• 完全無料の健美家の売却査定で、できるだけ速く・高く売却

×

  • 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集

割安な「狭小地」「傾斜地」「準工業地域」で収益性UP。下北沢駅徒歩6分の賃貸併用住宅も【建築家と建てる賃貸住宅】

収益物件購入・売却/建築家の賃貸住宅 ニュース

2022/06/24 配信

「傾斜地」や「準工業地域」「狭小地」など、何かしら難がある立地は敬遠されがちで、賃貸住宅は不向きだと考えている人も多いだろう。

しかし、そうした条件の悪い土地は、割安で購入できるメリットもある。そんなワケあり立地に魅力的な賃貸住宅を建てているのが一級建築士事務所 森吉 直剛アトリエだ。

森吉氏は「土地の価格が高い都心ほど、割安感のある、条件の悪い土地に注目すべき」だという。どのような賃貸住宅を建てているのか取材した。

1
下北沢の駅徒歩6分の場所にある地下1階、地上3階建ての賃貸併用住宅。道路幅が狭く、さらに傾斜地である立地を活かした。写真:(C) nacasa & partners inc.

傾斜地をいかして、北側に空間を確保し、北側採光に。
そうすることで戸数を増やして収益性UP!

再開発が進み、ますます人気を増している下北沢。なかなか条件のいい土地が売りにでず、売り出ても高額な場合が多い。そんななか駅徒歩6分の場所に傾斜地で、かつ道路幅が狭く、割安で土地が売りに出ていたことに目を付けたオーナーさん。賃貸併用住宅を建てるにあたり、建築家の森吉氏に依頼した。まずは設計のポイントについて聞いた。

「第一種低層住居専用地域で、北側斜線の規制が厳しい地域です。南北に勾配がある、なだらかな傾斜地を活かし、北側に大空間を確保し、あえて北側採光にしました。

一般的に日本の住宅は南向きで、南側にベランダやバルコニーを設けますが、この考え方を大胆に変えました。それにより北側斜線をクリアし、建物を高くする事が可能で、半地下を入れて4階設けることができています。

地下の住戸は容積率を緩和できるメリットがあり、賃貸の住戸を4戸設けていますが、それがまるまる容積率から除外できるため収益性アップにつながります」

昨今では日本の夏は暑くなりすぎて、南側に窓があると直射日光が強すぎることがある。北側に開口部を設け、北側採光にすることで、穏やかで、安定した採光を確保できる。

また、地下の住戸は、抵抗がある人もいるかもしれないが、地下を好む入居者は一定数いるようだ。道路に面した1階よりもクローズドな空間になることで、プライバシー保護の面からも支持され、入居者の定着率が高くなるケースもあり、こちらの地下の住戸には竣工当時から12~13年住んでいる入居者もいるほどだ。

地下は道路から近いことで、お客さんの出入りがあるような個人事業主からも重宝され、自宅兼仕事場として利用するケースも少なくない。

2
室内では間仕切りにも収納にもなる可動式の収納を用意することで、間取りを固定せずに利用できるようにした。正面のキッチン設備は、扉で閉じることもでき、雑多な印象を与えない。写真:(C) nacasa & partners inc.

室内はコンクリート打ち放しで、床には「塩ビタイル」を用いるなどコストを抑えながらシンプルモダンなデザインに。入居者を募集すると、立地の良さと、ほかにはない内装などが評価され、すぐに満室となった。

狭小地では、狭さを麻痺させる工夫を!
スキップフロアで、天窓のある賃貸併用住宅

次は東京・台東区の狭小細長敷地での賃貸併用住宅の例である。どのようにして居住性を高めるかがポイントになった。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
間口4.5m、奥行き23mの狭小細長敷地。1階が事務所、2階に賃貸住宅1戸、3~5階がオーナー住戸。不燃の木目調のルーバーをバルコニーに採用することで、あたたかみのある外観に。ルーバーは、目隠しになりつつ、光や風は通る設計。

「細長い敷地ですが、両方の道路に面していることもあり、高さを活かすこともでき、通り抜けもできます。そこで考えたことが断面の工夫です。建物の中央に階段室とエレベーターホールを設け、光が入るようにトップライト(天窓)を設けることで、斜め方向から光が入るようにしました。さらにリビングの天井を高くするなど、各階で天井高にバリエーションをつけました」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
リビングの天井高を高くするなどして、狭さを麻痺させる工夫を施した。

周辺に工場が多い立地でも
魅力的な賃貸住宅は可能!

次は東京都江東区の「準工業地域」での例である。工業地帯ではオフィス向けの賃貸需要があることに目をつけ、1~2階をオフィス向け賃貸、3~4階をオーナー住戸にした。周囲に工場が多いなかで、いかに快適に暮らせるか課題となった。

5
周辺に工場が多く、音が気になることから、3~4階は2重の壁を採用。外側は、コンクリートの外壁で覆われている。

「工場がすぐ目の前にある立地から、騒音対策のために、3~4階の住戸にはコンクリートの外壁のなかにオープンスペースのテラスを設け、テラスと部屋の間にも壁を構えることで、音を遮断しています。

コンクリートの壁によって、外からの視線も遮ることができるので、プライバシー保護のためにカーテンを閉める必要がなく、カーテンを閉めないことで、室内が広く感じるメリットもあります」

DWH
コンクリートの外壁の内側にはテラスがあり、心地よい光が差し込む。

「特に都会では土地代が高いため、なかなか理想の場所で、土地を買うことができないケースも多いでしょう。しかし傾斜地や準工業地域、狭小地など、条件の悪い土地でも、アイデア次第でいくらでも魅力的な賃貸住宅を建てることができます。誰もがほしがる土地を狙うのではなく、少し視点を変えることでコストを抑えながら、ほかにはない賃貸住宅を作ることができると考えています」

profile_200422
一級建築士 森吉 直剛氏。 徳島県生まれ。京都大学工学研究科建築学専攻修士課程修了。大成建設を経て独立。大阪芸術大学非常勤講師も務めている。2021年  第二回京都の木の家づくり表彰事業 優秀賞。2019年  BUILD Architecture Awards 2019(イギリス)受賞。

●取材協力:アーキテクツ・スタジオ・ジャパン株式会社(ASJ)
約3000人が登録する日本最大級の建築家ネットワーク。全国各地のスタジオや定期的に開催するイベントで、さまざまな建築家と出逢い、話し合える場所を提供している。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

健美家編集部(協力:高橋洋子(たかはしようこ))

高橋洋子

https://yo-coo.wixsite.com/home

■ 主な経歴

暮らしのジャーナリスト。ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、情報誌などの編集を経てライターに。価値0円と査定された空き家をリノベーションし、安くマイホームを購入した経験から、おトクなマネー情報の研究に目覚め、FP資格を取得。住宅、マネー関連の執筆活動を行う。

■ 主な著書

  • 『家を買う前に考えたい! リノベーション』(すばる舎)
  • 『100万円からの空き家投資術』(WAVE出版)
  • 『最新保険業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』(秀和システム)など

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

アクセスランキング

  • 今日
  • 週間
  • 月間

不動産投資ニュースのライターさんを募集します。詳しくはこちら


ニュースリリースについて

編集部宛てのニュースリリースは、以下のメールアドレスで受け付けています。
press@kenbiya.com
※ 送付いただいたニュースリリースに関しては、取材や掲載を保証するものではございません。あらかじめご了承ください。

最新の不動産投資ニュース

ページの
トップへ