不動産投資では、物件を購入しようとしているエリアに賃貸需要がどの程度あるのか、事前に調べることが重要です。需要がなければ入居者を見つけられず、賃貸経営はうまくいきません。今回は、どうすればエリアの賃貸需要を調べられるのか解説したいと思います。
①地元の不動産業者に聞き込みをする
最も良いのは、地元で営業している不動産業者に聞き込みすることです。彼らは家賃相場や空室率、どのような住民が多いのか、治安は良いのか悪いのか、などについて、非常に詳しく知っています。できれば複数の業者に聞くのが良いでしょう。
直接訪問して聞くのがベストですが、遠方なら電話でも大丈夫です。親切に教えてくれる業者は多いです。
少し特殊な例ですが、最近立ち寄った大阪市内の「労務者の街」として有名なエリアの不動産業者は、突然訪れたにもかかわらず、わずかな会話で次のような情報を教えてくれました。
「借り手は生活保護の受給者が多い」
「借り手はたまに夫婦もいるが、多くは単身の中高年男性」
「単身世帯の家賃相場は、生活保護費の住宅扶助の限度額である40000円」
「やはり、築古の木造アパートよりも築浅のマンションのほうが人気がある」
「時々、家賃を払わず飛んでしまう(逃げていなくなる)人がいる」
また、購入したい物件が絞られているなら、「築年数」「間取り」「駅からの距離」「希望する家賃」などを不動産業者に示し、入居者を見つけられるか聞くのもいいでしょう。
たとえば、「●●市▲▲町◆丁目にある築17年、駅から徒歩15分の戸建てなのですが、家賃15万円で貸せるでしょうか」と聞いてみるのです。
すると「それは無理。あのあたりの家賃相場は12万5000円だから、それ以上では貸せないでしょう」との答えが返ってきて、実際その通りになるようなケースがいくらでもあります。
②サイトで空室率を調べる
エリアごとの空室率を調べる方法もあります。空室率が高ければ、物件を購入して入居者を募集しても、なかなか決まらず経営が苦しくなる可能性があります。
空室率を一目瞭然で比べられ便利なのが、「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」のサイト「全国の賃貸用住宅の空室率一覧」です。
北海道から沖縄まで47都道府県の空室率が棒グラフで一目見てわかるように示されています。
たとえば、東京都八王子市の物件の購入を検討しており、エリアの空室率を調べるとします。
先ほどのサイトで東京都をみると、空室率は14.5%で、全国的に見ても低めだということが分かります。
そして、東京都をクリックすると、今度は23区と23区外の空室率の一覧がズラリ出てきます。八王子市は16.8%で、東京都全体の平均よりは高いことが分かります。
さらに八王子市をクリックすると、赤や緑、紫などで色分けされた地図が出てきます。
これは、賃貸物件への入居希望者がよく閲覧する場所を10段階で色分けしたものです。赤に近い暖色系ほど閲覧回数が多く、入居希望者が多いと言えます。
③賃貸物件サイトを調べる
数多くある賃貸物件の入居者募集サイトを利用して、購入しようとしている物件に入居者がつきそうか調べる方法もあります。
物件があるエリアに、同じような築年数や間取り、駅から徒歩でかかる時間などを入力して検索すると、該当する物件がいくつか出てくるはずです。
それらの募集家賃と比べ、自分の物件で想定する家賃が安ければ入居者募集で有利になる可能性があります。一方、想定する家賃が高ければ、不利になるかもしれません。
また、検索しても、そのエリアにほとんど物件が出てこなければ、そもそも賃貸需要があまりない場所かもしれないので、注意が必要です。
以上の方法を使えばエリアのおおまかな賃貸需要はつかめるはずです。さらに、そのエリアに「新たなマンションやアパートが頻繁に建つ」「大手仲介会社のフランチャイズが多い」などの特徴があれば、プロが賃貸需要を見込んでいる場所と判断していいでしょう。
目安となるいくつかの指標を決め、確実に賃貸需要を検討していくことが大切です。
健美家編集部(協力:小田切隆)