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晴海フラッグからの絶景を見て考える。戦国武将は天守閣から見た眺望から何を感じたのか

芦沢晃さん_画像 芦沢晃さん 第78話 著者のプロフィールを見る

2024/3/23 掲載

前回までは、物件運営の未来をシミュレーションによって見てまいりました。

シミュレーションというのは非常に有益なツールですが、あくまで「今」が続く前提での延長上の計算に過ぎません。

一般的に、社会前提に大変革がある場合は、このような「計算」が通用しなくなり、発想の転換と胆力、大飛躍と柔軟性等が必須です。

同じ不動産運営でも、昭和末期・バブル時代の高金利融資&キャピタルゲイン投資は、平成デフレ時代の低金利融資&インカム前提には使えなくなりました。

今後の令和インフレ時代には、既出のシミュレーターは、一部のホットスポット立地や著名物件では通用しなくなってきています。

先日、名古屋・岐阜方面へ行った際に、趣味の一つである(愚生と同年代の読者の皆様は城郭ファンが多いと思いますが)戦国・中世山城の岐阜城、小牧山城、犬山城を見学してきました。

仙台で仕事の際には、青葉城へ何度か上りました。

今回は、戦国時代の武将が築いたこれらの山城に実際に身を置いて、そこから眺めた眺望と、今、話題になっている都心部のタワマンからの眺望を経験比較してみて、既存概念から大きく飛躍を遂げた英雄達が中世山城の天守閣からの絶景から何を感じ取ったのか、想像してみました。

■見学して感じたシミュレーションでは分からない眺望の価値

今年に入って、日経平均や都心部タワマンの高騰が顕著ですが、その代表の一つ、晴海フラッグへの入居が1月から開始されました。

健美家ラジオの方では、2月1日第92回放送、2月8日第93回放送で、愚生が知人大家さんのご厚意で、昨年秋の内覧会の時の様子を放送させて頂きました。

今回は、その時に撮影させて頂いたお写真の一部や、主に愚生の感想などをご紹介させて頂きます。

晴海フラッグは、著名大家さんや投資家の方も続々と当選されて、実需、賃貸、短期転売と、それぞれの方法で活用なさっていらっしゃいます。

本稿はタワマン投資を奨励しているわけではございませんが、時代の変化を感じ取って頂くには、実際に体験してみるのも一考と思います。

読者の皆様も機会があれば、ご見学させて頂けると「何か?」が発想できるかもしれません。

■未来も永続的なウォーターフロントの眺望

一般に、臨海地区のタワマンは眺望の価値が大きいとされていますが、晴海フラッグのロケーションは図1の通り、東京湾北部臨海に突き出た「晴海埠頭」ですから、これより前側には海しかありません。

晴海フラッグのロケーション

図1の黄色の矢印が晴海フラッグの立地です。

この先は将来、海側に埋め立てが行われない限りは、視界を遮る建物は建築できません。

今回、図1の黄色点線丸印内のタワマンにお住まいの大家さんが、晴海フラッグのオーナーになられましたので、このタワマンのリビングルームから、晴海フラッグ方向の眺望を撮影させて頂いたのが図2のパノラマ写真です。

晴海フラッグ方向の眺望を撮影

日光が十分な昼間(図3)と、夕方の同アングルでの景色(図4)ですが、同じ構図でも光と色彩の微妙な変化は、まるで印象派モネの絵画を鑑賞しているようで、1日中眺めていても飽きません。

日光が十分な昼間

夕方の同アングルでの景色

巨匠クロード・モネをお連れして好きなだけ写生して貰えば、1枚数百億円の傑作を描き出して頂けるかもしれません(笑)。

■最上階共用部のパーティールームとゲストルーム

共用部の最上階には図5図6のようなパーティールームとゲストルームがあり、居住者は予約制で利用できます(1回利用が5千円程度と伺いました。利用時間、日数等に制限ルールの予定)。

パーティールーム

ゲストルーム

例えば大切な友人をゲストルームに招いて宿泊して頂き、パーティールームで限定したVIPだけのお持てなしをすれば、オリジナルの時間と空間を提供できます。

そこから得られる人的価値は、目先のキャッシュフローとは比べものにならない程、大きなものかもしれません。

愚生はついつい、ゲストルームのベッドメイキングやリネン交換で、共用部管理スタッフの人件費は幾らかかるかな?などと、見学中も必死に計算してしまっていました。

そんな愚生の思考スケールは、この物件だけの投資金額と建物空間だけに限定された前提条件で、単純に時間だけを延長した既成概念から抜け出ていません。

ある意味、思考スケールのサイズ感と、資産背景規模が、非常に限定されていることに、前述の図2図4の景色を見て気づかされました。

アメリカの文豪、フィッツジェラルドが1925年に執筆した最高傑作と言われている小説『グレード・ギャッツビー』では、主人公の大富豪は毎夜、盛大なパーティーを開催していました。

