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2045年、今の高校生が住宅市場の主役になる時代の日本はどんな状況になっている?

不動産投資全般/社会問題・情勢 ニュース

2024/02/26 配信

20年後はあっという間に来る

ここ10年来、住関係の教育が必要だという声を聞く。だが、実際には義務教育から高校の家庭科に至る間に住生活が教えられるようになっているのをご存知だろうか。

2006年に国民の豊かな住生活の実現を目指す住生活基本法が制定され、それに基づいて国土交通省により学校教育での住教育指導指針として「住教育ガイドライン」が作られた。2008年からは同ガイドラインが教育関係者等に無償で配布されており、住教育の推進が図られてきたのである。

といっても従来の家庭科の衣食住や消費生活、家庭生活などといった範囲からするとやや異色な分野でもあり、先生方も何をどう教えて良いか、悩むところもあると聞く。その家庭科教員に向けて有限会社studio harappa代表の村島正彦さんがレクチャーを行った。題して「変容する『住生活』。22世紀を見据えて」。

現在の高校生が住宅取得時期を迎えるのは2045年頃、人生を終える頃が2100年頃というわけで、その頃に日本の社会はどうなっているかという内容なのだが、これはそのまま、賃貸経営者が知っておきたい未来像とも重なる。

彼らが住宅取得をし始める2045年は、2024年の今年から21年後。その前に賃貸居住の時期があると考えると、今、これをお読みいただいている多くの賃貸経営者もその時代を生き、物件を貸しているだろう。だとしたら、その時代がどういう時代なのかを理解しておく必要がある。

以下、村島さんのレクチャーをなぞって2045年、2100年を見ていき、その時代の住生活の変容を考えていきたい。

日本の人口ピークは2008年だった

まず、2045年、今から21年後はどんな時代になっているか。大きなポイントは人口減少である。下図は国交省の作成したもので、人口減少を語る際にはよく引用される。それによると我が国の人口のピークは2008年ですでに人口は減少局面に入っている。

人口問題を論ずる際によく引用されている図なのでご覧になった方も多いだろう。今後の人口減少は急激だ
人口問題を論ずる際によく引用されている図なのでご覧になった方も多いだろう。今後の人口減少は急激だ

そして2050年、現在の高校生たちが40歳ちょっとという時期になると人口は約1億人になり、その後も人口減少は急速に進む。そして彼らが高齢になる頃には日本の人口は5000万人を切る可能性もあるとされている。非常にざっくり言えば、現在の半分以下ということだ。

「この時期になるとさすがに東京でも人口は減り、713万人くらいになると東京都が推計しています」と村島さん。

現在は東京を始め、都市圏では人口が増加している地域もあるものの、このくらいの時期になると都市圏でも郊外部を中心に少子高齢化が進展するとされてもいる。

高齢者、単身世帯が4割を占める

ちなみにレクチャーではこの数字だけが示されたが、賃貸経営に関係のありそうなデータをいくつか簡単に紹介しておこう。

1970年と2050年では人口はさほど変わらないものの年齢構成はここまで変化する
1970年と2050年では人口はさほど変わらないものの年齢構成はここまで変化する

2050年の総人口は1970年時点とほぼ同じく約1憶人だが、年齢構成は大きく異なる。1970年時点の65歳以上の人口は739万人(7.1%)だったが、2050年は3841万人(37.7%)と大幅に高齢化している。さすがにまだ生産年齢人口よりは少ないものの、多くのビジネスが高齢者を対象にせざるを得なくなっているわけだ。

もうひとつ、2040年には単身世帯が最大世帯類型になるとされている。長らく親と子どもからなる世帯が家族累計の主流だったが、そうした世帯は23.3%まで下落、単身世帯が39.3%にまで拡大する。当然、そのうちには高齢者単身世帯もかなりの割合、含まれる。

東京の住宅価格はまだ上がるのか?

さて、村島さんの話に戻ろう。

これだけの人口減少が予測されていながら、現在の東京の住宅価格は過熱気味とも言えるほどに上がっている。だが、都の推計によると東京都全体では2025年、23区でも2030年に人口はピークを迎えるとされており(2023年12月に発表された国立社会保障・人口問題研究所による最新の推計では東京都のピークは2040年、減少が始まるのは2045年とされている)、20年ほどもすれば東京でも人口は減少し始める。

そう考えると、その時点でも住宅価格が上昇しているかどうかは極めて怪しい。村島さんは今が最後のバブルかもしれないという。その背後で空き家、空き地が全国で増え始めている。

「NHKが発表している「2040年空家数全国予測マップ」から考えると、今の高校生が住宅を借りる、買う時代には世の中には家が多く余っており、彼らが住宅に困ることはないと思われます。

今、団塊世代が暮らしている家は1980年代に建てられており、それ以前の住宅と違い、耐震性に優れているなど一定の質が保たれています。そうした住宅を利用すれば、家を買わなくてもよいかもしれません。また、超高齢化社会で地価が下落、日本の地価が現在の3分の1ほどになるという研究もあります」。

これからの住生活を考える7つのキーワード

そんな時代に何が起きるか。村島さんは将来の住生活の変容を考える視点として7つのキーワードを提示した。

それが以下の点。人口減少、空き家や空き地の増加、環境問題への配慮、コロナ禍などを受けての社会の変容その他を踏まえた上での、これからの住生活を考えるヒントといっても良い。

●家づくりに自ら関わること
●既存住宅活用、リノベーション
●環境への取り組み
●暮らしと仕事との融和
●集まって住む・コミュニティづくり
●所有から利用へ(賃貸・借地権)
●持続可能な家・まちづくり

これらのうち、すでに既存住宅活用、リノベーションは一般化し始めており、コロナ禍ではリモートワークが推奨され暮らしと仕事の融和が加速した。環境への取り組みは今後、住宅の省エネ性能についての基準が厳格化されることからも明らかである。

と考えると、所有から利用へという流れもまた、これから明確になっていくだろうことが推察される。だが、単純に賃貸が選ばれるようになるというわけではないだろう。住宅が余る時代にそれでも選ばれる賃貸住宅と考えると、既存のよくある物件が選ばれるようになっていくとは思いにくい。では、どのような住宅か。

これについては語られなかったのだが、最後に現在の高校生に向けてこれからの彼らの住生活に役立つサイトとしていくつかが紹介された。

こうしたサイトの中に将来へのヒントが眠っている。そう解釈したいところ。見たことがないサイトがあればぜひ一見。将来への動きを感じてみていただきたい。

●改装可能な賃貸物件だけを集めた不動産紹介サイト DIYP
●シェハウス探しの専門メディア ひつじ不動産
●誰と、どのように住む? コンセプト型シェアハウス colish
●空き家売ります掲示板 家いちば
●最新の住生活を紹介するニュースサイト SUUMOジャーナルLIFULL HOME’S PRESS

健美家編集部(協力:中川寛子(なかがわひろこ))

中川寛子

株式会社東京情報堂

■ 主な経歴

住まいと街の解説者。40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくり、地方創生その他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

■ 主な著書

  • 「ど素人が始める不動産投資の本」(翔泳社)
  • 「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)
  • 「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)
  • 「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版)など。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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