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札幌副都心「新さっぽろ」が大規模複合開発で人気エリア「琴似」になる

都市計画・再開発(地域情報)/札幌/北海道 ニュース

2020/12/04 配信

1札幌市営地下鉄東西線「新さっぽろ駅周辺地区」のまちづくり(画像:大和ハウス工業株式会社)
札幌市営地下鉄東西線「新さっぽろ駅周辺地区」のまちづくり(画像:大和ハウス工業株式会社)

札幌市の再開発を様々記載してきたが、今回お伝えするのが地下鉄東西線の最終駅、札幌市注目の「新さっぽろ駅周辺地区」の大規模複合開発である。

この大規模再開発エリアの新さっぽろ駅周辺地区は、昭和30年代からの札幌市における人口増加を受けて、市営住宅団地など、大規模な団地造成により開発された地域。そして昭和46年(1971 年)に 「札幌市長期総合計画」で「副都心」として位置付けられた。

それを受け、札幌市は昭和47 年(1972 年)に「厚別副都心開発基本計画」を策定し、昭和49 年(1974 年)に「㈱札幌副都心開発公社」を設立した。

それ以降、JR・地下鉄・バスターミナルなどによる一大交通結節点として、また、江別市や北広島市などを後背圏にもつ生活拠点として、公共施設や商業・ 業務機能の集積が順調に進められた。

しかし、開発可能な暫定利用地が存在し、加えて少子高齢化が社会問題化するなど、当地区におけるまちづくりに、懸念事項が存在していた。

特に問題が駅周辺に多数存在していた市営住宅(G団地・I団地)とその住民の高齢化である。

新さっぽろ駅周辺地区まちづくり計画(平成27年3月発行)資料に加筆
新さっぽろ駅周辺地区まちづくり計画(平成27年3月発行)資料に加筆

市営住宅では、子育て世代だけを集める「ニュータウン」構想自体が30年という年数が経ち、当時の子供が大きくなるにつれて高齢夫婦のみの世帯が増え、このエリアの人口が大幅に減り「ゴーストタウン」化してきたのだ。

そのような中、札幌市では、平成25 年度(2013 年度)に「札幌市まちづくり戦略ビジョン」を策定し、同地区を「地域交流拠点」として位置付け、「都心機能の一翼を担う先導的な拠点であり、重点的なまちづくりを推進する地区」となった。そして周辺との一体的なまちづくりを目指し、「新さっぽろ駅周辺地区」のまちづくり計画を策定したのである。

そこで、余剰地(A・B・C駐車場とG・I団地)の活用をより効果的なものとするために基本的な方向性を認識した上で公募型企画競争(プロポーザル)で募集し、最優秀提案者として2017年3月に決定したのが、大和ハウス工業株式会社の案で、この計画を元に2019年春に造成工事が始まり2023年春にすべての工事が完了する予定である。

■G街区(G団地)の開発

G街区では大学と専門学校を建設している。
ここに建設中の大学が、江別市文京台にある学生約2900名札幌学院大学だ。

G街区のイメージ(画像:大和ハウス工業株式会社)
G街区のイメージ(画像:大和ハウス工業株式会社)

G街区の開発スケジュールは以下の通りである。
2019年3月 G街区造成工事着工
2019年7月 産業技術学園着工
2019年10月 札幌学院大学着工
2020年10月 産業技術学園竣工
2021年1月 札幌学院大学竣工
2021年4月 開学

札幌学院大学は1946年創立し1984年に札幌学院大学に改称した札幌でも歴史ある私立大学である。

しかしこの大学も少子化による学生減少からの生き残りをかけて「新さっぽろ駅」の再開発にキャンパスを移転するのである。

札幌学院大学 新札幌キャンパス 2020年11月撮影
札幌学院大学 新札幌キャンパス 2020年11月撮影

まずは2021年度に経営学部及び経済学部を再編した新たな学部(学科)を展開し、同時に大学院地域社会マネジメント研究科を移転する予定で、さらに2022年度には心理学部、大学院臨床心理学研究科及び心理臨床センターを移転する予定である。

この移転により新札幌キャンパスの定員は合計で1600人が見込まれている。
これは江別市文京台キャンパスの定員1200人を上回る比率となり今後同大学の主要拠点としての機能を果たしていくことになりそうだ。

