県庁所在地の中心駅前で進行中の再開発プロジェクト
水戸市は茨城県の県央地域に位置するまちで、同県における県庁所在地。1889年4月に、日本で最初に市制を施行した全国31市の1つに数えられる。
東京から北東へ100㎞にあり、市の北側はひたちなか市、那珂市、城里市に接し、東側は大洗町、南側は茨城町、西側は笠間市に接している。

まちの中心駅はJR東日本とJR貨物、鹿島臨海鉄道が乗り入れる水戸駅。中心市街地や偕楽園、茨城県立歴史館、弘道館(江戸時代に作られら藩校)などの最寄り駅でもある。JR東日本の1日平均乗車人員は約2.6万人で、常磐線の交流電化区間では最も多い。
駅周辺には史跡・名所、ホテル、商業施設などが広がる。なかでも、駅の北口に位置する「三の丸地区」は弘道館に近接し、観光客を市内の歴史的資源へ導き、回遊させる誘客起点として重要な役割を担っている。
しかしながら、郊外の開発に伴う大規模商業施設の撤退や敷地の細分化などの低利用地・未利用地の増加や、人口・世帯の減少による中心市街地としての都市機能の低下、衰退が著しい状況だ。
とりわけ、2009年に大規模商業施設が撤退してからは、駅前の不適当な低利用地・未利用地が課題となっており、既存建物の老朽化による防災面での問題も顕在化している。
こうした点を踏まえ始まったのが「水戸駅前三の丸地区第一種市街地再開発事業」だ。2015年に準備組合が設立され、その翌年には都市計画が決定。17年5月の組合設立を経て、今日に至る。
同事業は新築分譲マンション・商業施設・オフィス棟・駐車場を一体開発する複合再開発プロジェクトであり、街区名称は「コモンスクエア水戸」と名付けられている。

事業の位置図と計画図。住宅・店舗・業務・駐車場といった用途の施設を集積した複合用施設を整備する。
画像出典:水戸駅前三の丸地区市街地再開発組合
整備されるのは、住宅棟の「デュオヒルズ水戸三の丸タワー」と自走式駐車場、街区名称と同じ商業・オフィス棟の「コモンスクエア水戸」だ。
前者は20階建て・全184戸の分譲マンションと店舗で構成する。間取りは3LDK~4LDKで、専有面積は約68㎡~約133㎡だという。
マンションの竣工は2026年11月下旬、入居開始は27年2月下旬の見込みだという。後者は4階建てで、住宅棟の1階部分と合わせ、内部には企業オフィスや飲食店・物販店の出店を予定。2階部分がペデストリアンデッキに直結し、住宅棟や水戸駅とつながる。

画像出典:プレスリリース
水戸市中心市街地活性化基本計画に基づいたプロジェクト
同事業では「土地の高度利用の促進と都市機能の集積」「水戸の歴史資源への誘客拠点の創出など水戸ならではの魅力向上への寄与」「安全安心なまちづくりの実現」「町の賑わい拠点の形成」の4つの方向性を軸に、再開発を検討。
「水戸駅前が“日常生活の中で”水戸市民に愛され使われる空間へ生まれ変わる」をコンセプトに駅前を大胆にリニューアルする。人口減に悩まされる地方都市において、既存のリソースを活用したまちづくりは手堅い手法であり、今回のプロジェクトもそういった点で、高い効果が期待できる。
郊外の再開発による人流の変化も全国各地で起きており、中心駅の周辺を更新し住居、さらには日常で利用する商業施設も揃えることで、中心市街地回帰の流れを生み出せる可能性もある。
なお、水戸市中心市街地では、他にも北口・南口に複数のマンションが竣工する予定だ。同市では「水戸市中心市街地活性化基本計画」を策定しており、「人々が訪れたくなる魅力づくり」「人々が暮らしたくなる快適空間づくり」「地域経済をけん引する活力づくり」といった基本方針を掲げている。
これらを実現するため「にぎわいの向上」「居住の促進」「事業所などの立地促進」の目標も明らかにしており、今回の三の丸地区の再開発を含め一連のマンション開発は、その流れを汲むものだ。
中心駅に都市機能を集中させることで、全国各地で進められているコンパクトシティの形成にもつながることになる。地方都市が抱える課題を解決する一手になるかもしれない。
ちなみに、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の「住まいインデックス」によると、直近3年間で水戸駅周辺の賃貸マンションの賃料は3.75%、中古マンション価格は8.41%上昇している。
これらは茨城県の変動に比べるとやや低めの水準だ。ただし、水戸駅周辺をはじめとする中心市街地の活性化により、エリアの付加価値は向上し、不動産価格にも反映される可能性がある。
健美家編集部(協力:(おしょうだにしげはる))







