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100万円の戸建に指値をし、8,000万円のRCは満額で購入した理由

大野靖弘さん_画像 大野靖弘さん 第41話 著者のプロフィールを見る

2024/1/22 掲載

先日開催したミーティングの参加者さんとの会話の中で、「どれくらい物件の売値から安く買った事がありますか?半額くらいで買える事もありますか?」という質問がありました。

そう聞かれて改めて考えてみると、これまで私は、「どれくらい安く買えたか?」という値引き率については、あまり意識してこなかったという事に気が付きました。

不動産は売主と買主が納得すればそれが売買価格になるので、結果的に売値の半額で買える事もあるかもしれません。ただ、目の前の人が半額で買えたからと言って、自分の物件も半額で買えるかは分かりません。

私も大家を目指していた頃は、見よう見まねで戸建に半額の指値をして買付を入れた事がありました。

ただ、その価格には何の根拠もなく、勉強した書籍や先輩大家さんの話を聞いて、ただ「いくら安くなった」という表面だけを見て真似したものでした。根拠のない指値が通るはずもなく、その物件は他の方に満額で買われていきました。

一棟目の物件を何とか購入したいと思っていた自分には残念でしたが、それよりも、満額で即日売れるような物件という事を理解もせずに、何の根拠もなく、相場外れの指値をしてしまった自分を反省しました。

指値は売主の利益が減るだけでなく、不動産会社の仲介手数料も減らします。売主も不動産会社も出来れば満額で購入して欲しいはずです。ただ様々な事情で、価格を下げてでも買ってくれた方がありがたいという事もあります。

その時は担当者がたまたま理解のある方だったので、その後も物件の紹介や購入など、関係が途絶えることなく、良い関係を築く事が出来ました。ただ、初期の頃は特に、自分でも気付かずに失礼な態度を取り、それが原因で疎遠になってしまう可能性もありますので注意が必要です。

■値引率よりも大事な自分の基準

そういった経験を経て、私が価格交渉で気を付けている事は、指値をする場合にはまず「指値をさせて頂く」というマインドを持つ事です。そう意識するだけで、相手に対する言動も変わってくると思います。

さらに、いくら安くなるかの「値引き額」ばかりに目を向けるのではなく、自分の基準で計算した結果、この価格であれば収支が合う、買いたい、買える、融資が通る、という、根拠のある自分の中で納得できる価格を提示したいと思っています。

これまでの経験上、自分自身が買えるか分からない状態で指値をするよりも、「この価格であれば絶対に買える」という前提での指値の方がうまくいっています。

不動産会社の担当者さんも、「この交渉をまとめれば売上になる」と分かれば、真剣に交渉してくれる可能性が上がりますし、売主さんも買えるか分からない人の価格交渉よりも、確実に買える人の方が真剣に検討したくなるはずです。

■過去に指値をして購入したアパートの事例

初期の頃、築29年1,750万円の木造アパートを1,500万円で購入したことがありました。この物件はもともと1,750万円で売りに出ていましたが売れ残っており、その後1,680万円に下がりました。

その価格でもまだ購入したい人は現れず、そのタイミングで私のところに話が回ってきました。誰も検討しないような物件でしたが、私は自分の納得する価格、この価格であれば購入したいと思える価格を提示しようと考えました。

考慮したのは、失敗時のリスクヘッジと、運営時のリスクヘッジでした。まずは、土地値に近い価格で購入出来れば、将来的に建物価値がなくなった時や、賃貸経営が上手くいかなくなった時にリスクヘッジできると考えました。

運営時のリスクヘッジとして重視したのが返済比率です。その当時は、銀行からフルローンを受けても返済比率が50%以下になることを基準にしていました。1,500万円で購入出来れば、これらの条件を満たす為、その価格で買付けを入れさせて頂く事にしました。

ちなみに、この基準は10年前の価格の低い相場なので、今であれば自己資金を入れるなど何かしら基準を変える必要が出てくると思います。とは言え、結果的には当初の売値の約14%OFFで購入させて頂く事が出来ました。

その指し値が通った要因を考えてみると、一つ目に、しばらく売れず、価格を下げたタイミングだったということ。それによって、売主さん、もしくは不動産会社さんが価格を下げてでも売りたいと予想できました。

次に、ヒアリングする中で、売主様に成年後見人が付いていることが分かりました。そのため、売却額については、成年後見人の方や不動産会社の主導で決められている様子でした。それを聞いて、相手方に「絶対にこの価格で売りたい」という明確な意思はないだろうと感じました。

その上で、「この指値の価格であれば、こちらは融資の内諾も出ており、確実に購入出来る」ということを伝えました。そして結果的に、当初の価格より安く購入させて頂く事ができたのです。

■過去に指値をして購入した戸建の事例

次に戸建の例です。こちらの物件は当初180万円で売りに出ていたものが100万円に下がり、最終的には60万円で購入させて頂きました。当初の売値から約66%OFFという事になります。

