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築20年の大規模マンションで漏水続出。調査してわかったショッキングな事実

トーマス高島さん_画像 トーマス高島さん 第49話 著者のプロフィールを見る

2023/5/9 掲載

築20年のファミリーマンションを購入したのはいいが、配管がボロボロで、現状、損失になっている話をご報告したいと思います。

配管がボロボロと判ったのは、2022年年末の事。報告された当初は、「 まあ今は更生技術が進んでいるから、何とかなるだろう 」と思っていたのですが、いろいろあって現状( 2023年4月現在 )では取り換え工事( 更新工事 )になりそうです。

その顛末を記す事で、皆さまの何かしらのご参考になればと思う次第です。

■ 新宿まで30分のファミリー区分を約2,000万円で購入した背景

このファミリーマンションを購入したのは、2019年の年末に近い時期でした。2018年と2019年に不動産のリバランスを行ってきたので少しは購入も良いだろうと、割安で買えるモノがあるなら仕込んでおこうという考えでした。

購入価格は、約2,000万円。割安感もあり、ファミリーに選ばれやすい物件だと感じたため、再販売も簡単そうだと購入を決めました。物件のスペックはざっくりと以下のようなものでした。

・築約20年、約1,000世帯の大規模分譲ファミリーマンション
・新宿まで直通30分程度の東京多摩地区。駅徒歩10分程度
・購入時で修繕積立金が15億円以上貯まっていた
・外壁や防水等の大規模修繕は数年前に完了。管理状況良好
・各住戸の面積は、約80㎡~100㎡程度
・陽当たり良好で駐車場は戸数分確保されている

当初は、「 この物件は分譲時に4,000万円~6,000万円台したし、今も( 2019年末時点 )3,000万円弱で取引されている。2,000万円程度で買えるなら、買っておいてゆっくりリフォームしていこう。2年後くらいに3,000万円程度で再販売するかな 」と考えていました。

ところが購入から数カ月後にはコロナ禍に。水回りや床のリフォームに使う輸入部材が調達できないなどの理由で、その後は室内の仕上げを完全には終えられないまま、時間だけが経っていく状態となりました。

それでも、「 投資用物件や商業不動産は景気の波をかぶりやすいが、実需のファミリーマンションは違う。住宅ローンは国策という部分もあって借りやすいし、投資用物件とは違って間口も広い。焦らずに様子を見て、数年以内に売に出せばいいだろう 」と考えていました。

ここからは余談ですが、急いで売りに出すことをしないのは、私が宅建業者ではない一般のエンドユーザーなので、不動産転売の反復継続を避ける、という意味合いもあります。

法律的に問題がなさそうな範囲内でのみ、私は時折このように物件を仕入れ、数年寝かしてから販売という事を試みているのです。そんなわけで、この物件を購入したのが2019年年末だったのです。

話を戻します。ところがその後、コロナ禍の日本では国民一人当たり10万円に始まり、持続化給付金200万円や各種補助金や助成金等、「 日本のような資産超過な国はお金を幾ら刷っても、インフレにはならない 」というMMT理論を背景に、ドンドン市中にお金がばら撒かれていきました。

これは2019年末に予想していた状況とは異なる世界に入った、という事を意味します。コロナ禍がない例年通り、いわゆる通常の世界であれば、2020年に景気後退となり、また数年で景気上昇という循環になったのかもしれません。

しかし、お金が出回り始めれば株価や不動産価格に短期的には強いインパクトをもたらします。私はこの物件を当初より長め、2022年から2023年くらいまで保有して、状況を見ながら適切な時期に売ろうと考えを改めました。

世界的なカネ余りからのウッドショックや資源価格の上昇もあり、2020年や2021年からの資産価格高騰は、もう少し持続しそうな気がしていたという理由もあります。いずれにせよ、焦りはありませんでした。

■ 50年使えるはずの排水管が早くもボロボロに

ところが、そろそろ売ろうかなと思っていた2022年末、意外な報告が管理会社から上がってきました。「 漏水がやけに多いと思っていたのですが、調べたら配管がボロボロだった 」というのです。

