前回のコラムで、僕はここ数年全空ビルを購入していると書きました。前回はだからこそ面白いし儲かるという内容でしたが、今回はその弊害を書きます。きちんと全部話したら1話では終わりませんから、超ショートバージョンで行きます。
まず、僕の買っている雑居ビルって、色々な方が自分の人生を賭けてそこで商売をしています。お店を閉める理由はいろいろですが、7割から8割は不本意な退去です。
そして、また次の人が店舗をオープンし、年月を経てお店を閉めて、そのまた次の人というサイクルが延々と続いているのが店舗であり、その集合体が雑居ビルです。
売りビルの空き店舗を内覧する時は、電気契約をされていないので暗いですし、背中に何かを感じたりすることもあります。気味が悪くてもここで逃げたら家族を養えない、毒を喰らわば皿までと覚悟を決めて突入するしかありません。
ゾクッとするような何かを感じる物件は昼の飲食店よりも夜の飲食店が圧倒的に多めです。例えば元スナックの店舗に行くと、店主の無念さのようなものが伝わってきて、苦しくなることがあります。
残された古いソファやボトルを見ながら、このボトル一本にも、働いていた女性、そしてお金をつぎ込んだ男性のいろいろなドラマや苦労、歴史があったのだろうなと考えたりします。
もちろん、店舗でもキレイな売り物件はあるのですが、価格も上がります。初期の頃の僕はこういう荒れた物件を買う以外に選択肢がなかったので、たくさん見るうちに違和感は薄れ、そのうち慣れてしまいました。
それでも何もしないでも大丈夫とは思っておらず、こういった物件を購入した時は必ず一度全部の内装を解体し、その後もできるだけ窓を開けて空気を入れ替えます。空気と光を入れることで雰囲気がかなり変わります。
それに、僕はいつも内見の時には体育会仕込みの直立不動の挨拶をしますし、帰る時も「失礼しました」と言って出ます。加えて僕の守護霊というか、ご先祖様たちに守られているパワーはかなりすごいから絶対に大丈夫なはずと思っていました。
でも、そんなビル投資を約20年近くやっていて、どこかで僕は“何かに取り憑かれてしまった”のかもしれません。
■沖縄のユタさんとの出会い
昨年12月に沖縄に行きました。ミスターミヤギが運転する車の助手席で、妻に「お土産何がいい?」と電話したら、「それより、ユタさんに見てもらってきて」と言います。そういえば、前にもそんなことを言っていたな。そんなに言うなら、見てもらうか。
妻はここ数年の僕の体調不良を心配しています。僕自身は過去の経験から、今の不調は僕のリズム、サイクルの一環で、乗り越えた後は絶好調になるだろうと考えていました。ただ、今回はかなり長くて、腰痛は3年治らないし、ここ1年はずっと頭痛に悩まされています。
血液検査をしても原因がわからず、接骨院や鍼治療に週2回通い、毎日のように薬を飲む日々が続いていました。それで僕も、「ユタさんか、、、お願いしてみるか」という気持ちになりました。
そこで、ミスターミヤギに「妻がユタさんに見てもらえと言うのです」と伝えると、「心当たりがあります」とのこと。ただ、その夜、ネットで調べると、ユタさんは基本的に表に出てこない存在であり、ネットに出ている有名なユタさんは予約待ちがすごいと書いてありました。
翌朝、「広田さん、明日10時にユタさんの予約が取れました」とミスターミヤギ。え、そんな簡単に予約が取れてしまうユタさんでいいの?などと思ったのですが、せっかくなのでお願いすることにしました。(その後、すぐに予約ができたのはレアケースで、縁があったからだと判明)。
道中、沖縄在住のミヤギ氏が「僕もユタさんに見てもらうのは初めてです」というので意外に思いました。でもこういったことが初めてで不安だった僕は、ミヤギ氏が一緒に行ってくれることをとてもありがたく思いました。
当日、指定されたのはユタさんの事務所(?)近くのスーパーの駐車場です。そこに車を停めて、ユタさんに電話をしました。僕が20代の頃にアメリカでのギャングスタRAPを売買した時と同じスタイルです。
一応説明すると、リアルギャングであるラッパーからCDを直接購入する時は危険を避けるために、ガソリンスタンドやスーパーなど人気(ひとけ)のあるところで取引をしていたのです。
すると急に頭痛がしてきました。ユタさんってギャングなのかと痛む頭を抱えながら思ったりします。「僕は頭痛もするし、ユタさんも後になると疲れちゃうだろうからミヤギさん先にどうぞ。僕は近くの喫茶店にいますよ」。
40分後、ミヤギ氏が戻ってきました。
「どうでした?」「特に何もありませんでした。普通でした」。
期待外れだったかと部屋に入ると、僕を見るなりユタさんが、「あなた、かなり体が悪いね。この1年くらいずっと悪いでしょ?あと1年くらい続くよ。お祓いした方がいいよ」と言います。
いきなりこんなことを言われて混乱しましたが、直感で、「このユタさんはすごい人に違いない」と思いました。その後、神様と仏様は違うこと、お祓いをすれば少しずつ良くなっていくことなど、ユタさんの話を必死になって聞きました。
その後、お祓いをしてもらいました。ユタさんの呪文のような声を聞きながら、目を閉じて正座をしていると、突然宙に浮いて頭と足がひっくり返って座っている感覚に陥りました。あまりの恐怖に目を開けようとしましたが、我慢をしていたら30秒ほどで元に戻りました。