指値が通った要因ですが、売主様が投資家ではなく一般の方だった為、利回りを元にした根拠のある売値というよりは、近隣相場や不動産会社さんのアドバイスのもと、売値を決めていると予想され、価格交渉の余地がありそうだと思いました。

さらに、この物件のエリアは、札幌から車で3時間ほどの地方都市で、300万円以下の戸建が多数売れ残っていました。そのため、不動産会社さんも、「安くしてでも購入して頂けるならありがたい」という雰囲気で、価格交渉にも積極的に動いてくださいました。

これがもし、ここのエリアではなく、北海道の中心都市で、さらに180万円の戸建ではなく、1,800万円の収益アパートだった場合、購入価格66%OFFという結果は難しかったでしょう。

何を言いたいかと言うと、「あの人は何割引きで購入できた」という数字がすごいかどうかは、状況によって変わってくるということです。誰かが何割引きで買えたから自分にもできる、とは限りません。

そして、もし安く買えても、それが良い物件かどうかは別の話です。目の前の物件の引き合いや売主の事情等も考慮し、時には不動産会社さんにも相談して決めていく必要があると思います。

■満額で購入したRC物件

私が常に指値をして買付を入れているかというと、そんな事はありません。例えば、築15年の中古RC物件を買った時には、売値通り8,800万円の満額で買付を出しました。そのままの価格でも当時の自分の基準内であった事と、融資が希望通りの条件で通った事が決め手でした。

もともと売主様が指値を受け付けないという事と、融資承認を書面で一番初めに提出出来た人に交渉の優先権があるという案件だったこともあります。

スピード勝負で金融機関さんの協力が不可欠でしたが、希望通りの自己資金1割、融資年数30年での条件を了承して頂き、融資承認の書面も最短で対応していただけました。本当に賃貸経営は一人では成り立たないなと思います。

■縁がある物件は買えるし、縁のない物件は買えない

これら三つの事例を振り返ると、価格交渉がまとまり購入できた物件というのは、そこまでに色々な幸運が重なっています。

実際にはこの裏側にたくさんのまとまらなかった物件があります(笑)。でもそれは、自分の納得のいく賃貸経営をするために必要な失敗だと考えています。

今では、不動産はつくづく運であり縁だなと思う様になりました。「縁がある物件は買えるし、縁のない物件は買えない。縁のある物件は一度ダメになっても戻って来る」。自分にできることは、とにかく今出来る全力をぶつけて、良いご縁を待つことだけです。

経験を重ねるうちに、自分自身の不動産投資への向き合い方にも変化がありました。初期の頃は指値をして少しでも安く購入する事を重視していたのですが、今は問題なく運営していけそうな物件を買い、きっちり経営することを大事にしています。

もちろん、安く買うことは大事ですが、それだけではない、ということです。そこに至るには、不動産会社や金融機関の担当者さんなどと直接会い、話をする中で、様々な視点から自分の賃貸経営を客観視できるようになったのが大きいと思います。

今年も、色々な方に協力していただけることに感謝しながら、自分にできることに全力で取り組んでいきたいと思います。

冒頭のミーティングの参加者さんも、「今年こそは物件取得をして大家業を始めます」と何度も言っていたのが印象的でした。自分にとっても令和6年の今年を、節目の年としていけたらと思います。今年もよろしくお願いいたします。

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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

大野靖弘さん

大野靖弘さんやっさん

不動産投資家
札幌市在住

家族は妻と何か可笑しい三人娘の5人家族
不動産を通じて「自分らしく生きる」をテーマに活動中
不動産と筋肉の懸け橋になる事が目標

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □1980年誕生

    □1987年(7才)
    母を亡くす

    □2002年(23才)
    大学卒業後、外資系ブランドに入社

    □2004年(24才)
    父を亡くす
    「人はいつ死ぬか分からない。その時に絶対に後悔しない人生を送らなくては」と強く感じる

    未来に希望が見出せず、2度の転職を経験するも、会社や国に頼る人生ではいけないと悟る

    □2010年(30才)
    結婚し子供も生まれて幸せを感じながらも、娘に100円の焼き鳥を買うのに躊躇する自分に猛烈に違和感を抱く

    加藤ひろゆきさんの書籍を読み、大家になることを決意

    □2011年(31才)
    1棟目のアパートを購入

    □2012年(32才)
    2棟目のアパートを購入
    年末に火事になる

    □2013年

    築古や新築のアパートで資産を増やす

    □2017年(37才)
    会社を退職し専業大家へ
    ここから築古戸建てを高利回りで再生する手法に挑戦

    □2019年(39才)
    不動産賃貸業で社会貢献出来ると気付き拡大へ舵を切る
    中古RCを3棟取得

    □2021年(41才)
    これまでに、新築・中古アパート、築古戸建て、区分マンション、中古RCマンションなど29棟122室購入

    そのうちいくつか売却し、現在は計91室を所有し満室時家賃年収は約5,700万円以上

    不動産への恩返しの思いから、これから始めたい方へ向け、セミナー・スクール・交流会の開催の他、ブログ・Youtube・ラジオなどによる情報発信も行っている

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