埼玉県央のベッドタウンである鴻巣市は、近年駅前の大規模再開発が進行し劇的な変化を遂げている。
再開発に伴って転入超過が続き、全国戻りたい街ランキングの上位にも食い込む人気も見せており、今後が注目される。
■ 全国戻りたい街上位の埼玉県鴻巣市。転入超過が続く

埼玉県鴻巣市は、埼玉県県央部に位置する人口11万人の首都圏ベッドタウンである。
JR高崎線の2駅が設置され、都心まで1時間で出ることができる。高崎線の上野東京ラインが開通してからは、上野駅発着の列車が東京駅経由で東海道線に直通運転されるようになり都心へのアクセスが向上した。快速や有料特急も停車する。
また、東北道、関越道、圏央道という3つの高速道路へのアクセスも良い。
埼玉県内では大宮以北になると地価が下がり、鴻巣の住宅地の地価は65,800円/uである。東京特別区平均の約10分の1の水準であり、45坪の土地が1,000万円を切る計算となる。リーズナブルにゆとりのある広さの戸建を確保できる。
市の西部を荒川が流れ、南東部から中央部にかけて元荒川が流れており、自然環境も豊かだ。
交通利便性と住環境、自然環境のバランスが整った鴻巣市は、近年8年連続で転入超過が続いている。2021年の全国戻りたい街ランキング(生活ガイド.com)では、上位20位内にランクインする人気も見せている。
■ 鴻巣駅東口地区で進められてきた大規模再開発

JR高崎線の鴻巣駅東口地区周辺は、高度経済成長期に土地区画整理事業が進まず、老朽化した低層木造建築物が密集していた。
そこで、平成に入って市街地再開発事業に方向転換がなされ、平成15年に再開発組合が設立されて、土地の高度利用や公共施設整備、中心市街地の活性化などを目的とするとともに、鴻巣市の玄関口としてふさわしい景観を形成する再開発が計画されてきた。
駅前東口地区3.7ヘクタールを、3つの街区に分け、高崎線沿線のA1街区とA2街区に、それぞれ、平成19年にはエルミこうのす、平成21年にはエルミこうのすアネックスが竣工した。

エルミこうのすは、駅直結の複合ショッピングモールで、スーパーや雑貨、飲食店、医療施設などのテナントが入っている。
エルミこうのすアネックスは、地上13階建てのマンション施設で、低層階には、映画館や図書館なども整備されている。
これらの2つの施設のオープンで、鴻巣駅東口は、駅前で生活の大半の用が足りる、コンパクトな現代的ベッドタウンに生まれ変わったといえるだろう。
■ 鴻巣駅前東口駅通り地区にも高層マンションが完成し再開発も大詰め

令和2年には、鴻巣駅前東口駅通り地区に、地上14階、195戸の高層マンション(ポレスター鴻巣駅前ガーデンズ)が完成し、鴻巣駅前東口地区の再開発も大詰めを迎えることとなった。
マンションの1階の商業施設が並ぶプロムナードとマンション奥には、「鴻巣宿おおとり公園」が一体的に整備された。
これらの再開発によって、鴻巣駅東口の駅周辺は、現代的に洗練された街並みになったといえるが、その一方で、これらの整備された街区の後ろには中山道が走り、昔ながらの商店が並ぶ。
中山道から駅前に向かって通りを一歩入ると、急に現代的な街並みが広がるのには奇異な感があるのも否めない。
鴻巣駅前東口の再開発完了を契機に、鴻巣駅の街並みは更に進化していくのだろうか。今後の展開が気になるところである。
また、鴻巣市では、市内もう1つの駅である北鴻巣駅でも、平成24年に駅前西口地区の約9.3ヘクタールの農地の土地区画整理事業をおこなっている。これによって北鴻巣駅前も、イングリッシュガーデンをイメージした「すみれ野中央公園」を整備するなど、おしゃれな街並みに生まれ変わっている。
鴻巣市が今後、首都圏ベッドタウンとしてどのように進化していくのか、注目したい。