主人公ギャッツビーは、パーティーの開催経費が幾らで、一人一人から幾らの会費をとれば1回当たりの収支が幾らになる、などという計算を、微塵もしていなかったハズです。

勿論、収支シミュレーションをしたうえで、開催計画などを企画したわけでもないでしょう・・・。

パーティーに招かれる客も、食費を浮かせる為に沢山食べようなどという発想の人は、一人もおらず、その時間と空間から、将来生かせる人間関係を構築するために、その場に居る価値を見出す人ばかりでしょう・・・。

■青葉城から伊達政宗が見た景色と遣欧使節団

何度か仙台へ仕事で行った際には、青葉城まで足を延ばして、天守閣から、伊達政宗公が眺めたであろう、仙台の眺望を経験してみました。

図7のように、伊達政宗公は1613年、関ケ原の戦いから僅か十数年後に太平洋を渡り、アメリカ経由で、更に大西洋を渡って、フランシスコ会宣教師ルイス・ソテロを正使、支倉常長を副使として、スペイン国王・フェリペ3世、およびローマ教皇・パウロ5世のもとに慶長遣欧使節を派遣させています!

仙台の眺望を経験

1620年に無事、帰国して役目を果たしましたが、その時には、既に、鎖国政策でバテレン禁止令も出て時代は大きく変わってしまっていました。

とはいえ、この時期に小さな木造帆船「サン・ファン・バウティスタ号」(250年もの後、幕末に勝海舟、福沢諭吉、小栗上野介らが渡米した咸臨丸より遥かに小型シンプル)で、はるか太平洋周りで欧州を団体公式訪問させる、伊達政宗公の発想は画期的です!
(※宮城県慶長使節船ミュージアムに再現展示された木造船は、東日本大震災の津波で破損し、解体が決定。FRP製で再展示予定)

図7の眺望を眺めながら、こんな雄大な発想をした伊達政宗公に想いを馳せました。

政宗公の長寿健康の秘訣は、杜の都・広瀬川支流から青葉城内へ水を引き込み、日に何度も、常に新鮮な水を飲むことだったそうです。

健康に気を使ったばかりでなく、愛娘いろはが、徳川家康の六男・徳川輝忠に嫁ぐ前夜、盂蘭盆の夜、仙台城下民に一斉に灯篭を灯させ、青葉城の天守からいろは姫に図8の風景を見せて、送り出したと言われています。

仙台城下民に一斉に灯篭を灯させ

娘を愛し、城下民とも心を一つにした優しさをも兼ね備えていたことを感じ取れます。

一方で、徳川家への忠誠を示すため、この立派な城郭にあえて、天守閣は作らなかった攻守の駆け引きと戦略は、絶妙とも感じます。

徳川家光まで3代の将軍に仕えて、最後は今の東京・日比谷公園にあった仙台藩江戸屋敷(公園内に碑があります)で、胃がんのために亡くなりました(家光に謁見した時、将軍は政宗公のお腹の膨らみを気遣ったと言われています)。

■岐阜城天守閣から織田信長が見た景色と戦略

先日、名古屋から岐阜方面へ行った際には、犬山城、小牧山城、岐阜城と三名城を山頂天守閣まで体験して参りました。

犬山城は成瀬家のご子孫が、私有財産として維持管理して、最近寄贈された国宝で有名ですが、岐阜城は織田信長公の拠点として有名です。

岐阜城の山頂・天守閣からの眺望の現在は図9図10です。
(天守閣はRC建築物として再現されたものです)

岐阜城の山頂・天守閣からの眺望

岐阜城の山頂・天守閣からの眺望北側

織田信長公が天下統一当時、眺めた図10と同じアングルの眺望をCG再現した映像が図11です。

同じアングルの眺望をCG再現

遥か地平線、山越しに見えるアルプスを越えると、そこは宿敵・武田信玄公の領地甲州があり、信長公はこの景色を見ながら、どんな構想を練ったのでしょうか・・・。

愚生が申し上げるまでもないですが、信玄公の軍資金は黒川金山から発掘されるゴールドで、その工夫(こうふ)達・土木集団の土木技術(穴掘り作戦)が攻城戦での土塁城壁突破に活躍しました。
(勿論、騎馬軍団も有名ですが)

一方、信長公の軍資金は、宣教師から海外情報を入手し、伊勢湾からの海上ロジスティクスと楽市楽座などの交易による経済活動での西洋ウェポンの導入です(鉄砲の大量導入はあまりに有名)。

いわば、近代的な海洋外交貿易と殖産興業の総合戦力と言えましょう。

更に、信長公の健康の秘訣は、岐阜城への毎日の上り下りにあったようで、足指で、ふちを包んで履く草履で、図12、13のような金華山の山頂と館を行き来していたことにあるようです。

