50歳目前で無職になってしまった夫の新たな仕事と活力を求めて、北海道・苫小牧で、不動産投資を始めた似鳥陽子さん。【前編】では77万円で購入した1戸目の話や、激安物件の見つけ方について紹介した。
【後編】では、ボロ戸建投資ならではの難しさに直面した2戸目や、スムーズに進んだ3戸目について紹介する。
50代夫婦がいかにして不動産投資を軌道にのせ、新しい道のりを切り開いたのか? 失意のどん底から這い上がり、現在では不動産投資は「ライフワーク」となり、夫婦で新たに衆議院秘書を務めるなど充実した生活を送るまでの道のりを紹介する。

1戸目から半年も経たないうちに
2,3戸目を100万以下で買い進めるが…
1戸目をリフォームしている途中に、2戸目となる目ぼしい物件を見つける。同じく苫小牧で、築45年の戸建を100万円で購入する。どのようにして見つけただろうか?
「不動産情報サイトに、探している物件の条件を入力して登録しておくようなフォームがよくありますよね。実際に登録したところで返事がくるのかと半信半疑だったのですが、よく見ているサイトで、試しにほしい物件の条件を書いて送ったところ、業者さんから、『こんな物件があるが、100万円で買いませんか?』と話が来たのです。見に行ったら、ピンクの外観でインパクトがありました。1戸目と同様に、所有者が相続された物件でした」
購入の決め手は、1戸目と同じくリフォーム担当の夫が見て、自分のできる範囲で再生できそうだと判断したからだ。
5月に1戸目を購入して、6月に2戸目の手付金を払っていたが、相続の手続きに長く時間がかかっていたため、10月になってようやく引き渡しされた。
まだ登記が終わっていない段階で売り主から「もう好きにしていい」と言われたので、リフォームや残置物の処分などを始めていたのだが、思わぬ事態に。
「すでにお風呂のリフォーム工事を始めるなどしていたのですが、引渡し前にリフォームを始めていたことで、売り主に激怒されました。話の行き違いがあったようで苦労しました」
不動産会社が話を通して、事なきを得たが、当時は頭を抱えた。
もう1点、2戸目で学んだことが、リフォームを自ら行う難しさである。そもそも戸建投資を行うのに、リフォームにはお金をあまりかけずに、クリーニングや壁紙などの交換程度で済ませる予定だった。しかし2戸目の室内で床の傾きがあり、夫が直すことに。
「1戸目と2戸目のリフォームに半年ほど時間がかかってしまいました。周りに手伝ってくれるような仲間もいるので、いざとなれば人の手を借りることもできるのですが、なんとか夫の力で再生できました」


3戸目は移住支援制度が充実した白老市で
移住支援金、1世帯に100万円で移住者増!
2戸目の引き渡しが終わった1ケ月後に、3戸目を購入する。3戸目は、苫小牧に隣接する「白老市」で、築48年の戸建を85万円で購入した。
白老市は地方移住者を呼び込むための移住支援制度が充実している。条件を満たすと、1世帯100万円の移住支援金が受けられるなど、なかなか魅力的である。(参照:白老市ホームページ)
では3戸目はどのようにして見つけただろうか?
「2戸目を購入した不動産会社から話がきました。家主さんが年老いて、お子さんと一緒に暮らすために、早く処分したいとのことでした。購入の決め手は、近年にリフォームされていて状態がよかったこと。壁紙張り替える程度ですむと判断したからです」

リフォームできることが強み。
焦らず、いい物件があれば増やしていきたい
「誰も失敗していない」と聞いていたボロ戸建投資だが、いざ3戸実践して、思うことは?
「事業規模といわれている5戸をまずは目標にしていました。この感じなら、あと2戸、買い進められそうだと感じています。焦らず、ゆっくり見極めていけばと思っています。
私がコンサルを受けた大家の会では、築古を購入した人から『こんなに修理費かかると思わなかった』という相談が多いようで、私の場合は、夫がリフォームできるので、それが強みになっていて、ありがたいですね」
もともと札幌出身の似鳥さんだが、東京に住んで20年以上仕事をしてきた。苫小牧に移住した当初は、それまで暮らした札幌や東京に比べて、不便や物足りなさを感じることがあったそうだが、不動産投資を始めてからは、逆に、地方都市の強みを実感するようになったのだそう。
「不動産投資をする観点から言うと、絶対に地方がいいですね。圧倒的に安い物件があり、ライバルが少ない。ボロ戸建の場合、時々不具合がありますから、すぐに駆けつけて直せる範囲内で行うことも大切かもしれません」

現在は夫婦で始めた衆議院秘書の仕事が忙しいため、以前ほど不動産投資に充てられる時間は少なくなってきている。
逆にいえば、一度、客付けできれば、不動産投資は「手間がかからない」ともいえる。そして夫婦でボロ戸建を再生することで、失意のどん底から活力を取り戻せたことは大きな財産といえるかもしれない。
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健美家編集部(協力:
(たかはしようこ))