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不動産投資家は会社設立時の資本金を1,000万円未満にするべき理由

渡邊浩滋さん_画像 渡邊浩滋さん 第78話 著者のプロフィールを見る

2021/8/2 掲載

大家さんが会社を設立するにあたって決めなければならないのものの一つに「 資本金 」があります。資本金はいくらに設定した方がよいのか? 悩ましい問題です。今回は税理士目線として、どのように考えるべきか解説します。

1、資本金とは何か

設立時の資本金をざっくりと表現すると「 会社スタート時に持っている財産( お金など )」ということになります。昔は、株式会社を設立するための最低の資本金は1,000万円でした( 有限会社は300万円 )が、現在は1円から設立できます。

会社を設立するときは、会社の預金口座は出来ていませんので、出資者が資本金を預かっていることを法務局に証明します( 出資者個人の通帳のコピーを法務局に提出 )。そして、会社の登記が完了すれば、預金口座を開設することができます。

その際に、出資者が預かっていた資本金を法人口座に移動することになります。この資本金( お金 )は、会社( の口座 )に置いておく必要はありません。会社は事業で使って問題ないのです。

「 使っていいお金なら、資本金って何のためにあるの? 」と思う方もいるでしょう。資本金が大きければ、それだけの財産( 資金力 )があって会社をスタートしたよ。という証明になります。つまり、資本金が大きければ大きいほど信用力が増すのです。

銀行でも「 自己資本比率 」を重視します。自己資本とは、ざっくり『 資本金+利益剰余金( 過去の利益の累積 )』です。



ちなみに、出資者は一度会社に出資すると、基本的に払い戻しを受けることができません。株式( 出資 )を誰かに買い取ってもらうか、解散して財産の分配を受けることでないと戻せないことになります。

2、資本金を1,000万円未満にするべき理由

税務的な観点からすると、資本金は1,000万円未満にした方がよいです。それは税務上有利だからです。

1)消費税の免税事業者になれる

消費税の課税事業者になるかどうかは、原則2期前の課税売上高が1,000万円を超えたかどうかで判定します。しかし、設立したばかりの会社は2期前がありませんので、資本金の金額で判定します。



課税事業者になってしまうと、駐車場や事務所・店舗の家賃がいくらであっても、その消費税を納めることになります。また、課税事業者( 原則課税の場合 )の期間中に1,000万円以上の建物を購入すると、3年経過する期まで課税事業者が強制されることになります。

2)法人住民税の均等割りが安い

法人住民税には、赤字でも均等割りがかかってきます。均等割りの金額は資本金の額により金額が異なります。



資本金1,000万円を1円でも超えると、11万円納税額が変わってきてしまうのです。

3)その他
なお、資本金1億円を超えると、税務上の「 中小企業 」ではなくなります。すると、所得800万円以下の軽減税率( 法人税15% )や、交際費の全額損金算入、欠損金の全額繰り越し控除の対象、などの優遇税制が受けられなくなります。
不動産を現物出資する等の場合は、資本金が大きくなりやすいので注意が必要です。

3、不動産購入と資本金

「 不動産購入の自己資金くらいは資本金にしないといけないのでは? 」と質問されることが多いです。私は「 その必要はありません 」と回答しています。会社にお金が足りなくなったらどうするの? と思う方もいるでしょう。

足りない分を資本金でまかなう( 増資する )こともありですが、その場合は登記費用がかかったり、税務上の問題が生じやすくなったります。

ではどうするかというと、役員などがお金を立て替える( 役員借入金 )ことが一般的です。個人が法人にお金を貸すのです。法人がお金を貸す場合、必ず利息を取る必要がありますが、個人がお金を貸す場合、必ずしも利息を取る必要はありません。

役員借入金は、返済期限のない借り入れであることが多く、金融機関からすると、資本金と同じように見てくれる可能性があります。個人はいつでも会社から返済を受けることができ、返済を受けた個人は、収入を受け取ったわけではないため、税金はかかりません。

4、役員借入金のデメリット

役員借入金を多くすることによるデメリットもあります。役員借入金は、会社側から見れば借入金ですが、個人側から見れば貸付金という財産です。

将来、相続が発生したときに、相続財産として相続税の課税対象になります。貸付金が多額であれば、相続税も高い税率で課税されてしまいます。資本金・役員借入金のメリット・デメリットを考えて判断しましょう。



5、結局いくらにするのがよいの?

私が司法書士として会社設立のお手伝いをする時の事例ですが、わかりやすく100万円にする方が多いです。1万円でも10万円でもよいのですが、法人の当面の運営費くらいはあった方がよいという観点でもあります。>

銀行評価を気にして、少しでも資本金を上乗せしようとする方がいらっしゃいますが、正直、資本金が100万円でも200万円でも300万円でも( 桁が変わらないのであれば )それほど評価は変わらないと思います。>
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私のYoutubeチャンネル「 大家さんの知恵袋 」でも、「 資本金をいくらにするべきか 」について、動画で解説していますのでこちらもよろしければご覧ください。



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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

渡邊浩滋さん

渡邊浩滋さんわたなべこうじ

不動産投資家
Knees bee税理士法人 代表

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □大学在学中に司法書士試験に合格

    □大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

    □商社を退職後、税理士試験に合格

    その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

    □2011年
    「行動する大家さんの会」を設立

    □資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

    □2013年
    「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

    □2017年
    日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始(同じ志を持つ仲間を求めている)

    □2022年10月法人化
    税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

    資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

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