「終わったよ。疲れたね、暑いよ」とユタさんは汗だくです。え、わずか数分でこんなに汗をかくの?それとももっと時間が経過していた?時計を見ると1時間20分も経っていました。
「あなた自宅に神棚ある?ないでしょ。神棚を設けた方がいいわよ。神様が早くあなたの所へ行きたいとあなたの上で待っているわよ」
「え!死神が僕の上で待っているんですか?僕はそんなに悪かったんですか?」
「違うわよ、神様があなたを助けようとしてるんだけど、神棚がないから神様があなたの家に住めないのよ。私が行って神棚を建ててあげる。どう?」
「はい、ぜひお願いします」
沖縄から戻って高崎駅に着いた僕を迎えに来た妻が、僕を見て「表情がすごく柔らかくなったね」と言うので驚きました。ユタさんの話を参考にできるだけのことをやろうと思っていた僕は、新しい病院に行きました。すると、それまで判明しなかった体調不良の原因らしきものが見つかりました。
■パワーストーンのお店に行く
年が変わって2024年1月。ユタさんが高崎に来る1週間前、沖縄で途中まで一緒だったマダム・ユカリが「今週末にミネラルショーという鉱物の見本市みたいなものがありますよ」と教えてくれたのを思い出しました。
今までの僕は、「石にお金を払うなんて正気か」と思っていました。そのショーにも行きませんでした。でも、今の僕は少し頭が柔らかくなったようで、やれることは何でもやってみようと思いました。
そこで地元のパワーストーンのお店に行き、キムタクが自宅玄関に置いているという(真偽不明ですが)アメジストドーム他、11万円分もの原石やブレスレッドを購入しました。
すると、家の中の空気が少し変わった気がしました。そこで、その4日後に子どもたちを塾に送る時にいつも前を通る石のお店に思い切って入ってみました。
店員さんは、「金運ならこちらのルチルクォーツが最強です。収入が2倍に増えるくらいの力があります。このブレスレットをして、他店で石を見ていたら店員さんはそれ以上のものを勧められないので声をかけてきません。それくらい最強です」と20万円の石を勧めてきます。
僕が、「金運には今は興味がないのです。それに僕の収入を2倍に増やすといったらかなり大変ですよ」と言うと、こんなパジャマみたいな薄汚いジャージを着ている人がお金に興味がない?どういうこと?と本気で混乱した顔をしていました。
次に、「体調なら最強はこれです」と、北投石というガン患者が通う玉川温泉にある石の成分を含んだ3万円のブレスレットを勧められました。すぐに買いました。今の僕なら、たとえ30万円の数珠でも、300万円の水晶でも体に良いと勧められたら買うでしょう(冗談です)。
数日後、驚いたことに頭痛は完全になくなりました。また再発するかもと思いながらも、1日でも頭痛がない朝がこんなに素晴らしいものだったのかと嬉しくなりました。(結論を言うと、奇跡は続いています。今日に至るまでずっと、頭痛が収まっているのです)
そして1月下旬、沖縄からユタさんが真冬の高崎に来て、神棚を建ててくれました。ここで、僕の家に3人の神様が降臨したと言われたのですが、これ以上書くとさすがに「広田は大丈夫か」と思う方がいそうなので、このくらいにしておきます(笑)
改めて聞いたユタさんの話が面白く、最近は神様や神社の本を大量に購入して読んでいます。パワーストーンの本も購入。石のおかげでこんなに健康が改善すると知った僕は、世界中の石を集めるためなら死んでもいいとさえ思います(これも冗談です)。
■空きビルを再生することの目に見えないリスク
自分でこんなことを言うのはとても怖いのですが、最初に述べたように、たくさんの空きビルの中に入って再生しているうちに、色々なものをもらってしまったのだと思います。それは別の言葉でいうと“悪霊”のようなもの。それが大げさなら、”念”とか“怨”が当てはまるでしょうか。
テレビで心霊スポットのホテルや病院の廃墟を訪れる番組をしていますが、ある意味で僕はそれを日々のルーティンとして行っていたわけです。しかも丸腰ですから、それは取り憑かれてもおかしくないですよね。
僕はもともと暗いオーラに包まれた物件でも、僕が購入して工事をして、再び人が集まるビルをつくればダークなものは解消されると思っていました。とにかくたくさん人が来て、賑わう場所を作れば全てはプラスオーラで包まれるはずだと。
実際に、工事が終わって活気を取り戻したテナントさんに行くと、ネガティブな空気は感じません。しかし、ここに書いた僕の身に起きたことを振り返ってみると、実際には工事を終えるまでの過程で、僕の中に何かが溜まっていたのだと思います。
これからはビルに限らず、人がいなくなってしばらく経過している建物の内見には浄めの塩や黒水晶などを身につけて行こうと思います。もちろん、体育会で身に着けた軍隊式の挨拶も必須です。
僕自身はユタさんやパワーストーンが僕の何かを変えてくれたことを実感しています。でも、こんな話を真顔ですれば、友人たちには心配され、ビルの入居者も退去し、銀行の融資も引き上げられて、読者は離れ、このコラムもクビになる恐れがあります。
感覚が研ぎ澄まされている不動産投資家の皆様だからこそ、今回この話を紹介させていただきました。信じるか信じないかは皆様次第。心当たりがある方はぜひ、僕の経験を参考にしてみてください。ただし、その際はくれぐれもご内密に。