見積もりの更新工事費は約10億円。これを本当に実施した場合は修繕積立金の約8割が吹き飛び、長期修繕計画が成り立たなくなるような臨時費用です。

聞いた時は「 まだ築20年なのにおかしいな。管理会社が仕事欲しさに針小棒大に事例を報告している可能性もあるし、万が一本当に配管がおかしくなっていても、更生工事( ライニング等 )で対処できないか 」というのが最初の私の感想でした。

私は2001年から不動産投資をしていますが、今まで築20年程度で配管がボロボロというケースは見たことがありません。反対に、管理会社の不正行為というのはかなり見聞していました。

「 約1,000世帯のマンションならば様々な有識者が所有者にいる確率が高い。そうなると不正は難しいが、厚顔な管理会社の場合は、それでも不要な工事を押し付けてくる可能性がある。今回もそんなことではないか 」

そう感じた私は、それまで全く没交渉だった管理組合に顔を出し、状況把握に乗り出すことにしました。本当にこんな状況ならば、再販売どころではなくなりますし、管理会社に不正があるならそのままではいけない、という気持ちがありました。

そんなこんなで自分なりに調査を始めました。漏水部分の切り取りサンプルを検分したり、配管製造メーカーへヒアリングをした成果物を読み込んだり、自身で調べて選定した配管ライニング業者と打ち合わせをしたりという内容です。



■ 調査でわかった残念な結果

その結果、「 排水管の劣化が今回の漏水原因。主に、台所と浴室系統で排水管が傷んでいる。トイレ系統はおそらくは大丈夫 」ということがわかりました。つまり、管理会社の報告は本当だったのです。

排水管は鋳鉄管を使用していました。通常は約50年使用できるのですが、昔より高性能な洗剤や油脂分等を排水に流すという生活の変化で、想定外の硫化水素が発生し、加えてバクテリアの発生もありボロボロの排水管になってしまっていました。

配管メーカーによると、洗濯洗剤( 洗濯ビーズ等 )も配管を痛めるとのこと。なんとかいい方法はないかと複数の排水管ライニング業者に声をかけたのですが、状況を話すと皆、「 辞退 」という返事でした。

困りました。1,000戸の大規模マンションに多くのファミリーが住んでいます。既に数十件の漏水被害が生じていました。自分の所有する区分も時間の問題かもしれません。まだ築20年ですし、対策を講じないわけにはいきません。

まさかこんな結果として表れてくるとは…。私は未だに唖然とした気持ちでいます。一戸で2,000万円を投じています。このような物件を1棟丸ごと所有していたら、どうなったでしょうか! 改修費を考えると大赤字になっただろうと思います。

■ 反省点

私の投資家としての反省点をまとめました。

・約2,000万円という少額投資であったため、投資活動全般の中では枝葉末節の支作戦としか考えず、状況を当初把握出来なかった事。これにより売り時を逸した
・築20年とはいえ、不動産には様々なリスクがあるという事。それを軽視していた
・マメに管理組合に顔を出していれば、もう少し状況を事前に探知出来ていた可能性があるのに、それをしていなかった

日本全国、他の物件でもこの問題は今後増えてくるでしょう。このような物件を再販すれば、買主様に迷惑をかけることになります。

私としては今後も所有を続けながら、「 これも不動産投資を続けていく上での勉強 」と、この排水管問題に取り組んでいくつもりです。
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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

トーマス高島さん

トーマス高島さん

東京都在住
不動産投資家

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経歴
  • □197×年
    東京都に生まれる

    □幼稚園時代から親の仕事関係で住居が転々と変わる

    東京以外には神奈川県や千葉県に居住経験

    □大学卒業後非鉄金属会社に入社
    祖父母介護の為に退社

    社会福祉法人勤務・整体院経営・雑貨店経営・不動産会社勤務など様々な職業を経験

    中国に数度の短期留学を経験する

    □2001年
    兼業で不動産投資を開始

    株式投資、ベンチャー投資等も行うが、徐々に不動産投資に集約

    □2024年
    山手線沿線を中心に約50戸を所有

    趣味は読書・競馬。好物は酒

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