世界第3位の利用者数を誇る駅周辺で大規模再開発
池袋駅は東京都豊島に位置する、都内ターミナル駅のひとつ。JR東日本、東武鉄道、西武鉄道、東京メトロが乗り入れ、駅全体における1日平均の利用者数は約264万人で、これは新宿駅、渋谷駅に次いで、世界第3位の規模を誇る。
都心方面に伸びる山手線をはじめ、埼玉県方面のベッドタウンと結ぶJRや私鉄路線、複数の地下鉄路線が集結し、朝夕は多くの通勤・通学客で混雑するのは、おなじみの光景と言えるだろう。
駅周辺には百貨店や家電量販店などの商業施設が建ち並び、「サンシャインシティ」といった老舗の集客スポットもいまだ健在。一方、近年は「東京建物 Brillia HALL」「ハレザ池袋」など、新たな施設も生まれた。東口では地上33階・地下3階の複合施設の計画が進められ、これと並行して広場やカフェなども整備されるという。
西口でも大規模なプロジェクト「池袋西口地区市街地再開発事業」が始まっている。健美家ニュースでも以前伝えたが、この度詳細が明らかになった。
同エリアは東京都の国家戦略特区に指定されており、再開発の対象となるのはメトロポリタンプラザを除く東武百貨店、池袋センタービル、ビックカメラ池袋西口店、西口公園、バスターミナルなどが広がるエリア。面積にすると6万1000㎡と広大で、三菱地所と東武鉄道が事業主体に名を連ねている。
プロジェクトでは、エリア全体をAからDまで4つの街区にわけ、A~C街区には高層複合施設、D街区には公園を整備する。整備方針として「新たな都市の顔となりウォーカブルなまちづくりを推進する都市基盤の整備」「『国際アート・カルチャー都市』として世界から人々を呼び込む都市機能の導入」「防災対応力強化と環境負荷低減への取り組み」を掲げており、各街区に建つ施設の概要は以下の通りだ。
A街区:高さ約220m、地上41階・地下4階
B街区:高さ約270m、地上50階・地下5階
C街区:高さ約185m、地上33階・地下6階
A街区は低層部に商業施設、高層部にオフィス、さらにアート・カルチャーの情報発信拠点を整備。B街区は商業・オフィスに加えて池袋エリア初の外資系ホテルを誘致する予定だ。C街区にも商業施設・オフィスが入り、アート・カルチャーをコンセプトにしたライフスタイルホテルも入居するという。
アート・カルチャー育成支援施設も作られ、子供向けの教育プログラム、アーティストの練習・交流の場も設け、同ジャンルの人材育成・活動支援の場としても活用する。
JRや東武東上線の路線をまたぐ空中デッキにより駅東西の回遊性を高めるなど、池袋の玄関口として歩行者ネットワークも強化する。
街区間にはまち結節空間を設け、中央駅には青空を感じられるアトリウム空間を作り、駅からまちへ誘導を図る。B-C街区間には東京芸術劇場、池袋西口公園GLOBAL RINGに続く第3の劇場空間となる半屋外の大屋根広場を整備し、公園を中心に連続的な歩行者空間を創出するという。帰宅困難者支援機能の整備、環境負荷低減に向けた自然エネルギーや水資源の活用も検討している。
かなり大掛かりなプロジェクトであり、これにより池袋駅西口の景観は大きく変貌を遂げる。今後は都市計画の公告や決定、告示などの手続きを進め、はやければ2027年度から既存建物の解体に着手、2043年の全体竣工を目指す。
実現するのは20年先なので現実味をあまり感じないが、ここ数年で池袋エリアは子育て世帯を中心に住みやすいまちに変貌を遂げた。池袋駅の周辺には豊島区役所をはじめとする行政・公共施設や劇場などの文化施設、公園、さらには商業、業務施設が広がり、地域住民や来街者にとって利便性の高いまちづくりを進めている。今回の取り組みは、その決定打と言えるのかもしれない。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))