岐阜城再現

岐阜城信長館再現

宣教師ルイス・フロイスの記録によれば、この世の極楽のように壮大な館で、1日1万歩どころではなかったでしょう。

もし、本能寺の変が無ければ、健康で天寿を全うしていたかもしれません(歴史にifはナンセンスですが)。

館内をウォーキングしながら、天守閣からの眺望で、はるかライバルを地平線の向こうに遠望しながら、天下統一の構想を練ったのかもしれません。(図14

天下統一の構想を練った信長公

「黒川金山のゴールドを掘り尽くせば、オワコンになる戦略」(≒金本位制) VS 「陸海物流&海外貿易による情報・経済に裏付けされた無限マネー・エンジン戦略」(≒兌換マネー制)とでは、戦う前に勝負あった! なのかもしれません。

■積算や利回りでは計れない超都心有名区分マンションの未来価値

パラダイムシフトを起こす発想は、日常とは異なる環境で思索に耽るときに、ふと思い浮かぶものです。

それは既存概念の範囲内で根を詰めたルーチン思考作業からは決して生まれず、時空の次元が異なるものともいえましょう。

太平洋戦争開戦時の連合艦隊専任参謀の黒島亀人大佐が、自室に籠って香を焚いて机に向かい、壁を眺めながら練った作戦は、ミッドウェー作戦から最後は特攻兵器(回天、桜花、震洋など)に至るアブノーマル(一人よがりな)構想しか生まれて来ませんでした。
(真珠湾作戦の基本プランは山本大将の個人的な繋がりで大西中将が第1航空艦隊参謀・源田中佐に構想させた作戦を、山本長官の命令で連合艦隊の黒島大佐へ引き継ぎ、具現化したもの)

戦国時代の英雄達は、それぞれの山城・天守閣から大空間の眺望を眺めて、時間と空間の発想を広げて戦略を練ったとすれば、タワマンからの眺望も、それに匹敵する効果と価値があるかものかもしれません!

冒頭の例え通り、シミュレーションは規制概念での数値の積み上げでしかなく、いわゆる左脳による思考です。

一方、上述の英雄達は従来の世に無かった発想で大変革を起こしました。それらを具現化して行った源は、前頭葉により無から生まれた新しい概念です。

これは幾らシミュレーションをしても計算できるものではなく、発想、胆力、実行力など、その人ならではの創造成果です。勿論、今のAIでは無理でしょう。

私の知人の大家さん、タワマンを購入された方々に伺うと、実需、賃貸、転売とそれぞれ目的や手法は違いますが、皆様それぞれの戦略と構想をしっかり持っていらっしゃり、時代の先を読んでおられると感服致します。

戦国の英雄を彷彿とさせるような方々ばかりだ!と感じました。

 

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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

芦沢晃さん

芦沢晃さんあしざわあきら

兼業大家・個人投資家

東京城西、城南、京浜地区(川崎、横浜沿岸部)、埼玉(南部)を中心に区分分譲マンションを58棟、60室賃貸運営中

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □1958年
    借家住まいのサラリーマン家庭に生まれる

    □1983年
    アルバイトと奨学金で、都内某大学院博士前期課程で電気工学を専攻し、学位とプロ資格取得。
    電気メーカーに入社。通信システム新規事業の研究、開発、設計等の実務に従事

    □1989年
    自宅中古マンションをローンで購入。バブル崩壊で担保割れとなる

    □1995年
    バブル崩壊で担保割れ売却不能となった自宅を賃貸し個人大家&不動産投資をスタート。
    以後、現金で中古ワンルーム区分マンションを1室ずつ購入し賃貸運営を継続

    □2000年
    アツルハイマー病の母親の在宅介護を開始

    □2004年
    リストラにより46歳で指名解雇。某IT企業へ転職し、ITシステム技術開発実務を担当

    □2007年
    沢孝史さんの「お宝不動産」へ参画。セミナー、執筆&出版を実施。
    サラリーマン不動産投資家として、全国の兼業大家さんと交流

    □2013年
    IT企業の営業職で2度目のリストラに合うも、某電気設備メーカーに転身。55歳にして最前線の現役エンジニアへの復帰を果たす。
    ビル、マンションの電気設備エンジニアの本業を大家業に活用

    □2017年
    本業の電気業界が大再編、リストラの嵐が吹き荒れ、勤務先は債務超過、解体再編。
    大荒れの最中に介護中の母親が急逝。
    一方で、兼業大家業は満室安定経営を継続

    □2018年
    18年間に及ぶ介護(9年間は在宅)が終了し、自身も60歳サラリーマン定年。
    個人対会社での個別契約を結び、兼業公認で、技術支援と後継技術者育成を行う

    □2024年
    個人技術士として、業務技術支援、技術講師、テクニカルライティング、学会参加、個人実験研究、株式投資、不定期にご依頼頂く不動産セミナー講師、執筆依頼、メディア取材等を受けながら、健美家ラジオ木曜日パーソナリティを担当。58棟60室の区分物件で兼業大家業を運営し、家賃+配当で好きな趣味を楽しみ悠々自適・晴耕読雨の日々

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