30 年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とします」と記載

「築後十数年程度でそんなに劣化するもの?」と思いがち。しかし、気候・立地条件などにより、使用している建材・素材・工法によって程度は異なるが、数年で建物が劣化してしまうケースも数多くある。

■大規模修繕の考え方

大規模修繕の考え方 出典/特定非営利活動法人 マンション管理支援協議会
出典/特定非営利活動法人 マンション管理支援協議会

■構造安全性に対する維持保全限界状態

構造安全性に対する維持保全限界状態  (注1) 構造安全性に対する維持保全限界状態は、鉄筋腐食またはコンクリートの劣化によって、 構造体および部材の保有する軸方向耐力、曲げ耐力およびせん断耐力に低下が生じる状態と定められており、 鉄筋が腐食し、かぶりコンクリートに鉄筋に沿ったひび割れが発生する時点、または、 凍結融解作用の繰返しによって構造体および部材のかぶりコンクリートが全体的に剥落してしまう時点などが相当 (注2) 耐久設計で想定する劣化現象としては、 (1)中性化、塩害およびその他の原因による鉄筋腐食 (2)凍害、アルカリ骨材反応、化学的腐食およびその他の原因によるひび割れ、 浮き、剥落、表面劣化、強度低下などのコンクリートの劣化などがある 出典/特定非営利活動法人 マンション管理支援協議会
(注1) 構造安全性に対する維持保全限界状態は、鉄筋腐食またはコンクリートの劣化によって、 構造体および部材の保有する軸方向耐力、曲げ耐力およびせん断耐力に低下が生じる状態と定められており、 鉄筋が腐食し、かぶりコンクリートに鉄筋に沿ったひび割れが発生する時点、または、 凍結融解作用の繰返しによって構造体および部材のかぶりコンクリートが全体的に剥落してしまう時点などが相当
(注2) 耐久設計で想定する劣化現象としては、
(1)中性化、塩害およびその他の原因による鉄筋腐食
(2)凍害、アルカリ骨材反応、化学的腐食およびその他の原因によるひび割れ、 浮き、剥落、表面劣化、強度低下などのコンクリートの劣化などがある
出典/特定非営利活動法人 マンション管理支援協議会

劣化の度合いをチェックする箇所は数多くあるが、今回は「外壁」に注目して紹介しよう。

建物は、そこに建っているだけで環境によって劣化する

外壁に影響を大きく与える気候・立地条件の例を挙げると、

・台風など、大雨や突風にさらされることが多い場合

・海に近く、潮風にさらされている場合

・酸性雨に外壁表面が触れ、さらにその部分に強風が当たる立地である場合

・日当たりが良いあまり、紫外線の影響で塗料が分解されやすい環境である場合

・日当たりが悪く屋根や壁にコケが生えやすい部位があるという場合

・幹線道路沿いで、大型トラック通行時の震動に断続的にさらされている場合

など。

雨に降られても、風に吹かれても、陽に当たっても当たらなくても、それぞれの理由でダメージを受けるものなのだ。

外壁材やコーキングのひび割れ、チョーキングは要注意

環境の影響を受けながら時間を経て、ダメージが深刻になってきている外壁の特徴の主なものが以下の4点。

1.外壁にひび割れができ始めた

2.外壁の素材同士の間を埋めるコーキングにヒビが入ってきた

3.外壁材(タイル・塗料など)が浮いてきた

4.外壁に白い粉が浮いている(チョーキングといわれる状態)

このような症状が出ていたら、要注意!

一般社団法人 マンション管理業協会の資料を参考にしてみると、外壁が劣化しているかどうかの調査は概ね以下のような観点で行う。

外壁調査箇所

劣化の放置は、建物の資産価値減に直結する

このような部位があることを見ぬふりをし続けるとどうなるかは、想像することができるだろう。

もろくなった外壁表面から、内部のコンクリートに雨水が染み込んでセメント成分(アルカリ成分)に接すると、セメント成分の中性化を進行させる。

これが原因で鉄筋が腐食しサビて膨張してしまい内部の鉄筋に沿って、セメントのひび割れや表面のはく離・はく落が起こり、ひどくなると鉄筋が露出してしまうこともある。

外壁がダメージを受けているということは、建物自体の強度を損なうことに直結してしまうのだ。

外観を眺めて明らかに異変がわかる状態になったころには、見た目が悪く入居者に選ばれにくい物件になってしまっているだけでなく、災害時に被害が大きくなって入居者や近くを通りかかった人に被害が及ぶことも。

もはや「資産」とはいえない状態といえるだろう。

「ダメージ大」と「ダメージ小」の修繕費用を比較

では、こうした外壁ダメージの修繕にかかる費用について、前回の大規模修繕から30年経過した場合の実際の金額をもとに、15年経過時点で修繕した場合に想定される金額を比較してみよう。

費用比較表 完成版221118

前回の大規模修繕から30年放置してしまって劣化が進み、対応が後手になった場合の工事費用は、約94万円。

では、劣化があまり進まないうちに対応したとすると、約43万円という試算となった。30年後の対応の半分以下だ。この差は大きい。

追記しておくと、

工事費用は、現在の単価での試算。建築資材の価格は、15年前に比べるとおおよそ20%ほども上がっているというのが現場の感覚だ。建築資材の価格は今後下落するどころか、さらに上がっていくことが予想されている。

さらにこの費用は、大規模修繕全体にかかる費用見積もり約1500万円のうち、外壁にかかる部分だけを抜き出したものだ。このほかにも、防水工事や鉄部・付帯部塗装工事など、経年による劣化具合によって費用がかさむ項目はいくつもある。

賃貸マンションのメンテナンスは、先手必勝!

大規模修繕を先延ばししたら、躯体にどういう影響が出てくるのかは先に述べた通りだ。

修繕に向けて資金を確保できていればいいが、それがなかなか難しいからこそ対応を先送りにしたいと思うはず。しかし建物の劣化が進み、見た目が悪くなり、入居者に選ばれにくくなってから大きな修繕費用を捻出するのはかなり困難なこと。

先延ばしにしたことによって倍以上の費用がかかるとすれば、ダメージが大きくなっていない適正な時期に先手を打って修繕しておくべきだといえる。

「多額の費用をかけて修繕するより売却を」と希望するオーナーも多いと思うが、きちんとした修繕履歴を提示できなければ査定に影響し、物件価格から修繕にかかる費用を引かれることとなる。

賃貸経営は、長期的な視点が必要だ。大規模修繕も、1度きりのことではなく、十数年ごとに考えなくてはならない。そのためにも、建物の状態を見守り、必要な時期に必要な個所の補修をマメに行ってくれる業者を、パートナーとして見つけておくことをお勧めしたい。

今一度、大切な資産のメンテナンス状況に目を向けて、現在の対応でよいかどうか真剣に検討してみてはいかがだろう。

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協力/株式会社タイセイシュアーサービス

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取材・文/赤石牧子

■主な経歴

住宅系出版社3社で編集業務に携わった後、フリーのライターとして活動。得意ジャンルは不動産。これまで取材した不動産は3000件近く。転勤族の夫とともに地方都市を渡り歩く中で、地域ごとに異なる街の在り方、住まいの特性を見聞きするのもライフワークの一つに。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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