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【ルポ】 8㎡台、玄関からトイレが見える激狭新築ワンルームを見学

賃貸経営/空室対策 ニュース

2016/05/16 配信

バブル期にワンルーム投資という名目で売られていた物件の専有面積は11~13㎡ほどが多かった。それでもかなり狭いと思っていたところに、8㎡台のコンパクトアパートメントなる物件が出たと聞き、見せてもらいに行って来た。

場所は都内。しかも、山手線内、東京メトロの最寄り駅から徒歩4分という立地である。駅からは坂を下った途中にあり、周辺には木造アパート、狭小の新築一戸建てなどが並んでいる。

外観
建物自体がかなり細いことが良く分かる。右手に駐輪場への階段、左に住戸玄関への階段がある

当該物件は木造2階建て。普通だったら6戸ないし8戸ほどが作られるだろうサイズの建物内に住戸は14戸。外から見ると窓がびっしり並んで見え、かなり窮屈に見える。全戸ロフト付きである。

窓先空地
こちらは駐輪場。窓先空地を駐輪場にしているようだ

公道からは階段を登る。建物には2カ所に階段があり、いずれも非常に急。さらに踏面も狭く、おそらく建築基準法の最低基準に合わせた幅と思われる。うっかりすると踏み外しそうである。

しかも、この階段のうちのひとつは駐輪場へのもの。建物前面、住戸の窓側に砂利が敷かれた窓先空地があるのだが、この部分を駐輪場として使うことになっており、利用者は自転車を担ぎ上げる必要がある。折り畳みなど小さな自転車ならまだいいだろうが、いわゆるママチャリなどであれば、自転車ごと転落しそうだ。

ドアと階段
左側のドアと階段との距離を見ていただきたい

1階角の部屋を見せていただく。階段を上がったところ、すぐに玄関があり、極端に玄関前が狭い。ここもまた、うっかりすると落ちそうな感じだ。

玄関から
玄関から室内を見たところ。正面にトイレ、その奥にシャワーブース、その右手に洗濯機置き場という配置だ

専有面積は8.51㎡、約4.2畳で、その中にシャワーブース、トイレ、ミニキッチン、洗濯機置き場があり、ロフトは約1.8畳となっている。東京都の建築安全条例では居室は7㎡以上となっているので、狭くはあるが違法ではない。

玄関を入ると正面にトイレを半分隠すほどの壁があり、残り半分のトイレが見えている。その奥にシャワーブースである。シャワーブースの隣には洗濯機置き場の防水パン。

板一枚の壁
トイレを隠すように作られている壁。板一枚だ

つまり、シャワーを浴びるためにはトイレの脇をすり抜けることにあり、非常に狭い。シャワーブース自体も70㎝角と普通では見ないサイズだ。

シャワーブース
サイズを見ていただくため、人を入れて撮影したもの。これで頭に手をやったら肘がつかえそうだ

一般的に人が通るための幅は60㎝とされており、このシャワーブースの場合、身体の左右に5㎝ずつは空間があるものの、頭を洗おうと手を上げると肘が壁にぶつかる。身長160㎝の私ですら窮屈ということはもっと体の大きな男性には身動き取れないほどのサイズということになる。

シャワーブース、トイレなどの右手に小さなスペースがあり、壁際にはミニキッチン、反対側にはロフトへのはしごがある。部屋全体がL字型になっているわけだ。直線部分とL字になった部分の間にはカーテン。なぜか、シャワーカーテンが使われている。

ロフトからキッチン
ロフトからキッチンを見たところ。キッチンの前にモノを置くスペースはない

ミニキッチンはIHの一口。今どき、あまり使われていないだろう蛇口が用意されている。

ロフトを上がってみる。天井高は130~140㎝となっており、160㎝の筆者が頭を壁に付けて横になると、足元に5㎝ほどの隙間ができる。ということは165㎝以上の人であればまっすぐ寝るのは難しそうだ。梯子段を上って布団を上げるのは難しいように思われるので、寝袋利用が現実的だろう。

ロフト
ロフトの長辺方向に寝転んでみたところ。頭をほぼ壁に付けてみると、脚の先にほんの少し空間ができる

設備としてはTVモニタ付きインターフォン、エアコン一基、トイレには温水洗浄便座がある。また、1階住戸には、床下収納も。最近、部屋を探す人は設備なども含め、ネットで検索をするが、条件だけを入れて検索をすればひっかかるモノは用意されている。

照明
玄関わきの照明。玄関、廊下はあるが居室はない。

不思議なのはコンセントその他がすべて室内を這っている点。普通には壁内に収めるものがすべて外に出ているわけで、壁が薄いのか、作業をし忘れたのか。そのあたりの事情は分からないが気になった。

室内にはフックなど衣類その他を掛けるものも用意されているが、こちらもコーナーキャップを付けるでもなく、切りっぱなしである。

ぞんざいな施工

違うタイプの部屋も見せていただく。8.44㎡(約4.2畳)に2.4畳のロフトの付いた部屋で、こちらはトイレが正面に見えないが、全体に狭いのは同様。

玄関から
トイレ、シャワーブースは右手にある。正面からトイレは見えない

これなら洗濯機置き場、シャワーブースを無理やり室内に設けず、1戸を共用のシャワースペース、コインランドリースペースにしたほうが部屋が広く使えそうな気がするが、そうしなかったのは、検索対策として設備を詰め込んだためかもしれない。寝られそうな空間はロフトのみだ。

内側から
同じ部屋の、室内から玄関を見たところ。トイレとシャワーブースの距離は似たようなもの
キッチンと防水パン
同じ部屋のキッチンと洗濯機置き場。この部屋に住む人が洗濯機を買うようには思えないが、防水パンはある
ロフト部分
ロフト部分を見上げたところ。

物件資料には「最低限の広さがあればいい」と謳われているが、確かに最低限。その昔の4畳半一間にキッチン、トイレの部屋でも10㎡はあることを考えると、それよりも狭いことになる。

もうひとつ、売り文句は「初期費用を抑えたい」である。見ると、敷金1カ月、礼金無しで、家財保険、24時間サポートはそれぞれ1万数千円。それほど初期費用が安いようには思えないが、ひとつ、面白いのは保証会社の保証料が初年度無料という点。大家さんが負担してくれるということだろう。とにかく早く入居者を決めたいということか。

契約自体は普通借家契約で2年、更新料は新賃料の1カ月分となっており、解約予告は1カ月前、1年未満に解約した場合には違約金として賃料1カ月分が課される。また、退去時のルームクリーニング代は借主負担である。

廊下
隣の部屋のドアが非常に近いのがわかる

ちなみにこのエリアの相場は18㎡、バス・トイレ一緒の3点セットのワンルームでこの物件の賃料にプラス5000円くらい。賃料そのもので見れば安いが、面積は10㎡も違う。

また、同額くらいの賃料で探すと、13㎡くらいの3点ユニットのワンルームなども見つかる。取材時点で、この物件には複数の申し込みが入っていたことから、「狭くても新築」というニーズはあるようだ。

投資という側面から見れば、どうなのか? 面積ごとの部屋数は多い方が、利回りは上がる。その点、この物件はある意味、優良物件ともいえる。ただし、ご覧の通りの狭さだ。

ライフスタイルの多様化が進む中で、日本人の住み方もかつてないスピードで変化している。その中で、衣食住の住を担う不動産投資家として、何を削り、何を提供するのか。個人的に思うところはあるが、何を正解とするかは、人それぞれのスタンスによる。真価は、5年後、10年後にわかるのかもしれない。

健美家編集部(協力:中川寛子)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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