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木造高層ビル続々!横浜は高さ44メートル、万博の大屋根も 耐火性・耐震性バッチリ

不動産投資全般/不動産 ニュース

2022/09/11 配信

木材を使った高層ビルが、国内で増えている
木材を使った高層ビルが、国内で増えている

大林組の新技術、木材張り合わせ強度たかめる
CO2排出を抑え、脱炭素の潮流にも合致

いま、木造の超高層ビルが国内に増えている。大手ゼネコンなどが開発した最新技術を使用することで、耐火性や耐震性を格段に高めているのが特徴だ。

建設では、鉄筋コンクリート作りと比べて二酸化炭素の排出を抑えることができるため、今の「脱炭素」の潮流にも合致する。木造は今後の建築のキーワードになり、入居者の嗜好にも影響を及ぼす可能性も。今後の不動産投資戦略を練るにあたって、参考の一つとしてみてはいかがだろうか。

大手ゼネコンの大林組は今年5月、横浜市中区に、純木造耐火建築物として国内最高の44メートルとなる木造建築物を完成させたと発表した。地上11階、地下1階建て。敷地面積約563平方メートル、延べ面積約3502平方メートルとなる。

建物の名称は「Port Plus」で、「自社の次世代型研修施設」と位置付けている。

「Port Plus」内部のイメージ図。大林組のサイトから
「Port Plus」内部のイメージ図。大林組のサイトから

この建物には、大林組のさまざまな技術が反映されている。板を独自の3層構造にして強度を高め、耐震性を確保。さらに、木の柱梁として日本で初めて、「3時間耐火認定」も取得した。

木造のメリットは、鉄やコンクリートを使わず、二酸化炭素(CO2)の排出を抑えることができることだ。

大林組によると、1990立法メートルの木材を使用しており、約1652トンのCO2を長期間、安定的に固定できるという。

材料製作から建設、解体・廃棄までのライフサイクル全体では、鉄骨造と比べ、約1700トン(約40%)のCO2を削減する効果がある。

さらに、コンクリートを使わないため、工事のさいに粉塵やほこり、大きな騒音を出さない。完成した建物の中は、木の空間ならではの温かみがあり、作業や仕事を落ち着いた気分で進められそうだ。

大林組は8月も、オーストラリア・シドニーの建設する木造、鉄骨を組み合わせた高層ビルを受注したと発表した。地上39階で、高さは182メートル。高層部はオフィス、低層部は宿泊施設や店舗施設が配される予定だ。木造ビルは、海外でも重要なカギとなりそうだ。

東京・日本橋には2025年に高さ70メートルの木造賃貸ビル
三井不動産と竹中工務店がタッグ、CO2は20%削減

一方、三井不動産と竹中工務店は、東京・日本橋で、国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビルを建設する計画だ。2023年に着工し、2025年の完成を目指している。

三井不動産と竹中工務店が手掛ける木造ビルの完成予想図。三井不動産のサイトから
三井不動産と竹中工務店が手掛ける木造ビルの完成予想図。三井不動産のサイトから

地上17階建てで高さは約70メートル。延べ床面積は約2万6000平方メートルに達する。構造材に使う木材の量は国内最大規模の1000立方メートル超になる見込みだという。

木材は、三井不動産グループが所有する森林のものをはじめ、国産材を積極的に活用していく。竹中工務店が開発した耐火集成材など、最先端の耐火・木造技術を使用する。

同じ規模の一般的な鉄骨造オフィスビルと比べて、建築時のCO2排出約20%削減する効果を見込んでいる。

2025年大阪・関西万博は会場に円周2キロの木造リング型屋根
法隆寺など関西が誇る木造建築の伝統もアピール

一方、「国家プロジェクト」で使われる木造建築として話題を呼んだのが、2025年大阪・関西万博の会場に作られる、円周約2キロのリング型の大屋根だ。

2025年大阪・関西万博の大屋根の完成予想図。万博協会のサイトから
2025年大阪・関西万博の大屋根の完成予想図。万博協会のサイトから

場所は大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)。万博会場デザインプロデューサーで建築家の藤本壮介氏がデザインした。

完成時の建築面積(水平投影面積)約6万平方メートル、高さ12メートル(外側は20メートル)、内径は約615メートルの世界最大級の木造建築物となるという。木の柱や梁を、水平や水平や垂直に組み合わせた構造となる。

万博を主宰する日本国際博覧会協会(万博協会)は次のようにコメントする。

「リングの屋根の下は、会場の主動線として円滑な交通空間であると同時に、雨風、日差し等を遮る快適な滞留空間として利用されます。また、リングの屋上からは会場全体を様々な場所から見渡すことができ、さらにリングの外に目を向ければ、瀬戸内海の豊かな自然や夕陽を浴びた光景など、海と空に囲まれた万博会場の魅力を楽しむことができます」

歴史の長い関西は、奈良県の法隆寺など、世界に誇る木造の建築も多い。海外からの集客を目指す万博の会場に木造の大屋根を置くことは、関西で長年にわたり引き継いできた木造建築の伝統を、広くアピールする機会になりそうだ。

このほか都市部では、部分的に木材を使ったマンションやホテルの建設が相次いでいる。環境意識の高い入居者らはこうした動きに注目する可能性がある。不動産投資家は今後、みずからの物件をアピールする戦略の一環として、解説してきた傾向を参考にしてみてはいかがだろうか。

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取材・文:小田切隆(おだぎりたかし)

■ 主な経歴

経済ジャーナリスト。
長年、政府機関や中央省庁、民間企業など、幅広い分野で取材に携わる。

■ 主な執筆・連載

  • ニュースサイト「マネー現代」(講談社)
  • 経済誌「月刊経理ウーマン」(研修出版)
  • 「近代セールス」(近代セールス社)など

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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