これによって現在キャンパスがある江別市文京台周辺の学生アパートは壊滅的打撃を受けることになるだろう。

もう一つの校舎が恵庭市恵み野にある北海道ハイテクノロジー専門学校の医療分野を新さっぽろに移転し「札幌看護医療専門学校」として開校予定である。

こちらも札幌の近隣都市から学校の一部ではあるが移転してくるのである。

札幌看護医療専門学校校舎 2020年11月撮影
札幌看護医療専門学校校舎 2020年11月撮影

学生マンションは学校の趨勢から逃れることができないのである。
このように2つの学校が新設される「新さっぽろ駅」周辺エリアでは人口構成が一気に変わり、若年層が増えることが予測される。

■I街区(I団地)の開発

I街区は分譲マンションやホテル、商業施設のほか医療施設4棟を計画する開発総敷地面積約55,700㎡(札幌ドーム約1個分)の大規模複合開発プロジェクトである。

I街区では、各施設を「アクティブリンク(空中歩廊)」で接続し、JR「新札幌駅」北側とも空中歩廊でつなげることにより、歩行者の利便性を向上させる予定となっている。
この空中歩廊は札幌市の大人気エリア西区琴似でも設置されているものである。

I街区のイメージ(画像:大和ハウス工業株式会社)
I街区のイメージ(画像:大和ハウス工業株式会社)

各施設をみると、まず分譲マンションは駅直結のRC造・30階建てで、戸数は約210戸となる見通しで分譲開始は2022年12月の予定だ。

プレミストタワー新さっぽろ新築工事現場 2020年11月撮影 
プレミストタワー新さっぽろ新築工事現場 2020年11月撮影

この他にホテルはRC造・12階建て、客室数220室で、2023年4月の開業予定の「ラ・ジェント・ステイ」が札幌3棟目で決まっている。

そして商業施設は大和リースが事業主となり、オープンは2023年4月以降の見通しで、「BIVI(ビビ)」と発表されている。

この「BIVI(ビビ)」は東京の南千住や京都の二条、埼玉の八潮市や仙台、つくばなど10箇所以上で既にオープンしている商業施設だ。

また病院は、7階建ての「新さっぽろ脳神経外科病院(メディカルA)」、4階建ての「新札幌整形外科病院(メディカルB)」、6階建て「記念塔病院(メディカルC)」、「大和ハウス工業の(メディカルD)」の計4棟で、開院時期は全て2022年7月の予定となっている。

これら病院や商業施設が完成する2022年には周辺エリアの人口構成が一気に変わると同時に賃貸需要が増えることが予測されるのである。

新さっぽろ駅周辺地区G・I街区公募提案の審査報告書には、「計画全般として、商業施設や教育施設を中心とした多様な機能集積や産学連携を促進し、居住人口や交流人口の増加に寄与するとともに、中・長期を見据えた産業・人材育成の観点を持つ魅力的な提案である。G街区には大学施設が集積され、多目的ホールや図書館などは地域住民も利用することが可能であることから、生涯学習機能や多世代交流機能といった地域ニーズに沿うものであるとともに、多くの学生が集まることによるにぎわい創出や地域コミュティへの寄与が期待される。

I街区には、特色ある商業施設、ホテル、集合住宅、医療施設が集積され、食と健康を中心とした個性あるまちづくりに寄与するとともに、既存施設との共存・相乗効果を図りながら、交流人口や居住人口の増加、昼夜を問わないにぎわい創出が期待される。この両街区では、学校機能や商業・先制医療機能が相互に連携することで、より効果的な人材育成や産学連携を展開することができるとともに、中でも大学との協力による先制医療機能は、産業誘致や独自性のある先進的なまちづくりに寄与するものとして大いに期待される。」と評されている。

琴似エリアに設置された「アクティブリンク(空中歩廊)」によって、近隣の利便性がアップし琴似エリアの人気は不動のものとなった。
新さっぽろエリアも同様に人気エリアとなるのか、不動産投資家注目の再開発である。

執筆:J-REC教育委員 原田哲也

【プロフィール】
2010年より、一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)の北海道支部を立上げ、不動産実務検定の普及に尽くし、多くの卒業生を輩出。2018年よりJ-RECのテキスト編集、改定などを担当する教育委員に就く。
また自身が主宰する北海道大家塾は既に62回の開催を数え、参加人数も述べ3700人を超える。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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